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太宰治『女生徒』あらすじと感想【多感で潔癖な女学生の内面】

太宰治と出会ったのは教科書の収録作でした。当時高校生だった私は、キャラが立ったエンタメ中心に読んでおり、文豪の作品は難しそうと敬遠していました。

とはいえ読まず嫌いはよくないと反省し、図書室で太宰治の短編集を借り、読んでみたのが『女生徒』でした。

結果、太宰治に持っていた偏見が多少なりとも薄れました。明治時代の文豪が書いた作品ですが、現代の女子学生の内面に通じる描写がたくさんあり、自分の日記を覗かれたような羞恥と共感を覚えました。

こんな人におすすめ!

  • 多感で潔癖な女生徒の心情に触れてみたい
  • 文豪の作品を読まず嫌いしている
  • 今の10代女子、かつて10代女子だった女性

あらすじ・内容紹介

物語は何の変哲もない女生徒の目覚めから幕を開けます。まどろみから中々浮上できず、憂鬱な心持ちで布団を畳んで廊下に出ると、お節介な母は他人の縁談の準備で大忙し。

騒々しい母を煩わしく思うと同時に、心の片隅でうっすら同情を覚える女生徒。家を出て電車に揺られている時も、とりとめない思索は止まりません。

学校では真面目に勉強をし、放課後は友達と誘い合って、町へ遊びに繰り出します。

家へ帰ると母は来客の相手をしており、女生徒は媚びた母を見るのが嫌でたまりません。一方で数年前に死んだ父を想い、一人で頑張る母に優しせねばと自戒します。

客を送り出した後、女生徒は母と雑談の時間を持ち、明日に備えて布団にもぐるのでした。

『女生徒』の感想(ネタバレ)

本作を読んで驚いたのは、多感で潔癖な女生徒の心情が、実によく書けていること。想像力だけでこれを書き上げたなら、太宰治が天才と呼ばれるのも納得です。

最も印象的なのは、庭に迷い込んできた野良犬を虐げ、仄暗い喜びに目覚める場面。

清らかで可憐なだけにあらず、卑しく不潔な生き物に対してはどこまでも冷たくなれる、この時期特有の少女の残酷さにぞくりとしました。

肝心の女生徒の名前が最後まで明かされないのも特徴で、それ故に主人公が誰であってもおかしくない普遍性があります。

朝起きて学校へ行き、友達と遊んで帰る。その行動だけをなぞれば至って平凡な一日を過ごしているように見えますが、心の中では常に様々なことを考え、悩み、怒り、滞ることがありません。

だからこそ女生徒と同年代の読者は圧倒的共感を覚え、既に大人になってしまった読者は、痛痒い共感性羞恥とノスタルジーに駆られるのではないでしょうか。

特に面白いのが母親との距離感。口うるさい母を迷惑がり、でしゃばりを恥じる一方、亡き父の分まで支えねばと反省するセンチメンタリズムが事細かに綴られ、思春期の少女の日記を読んでいるような、瑞々しい臨場感があります。

まとめ

太宰治『女生徒』は、今の十代女子が読んでも楽しめる話だと思います。文体も難しくなくモノローグのように追っていけるので、純文学の入門編にはちょうどいいかもしれません。

読み終える頃には名もなき女生徒にすっかり感情移入し、本を閉じるのが惜しくなっているはずです。

昭和初期の女生徒の一日を覗いてみたい方はもちろんのこと、女子高生の一人称小説を書きたい男性の方は、心理描写の参考になるのではないでしょうか。

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