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sumikaはやりきっているのがカッコいい
ーー住野さんにとって読書とはどういうものですか?
娯楽だと思います。生きる上で必要ないのにそれでも欲する人がいるのが美しい。
筋トレみたいな良さもありますね。無意識では動かせない心の筋肉を無理やり動かすために読む。
また、受け取る人それぞれの答えがあるのも読書の魅力だと思います。例えば部屋の情景ひとつとっても、カーテンの色や部屋の形は人それぞれ違う。
豊かな遊びだなと思います。
だから、僕の小説のキャラクターを嫌いな人もいるし、いてもいいと思うんです。
ーーどのようなキャラクターが嫌われているのでしょうか?
主人公ならぶっちぎりに嫌われているのは『痛くて青くて脆い』の楓ですね。
担当さんたちですら「楓が好き」っていう人はほぼいない(笑)
「ちゃんと嫌われなきゃ」と思って書いたので、そこは良かったなと思いますね。
ーー『痛くて青くて脆い』では、BLUE ENCOUNTの『もっと光を』が使われていましたよね。
担当さんから「本のMVを作ろう」という提案があって、『もっと光を』を選ばさせてもらいました。
ギタリストの江口さんがずっと応援してくれていたというのと、ある種の狂気的な真っ直ぐさが欲しかったんです。BLUE ENCOUNTにはそれを感じて。
ーー狂気的な真っ直ぐさ、という点ではSUPER BEAVERにも近いものを感じます。
SUPER BEAVERも大好きです。
『361°』が一番好きですね。この曲は「1周回った場所からの1歩目」という曲で。
僕がTwitterで「SUPER BEAVERが好きだ」と言っていたら、読者さんから「同じレーベルのsumikaというバンド知ってます?」と教えてもらいました。聴いてみたらすごくカッコよくて、それがsumikaとの出会いです。
ーーsumikaは、アニメ『君の膵臓をたべたい』の主題歌に採用されていますよね。
それがあって、より大ファンになりました。横浜アリーナのライブに行ったんですが、「今日sumika初めて見た人?」という質問に半分くらいのお客さんが手を挙げていて、びっくりしました。
これだけ新規のファンが増えていて、更にきっとまだ売れる。だから原作者である僕もなかなかチケットが取れません(笑)
ーーsumikaは何の楽曲がお好きですか?
タイミングによって違いますが、今は『雨天決行』が好きです。初期の曲なんですけど、全ての創作者に共通することを歌っていると思っています。
生まれ落ちた排泄物
汚くて恥ずかしい筈が
極稀にこう言われるんだよ
「綺麗だね、素敵なものだね」
sumikaの片岡さんの作詞能力って本当にすごいんだと思うんです。音へのはめ方も絶妙に気持ちいいし、良い意味で頭の中の容量がおかしい。
sumikaみたいなオープンな音楽とか、SUPER BEAVERの真っ直ぐな感じとかって、中途半端だとまたちょっと違うかもと思うんですけど、そこをやりきってるところがカッコいいですね。
小説でも中途半端なのが一番カッコ悪い。僕も振り切らなきゃいけないと思いますね。
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