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英雄は共鳴し合う!敵であっても廉頗(れんぱ)は最大の友
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全力でぶつかり合った秦六大将軍と趙三大天。
しかし廉頗が趙から魏へ亡命した時、王騎はわざわざ国境を越え、廉頗のところまで行き共に酒を交わし合った。戦場では命のやり取りを繰り返した間柄でも、どこかで苦しみと喜びを分かち合っている“友”なのだ。
また同じ秦の麃公将軍とも酒を酌み交わす仲だ。この三人の共通点は戦場が大好きで、戦に夢やロマンを求めるタイプということ。頂点まで上り詰めた英雄同士は共鳴し合うのだろう。
王騎には婚約者がいた!六将・摎(きょう)との関係
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身分の低い宮女と昭王の間にできた子、それが摎だった。権力闘争から守るため王騎の下に預けられた摎は、“戦神(いくさがみ)”と言われた昭王の血を思う存分発揮する。武と知の両方に恵まれた彼女は、若くして最後の六将まで登り詰める。
摎の目標も信と同じく“天下の大将軍”になることだった。しかしその理由は信とは違い、王騎と交わした幼き日の約束、「お城を百個とったら王騎様の妻にしてください」だった。
そしてついに迎えた百個目の城の戦場は馬陽。六将となった摎が大将で王騎が副将となり臨んだ。
戦いの前、王騎も昔の約束を覚えていることを摎に伝えた。摎はまさか王騎が覚えていてくれたとは思わず、涙して喜ぶ。この戦いが無事終わっていれば、二人は結ばれるはずだった。
因縁の対決!龐煖(ほうけん)を倒さなければならない理由
9年前の馬陽で起こった悪夢、それは無名の龐煖が突如現れ摎の命を奪ってしまったこと。
龐煖の目的は強い者に呼び寄せられその者を葬る、ただそれだけ。自らが最強であり武神であることを証明するために、摎を殺したのだ。
怒りに狂った王騎は龐煖を斬り捨てたが、彼は生きていた。9年後、再び馬陽で相対した二人はお互い一歩も譲れないモノを背負い、戦うこととなる。
しかし自らの最強を証明したいだけの龐煖と違い、王騎には摎の仇以外にもう一つ大きな戦う理由があった。
それは新しい王・嬴政の存在だ。新王は全てを懸けて仕えるに値する稀代の王。昭王から卒業し新たに羽ばたくために“秦の怪鳥”は龐煖を倒さなければならなかったのだ。
天才・李牧登場!王騎が勝てなかったのはなぜ?
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李牧は北の敵・匈奴を討ち果たし、そのまま馬陽へ向かう情報を徹底的に封鎖していた。王騎は張り巡らせた戦略と見張りから、敵の援軍襲来を予想しながらも自軍が敵本陣を討つ方が速いと判断した。これが結果的には過信となってしまったのだ。
しかし本当に恐ろしいのは、王騎がこのような判断をすることを李牧が見切っていたことだ。
つまり王騎が李牧に敗北した理由とは
- 王騎が北方での戦歴がないことを調査
- それにより北方の騎馬の能力を王騎が知らないことも把握
- 結果、援軍の到着時間を王騎が読み誤ることも予測
- 王騎が趙軍を壊滅できないように龐煖をぶつける
敵援軍の予期せぬ早い到着に、王騎は個として龐煖と、軍として李牧を相手にすることとなり万事休すとなったのだ。
王騎を倒した天才李牧の魅力を徹底解説!最後は史実通り非業の死を遂げる?【キングダム】王騎死す!政とともに中華統一を目指すはずだった
馬陽戦の総大将を受ける時、王騎は嬴政に昭王の遺言を伝えた。それは全中華の王としてのあるべき姿の教えだった。さらにこの遺言は王騎が仕えるに値する王だけに伝えよ、とも昭王から言われていた。
この時、王騎は嬴政にはっきりと真意を伝える。
王騎「共に中華を目指しましょう、大王」
馬陽の戦いは“秦の怪鳥”が新しい秦王と共に、中華統一を目指す第一歩になるはずだった。
信に「大将軍とは」を伝え、王騎の矛を託す
主人公・信と王騎、初めての出会いは蛇甘平原だった。(7巻第66話)
当時まだ14才だった信にとって、“天下の大将軍”王騎は大きすぎる存在。
その後、無法地帯に突き落とされた4ヶ月の修行で、“率いること”の難しさと“集”の強さを学び、馬陽序盤では“飛信隊”を命名され修行の成果を見事に出してみせる。
王騎の期待に見事に応えた信だったが、この戦いが今生の別れに。
王騎は死際、信に自らの矛を託し、「素質はありますよ、信」の言葉を最期に贈った。
信はここから“天下の大将軍”を、具体的にどのような存在か?を理解し前へ進んでいくこととなる。
至極の王騎名言5つを厳選して紹介!
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王騎はコミック16巻で亡くなってしまうので、名言も最後の戦場である馬陽に偏る。ほぼずっと名言なのだが、その中でも至極の5選を紹介する。これらの名言は誰に対して何を伝えたかったかも考察してみた。
“率いること”の難しさと“集”の強さを
「キングダム10巻第107話/アニメ:シーズン1第24話」
どうしても王騎に修行をつけて欲しい信は、王騎の居城へ押しかける。熱い想いをぶつけてくる信に王騎がとった行動は・・・争いの絶えない無国籍地帯へ崖から蹴落とす荒行だった。
王騎「この地を平定してみせなさい」
しかも敢えて信から剣を取り上げ、“個の武力”に頼らない平定を課した。
この名言は信に対して、“天下の大将軍”への第一歩は“個の武力”を磨くことではなく“集”の強さを理解すること、を教えたのだった。
「命の火と共に消えた彼らの思いが全てこの双肩に重く宿っているのですよ」「天下の大将軍ですよ」
「キングダム16巻第165話/アニメ:シーズン1第36話|キングダム16巻第170話/アニメ:シーズン1第37話」
龐煖は王騎に敗れて以来9年間、ひたすら修行に明け暮れた。にもかかわらず、目の前の王騎を倒せない。王騎の一刀の重さが理解できないのだ。
龐煖「この男のどこにこんな力が」
さらに魏加の矢という助太刀を得て、矛で王騎を貫いた後も同様の場面が。
龐煖は王騎の強さの源泉がどうしても分からないのだ。対して王騎は答える。何千何万という兵の命と想いを背負うからこそ、将軍は人知を超えて強くなるのだと。
この2つの名言は龐煖に対して、“個”の武力でいくら強くなろうとも、“集”の命と想いを背負い戦う大将軍には勝てない、ということを表している。
これが将軍の見る景色です
「キングダム16巻第172話/アニメ:シーズン1第38話」
死地のわずかな隙間をぬって、脱出を図る馬上の王騎と信。王騎は龐煖に胸を貫かれ、わずかな時間しか残されていないことを理解している。彼はここで初めて信に直接「大将軍」としての教えを伝える。
敵の群れ・顔、味方の表情・眼差し、そして天と地と。
王騎「これが将軍の見る景色です」
全身に力がみなぎる、と感じる信。と同時に視野が開け、色々な情報が飛び込んでくる。王騎はこの感覚を信に見せたかったのだろうし、信なら感じてくれると思ったのだろう。
やはり信に対し偶然訪れた千載一遇のチャンスで、何とか“大将軍”の片鱗を教えたかった王騎の想いが溢れている名言だ。
皆の背には常にこの王騎がついてますよ
「キングダム16巻第169話/アニメ: シーズン1第37話」
龐煖との一騎打ちの真っ最中に予期せぬ李牧軍4万が現れた。正確に言うと、予期はしていたが、こんなに早いとは…王騎が小さく汗をかく。圧倒的な兵力差の軍勢に包囲され、その上最強の武人と戦わなければならない。
「我、正に死線に在り」
この絶望的な状況で王騎は自軍6千に向け命令を出す。
王騎「敵十人を討つまで倒れることを許しません」
もはや策はない、しかし諦めない。策が無ければ力ずくで活路をこじあける。
そしてこの名言は仲間を信頼し、仲間からの絶大な信頼を受け止める途方もない大きな器を持った大将軍だからこそ、皆を奮い立たせることができる言葉だ。
果なき漢共の命がけの戦い、ンフフフ全く、これだから乱世は面白い
「キングダム16巻第172話/アニメ:シーズン1第38話」
王騎は絶えず血を熱くさせる戦場を求めていた。最強と謳われた六将のひとりだった自分が新たな強者・李牧に敗れた。しばらく中華は李牧を中心に回るだろうが、その李牧でさえさらなる強者に討ち取られる日がきっとやって来る。
そして自らも武に生き、武に死ねることは本望で、一片の悔いも無い。この名言は王騎の人生観を表現したと言える。
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