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『ピンクとグレー』あらすじと感想【現役アイドルが送る痛いほどの青春小説】

『ピンクとグレー』あらすじと感想【現役アイドルが送る痛いほどの青春小説】

皆さん、芸能界に憧れたことはないでしょうか?

キラキラした華やかな世界、そこでは美男美女が笑い合い、話だけで場を盛り上げる司会者によって、視聴者である私たちも笑顔になる世界。

あるいは、フィクション(たまにノンフィクション)を演じることで私たちを笑顔にしたり、泣かせたりする世界。

私の芸能界のイメージはこのようなものです。

しかし、

本当にそうでしょうか?

そんな風に思わせる本が現役アイドルが送る『ピンクとグレー』という本です。

舞台は芸能界

作者の加藤シゲアキさんはジャニーズ事務所所属のアイドルでもあります。

この話の舞台は加藤さんも身を置く芸能界です。

主な登場人物は2人、河田大貴(りばちゃん)と鈴木真吾(ごっち)。

2人は、子どもの頃から2人を含めた何人かで遊んだり、高校生の時にはバンドを組んだり、いわゆる幼なじみと呼べるような関係でした。

それは街でスカウトされて芸能界に入った時だって変わりませんでした。

2人で同じ事務所に入って、同じ仕事で同じ映画に出て、きっとずっと2人で過ごすのだろうと漠然と思っていたはずです。

しかし、2人の関係が少し変わったのは、ある映画のエキストラに出た時に、ごっちがアドリブでこんなセリフを、たった一言、言ってからでした。

さっきあっちに走っていったよ

たったこれだけで2人の進む道は大きく変わります。

ごっちは白木連吾という芸名で一躍スターとなります。

若き実力派俳優として数々のドラマに出演して、りばちゃんには相談しないままに、事務所もより大きいところへ移籍します。

一方、りばちゃんはなかなか芽が出ず日々バイトに明け暮れます。

2人はシェアハウスをしていましたがそんな状況では上手くいかないのも当然、2人の仲は決裂してしまいます。

ですが

彼らは同窓会で再会して、わだかまりは解けてなくなり、また幼なじみのように過ごします。

2人は一度離れて、また一緒に過ごすようになりました。

でも実はもっと彼らが「一緒」になる方法があったんです。

それはとても私たちが想像できない、絶対再現できない、そんな方法で2人は互いに互いの最大の理解者になるんです。

ネタバレ防止のために、続きは本をご覧ください。

注意
以下、ネタバレ注意です。

ピンクとグレーの感想(ネタバレ)

冒頭でも話しましたがこれは芸能界の話です。

私たちが思う芸能界ってどんなイメージでしょうか?

キラキラしてて、華やかで、とても明るい、素敵な場所。

でもこの話を読んだ私が思うこの本の色は雨が降りそうなくらい暗いグレーです。

何で?それはこれを書いたのが現役アイドルだから、だと思うんです。

しかもジャニーズっていう特殊な環境の。

現在CDデビューしてアイドルとして輝いている人たちにも、ジャニーズJr.として下積みがあって、それに青春を捧げて、その中からCDデビューをする人、俳優として活動する人、事務所を辞める人、それぞれの道があります。

ジャニーズJr.の頃から人気だった人もいます。

その一方、CDデビューしてもなかなか売れなかったグループもあります。

著者の加藤さんだって、NEWSとしてデビューしてからメンバーが脱退したり、活動休止したり、決してではずっと成功してきたわけではないです。

その間に後輩は活動している、焦りを感じることはあったはずです。

私たちが知らない芸能界を知ってる、芸能界に身を置く彼だからこそ書けた話だと私は思います。

芸能界というフィルターを外せば割とある話です、前半までは。

同じように始めたのに1人だけ上手くなって、遠くに行ってしまうように感じてしまうという話。

成功はうれしい、でも素直に喜べない、ある意味嫉妬と呼ばれるような感情も含めた複雑な感情がそこにはあります。

後半は「これは芸能界の話だ…」となります。

なぜ彼はその選択をしたのか?

それは彼が「芸能人」で誰かからいつも見られている、そんな存在だから。

いつだって彼らは「誰かの視線」を気にしていなくてはならない、そう思わせます。

最後の数ページの言葉をここまで説得力を持って書けるのはきっと加藤シゲアキ、彼だけではないかと思います。

そして、この話を通して私が思うキーワードがありまして、

やらないなんてないから

なんですね。

ごっちの基準はこれなんです、全部。

芸能界に入ることだって、それ以降の仕事だって、全て「やらないなんてないから」と思ってやっていたはずです。

だからこそ鈴木真吾は白木連吾でなければなかったし、白木連吾として死ぬために自殺という選択をして、りばちゃんを呼んで遺書を選ばせました。

そしてりばちゃんは遺書を選び、ごっちの人生を白木連吾として閉じ、そして俳優として彼の人生を演じることで彼が今までどのような思いで仕事をしてきたのかを理解します。

そのとき初めて彼はごっちの本心に触れることが出来たんだと思います。

映画を撮るシーンでは目線がごっちとりばちゃん、両方に入れ替わります。

そのごっちは「本当のごっち」なのか「りばちゃん演じるごっち」なのか、途中で混乱してしまうんです。

きっと芸能人は多かれ少なかれ誰かを演じて生きている、それは私たちには想像できないくらい大変なことだと思います。

それでも私たちが望むアイドル像を演じている彼らにありがとう、と言わずにはいられないのです。

まとめ

加藤さんの本業はアイドルです。

でもここでは作家さんです。

それもめちゃくちゃ素敵な話を書く作家さんです。

「たかがアイドルが書いたもの」そう思う人もいるかもしれませんが!

「アイドルが書いただけで話題性があるし、これもそういう類いのものじゃないの?」とか思う人もいるかもしれませんが!

ぜひ読んで欲しいです。

そして衝撃を受けて欲しいです。

主題歌:菅田将暉/さよならエレジー

菅田将暉「さよならエレジー」

まさに「うんざりするほど光れ、君の歌」。

りばちゃん目線かもの曲に思えるかもしませんが私はごっち目線の曲でもあると思います。

ちなみに映画化されているのですが、そのときの主題歌はASIAN KUNG-FU GENERATIONの「Right Now」です。

映画も面白いのですが、時系列が行ったり来たりするということも含めて小説には小説でしかできない方法で書かれているのでおすすめです。

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2 Comments

勝哉

コメントでは初めまして! 勝哉と言います。
実は、シゲ先生の『ピンクとグレー』は読了済な人間でして、この作品の記事を投稿なさった方がいる、という事で、URLからすっ飛んでくる形で拝読させて頂きました。そして今、勢いのままにコメントしております。

しおっちさんの、ジャニーズというアイドルの世界への愛、またNEWSというグループ、そして加藤シゲアキというアイドルであり作家である彼自身への愛、そのようなものが酷く伝わってくる溢れんばかりの愛で満ちた記事で、読了済&にわかで申し訳ないのですが、NEWSの曲も聴く事のある身としては、とても涙溢れて来るものがありました。

実は私自身、この作品を読んだ当初は、アイドルには全く興味がなく、けど文学好きでジャニーズ好きの友人から「これだけは絶対に読んでくれ」と頭をさげて薦められた一冊で、「そこまで言うなら……。でもどうせアイドルの作品だし、そこまでじゃあないだろう」という気持ちで読んだのです。けど、読み終わった瞬間の、突き抜けるような爽快感、けれどその感覚とは別に突き抜けていくそこは、空っぽで風がただ吹き抜けるだけの空間のような空虚な感じもあって、とにかく酷く透明度が高く、同時にアイドルである彼だったからこそ書けた作品だと、本当に思わされました。
その後、他の本も友人から借りて一気読みしてしまいました。NEWSに触れたのはこれが最初の出来事で、アイドルに興味がわいたのも、これがきっかけでした。

感情のままに書き出してしまった為、長文&ぐだぐだなコメントですみません。
ですが、どうしても書かせて頂きたく、書いてしまいました。

それでは、長文でのコメント、失礼致しました。

返信する
しおっち

コメントありがとうございます!
初めての記事でどんな風に読まれるかとても不安だったのですが勝哉さんのコメントにほっとして涙が溢れてしまいました笑
読んでいただけて嬉しいです、ありがとうございます!

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