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『西部戦線異状なし』原作小説あらすじと感想【読み継がれる翻訳】

『西部戦線異状なし』あらすじと感想【読み継がれる翻訳】

読み継がれる名訳

この作品を読んだことはなくとも、題名は知っていたり、〇〇前線異状なしというフレーズを聞いたりしたことはあるのではないだろうか。

桜前線異状なし、就職前線異状なしなど、さまざまな使われ方がされている。

このキャチーな題名の『西部戦線異状なし』は世界的にベストセラーだ。

驚くことにこの訳、なんと1929年(中央公論社、のち新潮文庫)のものなのだ

「80年以上も前の訳なんて読みづらい」と思う方もいるかもしれない。

しかし訳が変わってないのには理由がある。

80年以上もの時の流れに耐えうる強度を持った訳なのだ。

読みやすいのは訳のおかげだけでなく、原文が鮮麗されているからでもある。

もともとジャーナリストである作者の文章は

平易で誰にに判りやすく、簡潔で、さっぱりして、印象である。

とあとがきにもあるように、非常に読みやすいものとなっている。

古いものは読みづらい。

翻訳は読みづらい、という方もいるかもしれない。

ただこの作品は安心して読んで欲しい。

そんなことは忘れて、物語に没頭できるだろう。

戦争文学である前に青春文学

これは第一次世界大戦を舞台にした、その戦火の中にいる1人の青年の話だ。

筆者自身の経験が活かされたリアリティがあるものになっている。

ここで戦争ものであるからといって抵抗を覚えないで欲しい。

戦火の時代の中で徴兵された青年ボイメルは兵士となった。

確かに彼は兵士だ。

しかし戦争の最中でも、彼には彼の青春がある

兵士である前に、青春の最中を生きるひとりの青年なのだ。

親友との別れ、再会。

それらがたまたま戦争中に起こっただけのことなのだ。

ボイメルはそんな中ひとりの敵兵を殺してしまう。

その時の兵士ボイメルの心情が切ない。

……戦友、どうぞ許してくれ、どうして君は僕の敵になったんだろう。僕らがこの武器とこの軍服を脱ぎ捨ててしまえば、君だってカチンスキーやクロップと同じように、僕の兄弟になれるところじゃないか。

はっとさせられる。

彼らは兵士である前に1人の青年なのだ。

国が違う兵士同士なら敵かもしれない、しかし国が違う青年同士なら友だちになれたかもしれない。

ただ別の軍服を着ていただけである。

以下ネタバレ。映画との比較。まだ映画を観ていない人へ。

この作品、すでに読んだ方はおわかりだが、ボイメルくんは死んでしまう

最後に語り手が代わり、彼の死を告げる。

そして題名にもなっている有名な文が書かれている。

西部戦線以上なし、報告すべき件なし。

ボイメルという1人の兵士、青年の死は戦場においては「報告すべき件なし」となんでもないことなのだ。

日常では1人の死は大きなニュースだが、戦争ではまるで当たり前のことのように扱われる。

戦争をしているのだから、と。

戦後まとめられる死者〇〇万人の1人に数えられてしまう。

1人の兵士が死んだことは大きな出来事ではなく、日常になってしまった戦争中の異様がうかがえる。

一人称の小説の欠点は語り手ゆえ最後まで死なないということがある。

死んでしまったらそこで物語は終わってしまうからだ。

ミステリーにせよ、ホラーにせよ、ハラハラドキドキする作品だとしても、それが一人称で書かれているのであれば主人公は死なないという、よく言えば安心感、悪く言えばつまらなさがある。

しかしこの作品は一人称で進んでいるのにもかかわらず、最後に、ここまでの語り手ボイメルくんも死んでしまった、あっさりと書かれているのである。

ここまで書いてきた志願兵パウル・ボイメル君も、ついに1918年の10月に戦死した。

このたった一文で死んでしまったのだ。

小説ではいいかもしれない。

一人称でボイメルについて心情豊かに書かれている。

先ほど引用した場面、殺すつもりはなかったが、「敵」であるため殺すほかなかった時など、青年の人としても苦悩がありありと書かれている。

そして最後第三者に告げられる淡白な報告がそれまでとはがらりと雰囲気が変わり読者に彼の死を突きつける。

私も読んだとき、強い衝撃を受けた。

どこかで人を殺めたことを苦しみながらも、家族に再開して家庭を作り、と彼の幸福な人生を考えていた。

そんな思いは裏切られて知らしめる、これが戦争だと。

誰が死ぬかわからない。

そんな中で彼らが青年時代の一部を過ごしていたのだと。

しかしここで問題になるのは映画化したときだ。

主人公であるボイメルくんが死んでしまいナレーションで「ここまで……」なんて終わったら観客は白けてしまう。

それをどう映像に「翻訳」したか。

最後のシーンは静かな戦場が映し出される。

ボイメルは塹壕の中にいた。

そこに1匹の蝶がやってくる。

手を伸ばせば届きそうな蝶をつかもうとするが、塹壕から身を乗り出したところを敵兵に狙撃されてしまう。

伸ばしていた手は地面にばたりと倒れる。

その後、静かな戦場の様子が映されて終わる。

このシーンがとても上手く、非常に効果的だ。

ボイメルの死を腕一本で表し、まるで平和を表すかのような蝶に手は届かずに終わる。

戦争の現実が残酷にかつ切なく撮られている。

この小説は映画と合わせてぜひ読んでほしい。

主題歌:ジョンレノン/I Don’t Wanna Be a Solider Mama I Don’t Wanna Die

ジョンレノンの「I Don’t Wabba Be a Soldier Mama I Don’t Wanna Die」

直訳すると、僕は兵士になりたくない

はじめ兵士になった青年はすぐに帰れると思っていた。

長期化するなんて思ってもみなかっただろう。

だからはじめは不安はあったものの怖くなかったかもしれない。

けれど長引くにつれ、その心境は変わったはずだ。

帰りたかっただろう。

戦争なんてしたくなかっただろう。

兵士をやめたかっただろう。

死にたくなかっただろう。

落ち着いたメロディとシンプルな彼らの想いとが合うと思う。

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