店舗の決め方
店の広さ
━━このお店は、想定していたよりも広い場所だったそうですね。
金野 そうです。ここは10坪なんですけれども、ひとりでやるイメージとしては、7~8坪くらい。ひとまわり小さいくらいの広さをイメージしていました。
━━それにもかかわらず、なぜこの場所を選んだのですか?
金野 とりあえずちょっと調べてみて、今後の判断基準になるからまずは一か所、とにかく見てみようと軽い気持ちで出かけたのが、ここでした。
━━ということは、最初の場所で決めたのですか?
金野 「ここいいなぁ」と、気に入ってしまって。いちおう、3日間くらい迷った、ふりをしたんですけど(笑)
━━はじめから決めていたのですね。
金野 いま自分が決めたらそのチャンスをつかめるのに、ここをスルーして別の人に決まってしまったら後悔するだろうとおもって、勢いで。
━━ほかのところは見ていないのですか?
金野 はい、ここだけ。店舗探しに苦労してらっしゃるほかの本屋さんには申し訳ないくらい、直感で決めました。
身体が動くほうに
━━直感を大切にしてらっしゃるのですね。
金野 基本的に直感で行動するようにしてから、大きな失敗はしていません。たぶん人間の直感って、本人がおもっている以上に、当たっているのだとおもいます。この歳になって、そう実感しています。
━━やりたいことの本質的な表れかもしれないですね。
金野 僕は頭で考えてもあまりうまくいかず、どちらかというと、身体が反応したほうに、ぱっと動いたほうがいいみたいです。
━━考えるよりもまず行動。
金野 それで失敗することもあるけど。数年前から基本直感です。物件を決めたのが5月の下旬だったので、そこから開業までほぼ半年ですね。
━━半年前のご自分がいまの状況を知ったら、なんて言うとおもいますか?
金野 「え? 年末には本屋やっているの?」って、驚くとおもいます。
オープンしてからの変化
長く続けるために
━━開店してから1か月ほど経ち、変えていこうと考えていることはありますか?
金野 休みや営業時間を変えようとおもっています。自分が倒れたり、ストレスをため込んでもいけないので。
金野 身体が悲鳴を上げている中で無理してやると、例えば不注意を起こしてケガするとか、そういったリスクがありますから。身体が「いまはやめておけ」と言っているなら、きちんと休みます。
━━身体の声を聴きながらやるのは大切ですね。
金野 お店を長く続けられるように、自分のコンディションを整えていくつもりです。
理想の生活スタイル
金野 直感で大船に決めましたけど、仕事場としても、暮らす場としてもいいところです。2か月くらい前に、家も大船に引っ越したんですよ。
━━大船の住民なのですか。
金野 そうです。ふだんは自転車で通っています。
━━通いやすい距離感というのはいいですね。
金野 東京まで通うのではなくて、ローカルで仕事をしたいという思いがありました。いままでは結果的に東京で仕事を続けてきましたが、心の中に違和感がずっとありました。
━━では、夢がひとつ叶ったのですね。
金野 大都市東京じゃない、自分が選んだ地域で、ようやく仕事ができるようになったということは、うれしいですね。やっと形にできた。まだ形になったばかりですけど。
━━なるほど。だからこそ、続けたいという想いが強いのですね。
金野 始めることはある程度勢いでできるかもしれないけど、続けることのほうが大変です。
この本屋に曲をつけるなら?
━━ReaJoyでは、本を紹介するときにイメージ曲を考えます。金野さんが考える、「ポルベニールブックストア」のイメージ曲は何ですか?
金野 イメージ曲? 考えたこともなかったですが、いまパッと浮かんだのは、My Little Lover の 「evergreen」でしょうか。
金野 「風通しの良い本屋」を謳っていますが、この曲の解放感・風が抜けていく感じが好きで、通じるものがあればいいなぁとおもいます。
結びに代えて
オープニングキャンペーンとして、税込3,240円以上購入すると、オリジナルのロゴ入りコットンバッグをプレゼントしていました。
(このキャンペーンは12月で終了しています。)
ペンギン好きとしてはこのバッグをゲットしたかったので、単行本を2冊お迎えする予定でした。
2冊で終わるはずがありませんでした。
『本を贈る』
イベントの記事を書いていながら実は未読。今回御縁がある本屋さんだと知り、ここでお迎えすることに決めました。
第1刷は絵の色が赤なのに対し、お店にあったのは第2刷の、いわゆる「緑版」。
『東京 わざわざ行きたい街の本屋さん』
「これから本屋さんを取材していくならまずはこの1冊」と、金野さんがおすすめしてくださった本。気になる本屋さんがどんどん増えてしまいます。嗚呼、全部行きたい……。
『僕たちはなぜ取材するのか』
ポルベニールブックストアさんで初めて出逢った本。題名に惹かれました。ほかの方はどのように取材してらっしゃるのか……知りたいです。
ブックカバーをかけるとき、金野さんは1冊ずつじっくりと見て、お話してくださいました。
どれも意図があっての選書、思い入れが1冊1冊あるのだと、感じました。
『僕たちはなぜ取材するのか』について、「本と目が合ったのですね」と金野さんが仰って、ストンと納得しました。そうです、目が合ったのです。この本と。
お迎えしたいとおもったのです。
話し手:金野典彦
聞き手&ライター:織
フォトグラファー:望月暁生
店舗詳細
店主の金野さん。「えのすい」のお土産のペンギンとともに。
■ポルベニール ブックストア(Porvenir bookstore)
〒247-0056
神奈川県鎌倉市大船3-4-6 清水ビル1階D
■営業時間と休日(2019年1月より)
■営業時間
火 13:30~19:00
水~金 11:00~13:30/14:30~19:00 ※13:30~14:30はシエスタ(お昼休み)
土 10:30~19:00
日 10:30~18:00
※日曜日以外は、あらかじめお電話、Eメール、ツイッターのリプライなどでご連絡を頂ければ、可能な限り最長20時まで対応いたします(※都合により対応できない日もございます。ご了承下さい)。
■休日
毎週月曜日/月2回火曜日(※祝日と重なった場合は営業し、原則翌日を休日)
お盆/年末年始
■年末年始のお休み
12/31(月)から1/3(木)までの4日間
※1/4(金)より通常営業
詳しくは公式サイトをご覧ください。
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