純文学おすすめ小説15選【読後の喪失感に、浸る】

洗練された文章や、巧みな表現力を駆使して書かれる純文学。

一般的に、エンターテイメント性よりも、芸術性を重視する傾向があるため、どうしても読解が困難と感じ、避けてしまう人もいるのではないだろうか。

私は純文学の、奇想天外な結末にいつも惚れ惚れする。

純文学は、大衆小説とは違い、起承転結を無視し、誰もが予想外の展開になっていく。

必ず主人公が勝つ物語に飽きた人には是非読んでいただきたいものだ。

今回はそんな数ある純文学作品の中から、15作品を厳選し、紹介する。

芥川龍之介『舞踏会』

純文学といえば、まず思い浮かべるのが、芥川龍之介だろう。

何より、芥川賞発祥の人物とあって、彼の生涯で残した作品はどれも優れている。

その中でも特に紹介したいのが、『舞踏会』だ。

明子という令嬢が、洋風な舞踏会に参加することから物語は始まる。

実はこの物語、よく読むことによって、芥川が、洋風なものをすぐに真似しようとするも、そのどれもが劣っている日本の様を皮肉を込めて書いたもののように感じるのである。

しかし、令嬢明子がフランスの海軍将校と出会う恋の場面や、舞踏会に装飾された花、明子が海軍将校と見ることになる花火などの「色」がリアルに伝わってくる描写からも目が離せない。

頁数も少ないため、是非読んでいただきたい。

『舞踏会・蜜柑』の基本情報
出版社 KADOKAWA
出版日 1968/11/01
ページ数 260ページ
発行形態 文庫、電子書籍

太宰治『斜陽』

太宰治といえば、『人間失格』があまりにも有名だが、『斜陽』という作品もまた、目が離せない。

主人公・かず子は、病気で衰退していく母と田舎で過ごしたり、戦地に行って麻薬中毒者となってしまった兄がいたりと、散々な人生を送っていく。

彼女自身も妻のいる夫と逢瀬を繰り返すなど、彼女の崩壊が、リアルに伝わってくるのだ。

所々、「蛇の焔のような舌」などの、不気味で独創的な比喩表現も多彩なので、是非、注目していただきたい。

この物語は、太宰が得意とした、独特な女の子語りで話が進められる。

同じく『女生徒』という作品も、太宰が女性の一人称で書いたもので、共に読んでいただくと、そのすごさが分かるだろう。

太宰はまた、チェーホフというロシアの戯曲家にも大変影響を受け、特に『桜の園』という作品は、『斜陽』のモチーフともなっている。

あわせて読んでみると、より理解が深まるだろう。

『斜陽』あらすじと感想【逆境から立ち上がるために姉弟が選んだ道とは?】太宰治『斜陽』あらすじと感想【逆境から立ち上がるために姉弟が選んだ道とは?】
『斜陽』の基本情報
出版社 新潮社
出版日 2003/05/01
ページ数 256ページ
発行形態 単行本、文庫、電子書籍、オーディオブック

三島由紀夫『仮面の告白』

三島由紀夫は、『金閣寺』などでその名を轟かせた作家であるが、実は、女性に対して不能であり、同性愛者だったことでも知られている。

『仮面の告白』は、そんな自身の性癖であったりを、まさに暴露しているかのような内容となっている。

幼少期から病弱で女の子のように育てられた主人公は、男性の下半身の膨らみを見た時に、私が彼になりたいと思うほど、男性への思いの強さが伺えるのだ。

また、この作品は、最初の頁に、ドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』に記述されている「美」という概念を引用しており、ドストエフスキーの影響も少なからず受けていることがわかる。

その巧みな表現力から、私たちは目が離せなくなるだろう。

『仮面の告白』の基本情報
出版社 新潮社
出版日 2003/06/01
ページ数 288ページ
発行形態 単行本、文庫

谷崎潤一郎『秘密』

谷崎潤一郎は、三島由紀夫とは対照的に、女性に対する凄まじい欲望や、大胆な性癖を暴露させている作家である。

そんな彼の作品の中でも、最もおすすめなのが、『秘密』。

主人公の男は、女性への憧れゆえに、女性が顔に塗った「おしろい」をつけることに、のめり込む。

そうして女装することが彼にとっての「秘密」になったわけだが、かつて上海へ旅行へ出かけた時に出会ったT女に、女装した姿で再会することによって、物語は急展開を迎える……。

欲望丸出しの『刺青』なども、是非読んでいただきたい代物だ。

『刺青・秘密』の基本情報
出版社 新潮社
出版日 1969/08/05
ページ数 336ページ
発行形態 単行本、文庫、電子書籍

安部公房『砂の女』

安部公房は、言わずもがな、天才といえるだろう。

『砂の女』といい、『箱の男』といい、そのずば抜けた発想力には腰を抜かされる。

主人公の男は、昆虫採集のために、砂が多い地域に行くわけだが、そこで出会った老人にはめられ、底の深い穴に落とされてしまう。

そこは砂が降り注ぐ場所だったのだが、なんと、人が住んでいたのである。

砂の街に住む女性は、亡き夫と子供のために、必死に生活をしている。

男は最初は興味本位で女性を助けるも、次第に脱走を試みるようになり……。

焦燥感溢れる主人公の死に物狂いの描写が、読む者を引きつけさせる。

『砂の女』の基本情報
出版社 新潮社
出版日 2003/03/01
ページ数 288ページ
発行形態 単行本、文庫

田山花袋『蒲団』

田山花袋は、自然主義文学のさきがけになったと言われている。

一見、この『蒲団』の話の概要を聞いただけでは、「うわ! きもちわる!」と言ってしまいたくなるだろう。

なぜなら主人公は、好きだった人の蒲団のにおいをかいで、恋に浸っているのだから。

さらには、自然主義作品とあって、すべてをありのままに表現しているため、田山花袋自身のことについて書かれており、尚更抵抗を持つ人も多いだろう。

しかしそこには、「片想い」や「不倫」という要素が絡まっており、その他女性の香りなどといったものも鮮明に描かれている、れっきとした奥深い恋愛小説なのだ。

そのマニアックな表現を楽しみたい方は、是非読んでいただきたい。

『蒲団/重右衛門の最後』の基本情報
出版社 新潮社
出版日 1952/03/18
ページ数 240ページ
発行形態 文庫、電子書籍

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