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ギタリスト・坂本夏樹「読書」を語る【読書は新しいものが生まれてくる時間】(後編)

デジタル社会の現代で再注目される、”経験の重み”

今、新潟で実践していることがあるんです。ミュージシャンではない、工場の人を集めてドラム缶を叩いてもらってリズムを刻む。その中でギターを弾いて、地域の民謡をやるっていう。

――とても実験的ですね。

普段音楽を聴かない人たちしか集まっていない企画ですが、アンダーグラウンドでは人気になっています。音楽に触れていない人に衝撃を与えることで音楽に気付いてもらえる。

経験の重みっていうのが、デジタル社会だからこそ力を持ってきていますね。

――煩わしささえ価値になりますよね。

そうなんですよ。自分で足を運んで、自分で出会ったことに価値がある。

本も本で、本好きの人に勧めていてはダメだと思うんです。決まったところに投げても市場は縮小していくだけじゃないですか。だからこそ他のところからインスピレーションを得る柔軟さが大切だと思っています。

今、個人の本屋さんが増えてるじゃないますが、どんどん増えたらいいなと思います。本のイベントとかも。

イベントで面白いことをやっているのが北鎌倉のモルン。貸切図書館っていうのをやっていて。本好きのミュージシャンが本にまつわるライブをしに来るんですよ。

――面白そうですね。

回数も重ねています。「この本読んでこの曲ができました」とか、ミュージシャンが普段どのように読書に接しているかを教えてくれる。僕自身も本と音楽を結びつけたいなと思っています。

あと、以前小石川にあるPebblesBooksという本屋の久禮さんと一緒に、製本会社を見学に行く会をやりました。この前は加藤製本所にいって、めちゃくちゃ面白かったですね。出版社の方々からも注目されました。

――私たちも、ぜひ取材という形で参加したいです。

そうですね。「とりあえず行くだけ行ってみるか!」と企画しているので、一緒に盛り上げて頂けると嬉しいです。

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