この記事では、見事なホラーとミステリーの融合を魅せる三津田信三「刀城言耶シリーズ」の全3巻のあらすじと感想をまとめて紹介します。
気になる作品が見つかった方は、作品ごとの書評記事をぜひご覧になって刀城言耶シリーズの世界に触れてみてください。
刀城言耶シリーズ全巻レビューまとめ
『厭魅の如き憑くもの』あらすじと感想【因習の残る村で起こる、連続殺人事件】
戦後間もない、昭和30年代のある年の4月。
幻想怪奇作家・刀城言耶は、取材の為に神々櫛村に訪れた。
そこは憑き物筋の巫女による呪いを行う「谺呀治家(かがちけ)」と、非憑き物筋の家系たる「神櫛家(かみぐしけ)」の二つの旧家が対立する村。
古来より不可思議な伝説を持ち、神隠しや謎の怪異「厭魅」の存在が噂されるその村で、不可解な連続殺陣事件が起こる。
皆がアリバイを持つ中での殺人、死体の装飾、そしてその影に見える厭魅の存在。
犯人は人か?怪異か?
昭和の名探偵、刀城牙城(とうじょうがじょう)を父に持つ素人探偵・刀城言耶が、因習を打ち砕こうとする村の若者「漣三郎(れんざぶろう)」や、自らの「憑き物筋」という血に翻弄される少女「紗霧(さぎり)」達の力を借り、事件に挑む!
『厭魅の如き憑くもの』あらすじと感想【因習の残る村で起こる、連続殺人事件】『凶鳥の如き忌むもの』あらすじと感想【孤島での人間消失事件に刀城言耶が挑む!】
昭和30年代のとある年の8月。
怪奇幻想作家である刀城言耶は、瀬戸内海に浮かぶ孤島「鳥坏島」に訪れた。
彼の目的は、島にある鵺敷神社で18年ぶりに執り行われる、「鳥人の儀」に参加すること。
「鵺敷神社に禍いの影が差すとき」に行われるという儀式に参加するのは、刀城言耶をはじめ、鳥坏島を擁する兜離の浦(とりのうら)の村人である間蠣辰之助(まがき たつのすけ)、海部行道(かいふ ゆきみち)、下宮欽蔵(しもみや よしぞう)と、民俗学の研究の為に訪れた学生の北代瑞子(きたしろ たまこ)。
そして鵺敷神社の巫女たる鵺敷朱音(ぬえじき あかね)とその弟の鵺敷正声(ぬえじき まさな)、鵺敷の使用人である謎の男・赤黒(あかぐろ)の計8名。
参加者の思考を締めるのは、18年前の鳥人の儀で起こった、恐ろしい事件。
かつて、1人を残した参加者全員が消失するという不可解な事件が起こったこの儀式に、皆が不安を隠せない。
そして儀式の最中、今回の巫女である鵺敷朱音もまた消失した!
更に、巫女の消失を皮切りに次々と消える参加者たち。
犯人は人か、それとも島に伝わる怪異「鳥女(とりめ)」か?
嵐に閉ざされた孤島で刀城言耶が事件に挑む!
『首無の如き祟るもの』あらすじと感想【次々と現れる首無し死体は何を語る!?】
奥多摩の奥深くにある姫首村。
村の旧家である秘守家は、代々「淡首様」の祟りに悩まされ、凡ゆる呪いをもって対策を打っていた。
「三々夜参り」と呼ばれる、出生時、3歳、13歳、23歳になる度に行われる儀礼も、その一つだ。
秘守家に仕える6歳の使用人・斧高は、優しく接してくれる秘守家の長男・長寿郎の身を案じ、十三夜参りに臨む彼の後を追った。
そこに現れたのは、長寿郎の双子の妹・妃女子の首無し死体。
しかし秘守家の人間達は、彼女の死体を早々に片付け、有耶無耶の内に処理してしまった。
そして10年後。
長寿郎は二十三夜参りに臨む。
この儀礼を終えれば、長寿郎は誰かと結婚する。
その現実に戸惑いながら、それでも長寿郎を支える斧高。
しかし儀礼は順調には終わらなかった。
次々と現れる、首無し死体。
怪異「首無」の祟りだと村中が騒ぐ中、姫首村に来訪した推理作家の江川蘭子(えがわ らんこ)は首無し死体の分類を試みる。
果たして犯人は、人か首無しか?
そして、秘守家の儀礼の真の意味とは?
見事な「ホラーとミステリーの融合」を魅せる刀城言耶シリーズの中で、最高傑作との声も名高いシリーズ第3弾!