SiMが歌うTVアニメ『進撃の巨人』のファイナルシーズンパート2のOP主題歌『The Rumbling』。この記事では、歌詞で描かれている感情と、サウンドで表現しているものをネタバレも含めつつ考察していく。
また記事末では、おすすめの『進撃の巨人』スピンオフ作品も紹介。
『The Rumbling』の和訳が気になる人、『進撃の巨人』の雰囲気が好きな人に読んでもらいたい。
SiM『The Rumbling』に表れている「地鳴らし」の恐怖とエレンの弱さ
このタイミングでなぜSiMが起用?
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オープニングに起用されたのは今回が初めての『進撃の巨人』のタイアップとなるSiMだ。OPで、新アーティストを起用するのはシーズン4のYOSHIKI feat.HYDE『Red Swan』以来である。それがファイナルシーズンのパート2なのは意外だった。おそらく最後になるであろうOPのため、過去に縁があったアーティストを起用する可能性が高いと踏んでいたからだ。
2008年に1stフルアルバム『Silence iz Mine』をリリースして以来、川のように音楽性が変化し続けているが、一般的にSiMはレゲエパンクバンドと呼ばれている。
黒人音楽であるレゲエは1960年代後半ジャマイカで発祥し、1980年代前半まで流行したポピュラー音楽であり、黒人音楽と形容できる。
一方で諸説あるが、パンクのルーツはEUにある。アメリカにもパンクは存在していたが、イギリスで同じ音楽性のパンクロックバンドが続々と登場し、ロックの新しい時代を築いた。
ルーツが別々のものを一つにまとめあげる音楽性は『進撃の巨人』の世界観にも近いのかもしれない。
このタイミングでSiMが起用された理由としては、ポニーキャニオンへの移籍が理由として考えられる。あくまでも推測だが、ポニーキャニオンは『進撃の巨人』とは切っても切れない関係にあるため、レーベルの移籍に伴いそういう話になった可能性は少なくないだろう。
タイアップが先でレーベルを変えたか、レーベルを変えた先でタイアップの話が来たのかは不明だが、『進撃の巨人』に親和性も高く、新鮮さももたらす結果となった。
ラウドなサウンドだから際立つ、「地鳴らし」の恐ろしさ
気迫のこもったデスボイスや心臓に直で響き渡る激しいドラミングなどラウドロック特有の武器を用いて、「地鳴らし」の恐怖感を肌で感じられるサウンドに仕上がっている。
さらに『The Rumbling』はストリングスやクワイヤといった、これまでのSiMにはあまりなかった音も。SiMとしてネクストステージに移ったことが感じられ、作品としては”事”の壮大さにも気付かせてくれるアレンジとなった。サビ部分では対照的に切なく歌い上げるMAHの歌声も重要な聴きどころだ。
歌詞にみるエレン個人の「人間臭さ」
歌詞ではエレンの弱さと、強さの二面性が描かれている。
歌い出しの
BEWARE COMING FOR YOU… (覚悟するんだ 俺は進み続ける)
には、これから世界人口の8割の人間を虐殺しようとする覚悟が表れている。
強さという面ではサウンドからも感じられると思うが、
All I ever wanted to do was save your life…(ただ、お前を守りたかっただけだ…)
など本心を吐露するような描写もあり、一筋縄では行かない。
サビ前の
YOU TELL ME WHAT HAVE I MISSED STILL WANDERING IN THE DEEP MIST…
(お前が教えてくれよ 俺は何を見落としたんだ? 今も 霧の中を彷徨っている …)
はデスボイスで歌われていることにより、エレンの抱える苦しみがダイレクトに伝わってくる。
TV Size Verではコーラス部分を除いて最後の歌詞が
I don’t want anything, I’m just here to…(俺が此処に居る理由は…)
と全てを言い切らずに終わっているところが進撃らしくもあり、強がりで頑固なエレンらしくもある。
OP・ED主題歌に表れている両面性
『進撃の巨人』ファイナルシーズンパート2のOP・ED主題歌に共通して描かれているのは、エレンの大量虐殺者としての一面よりも、1人の弱き人間としての一面だ。1人の人間が持つ両面性を、異なる音楽観でそれぞれ別角度から巧みに引き出している。
OP主題歌『The Rumbling』のように凶悪な面を出すにしても、単におぞましいだけでなく、そこに人間の弱さも含めると音楽は一層引き締まる。ED主題歌『悪魔の子』も然りだ。
音楽という目には見えない繊細なフォーマットでは、幸福や逞しさよりも後悔や傷など、センチメンタルな感情が心に深く刺さる。
自由を求めすぎた故に不自由になってしまうエレンの苦しみの表現に関しては、目と耳で楽しむ映像よりも情報量が制限される音楽の方が向いているのではないだろうか。
歴代主題歌から紐解く『進撃の巨人』のアイデンティティー
SiM 『The Rumbling』にもあった讃美歌のようなアレンジは過去の主題歌でも多用されている。
作者も好きなバンドだと公言している、前作を担当した神聖かまってちゃん『僕の戦争』も例外ではない。
サビに入った途端、主となるメロディーとは全く異なるメロディーをぶつけることで、「パラディ島VSマーレ」の戦争の過激さが伝わってくる。さらには子どもの声に加工されたオートチューンの日本語が加わることでカオスが極まっていく。
過去最多の主題歌提供数を誇るLinked Horizonの『紅蓮の弓矢』は最初の主題歌だったが、今聞いても作品の解像度が高く、全く色褪せていない。5分間の中に様々な要素がこれでもかと詰め込まれており、情報量が凄まじい。そこには人類の復讐心が全面的に表れており作品の魅力が分かりやすく伝わってくる。
特に歴代OP主題歌では、カオスさを滲ませる楽曲が多い。「人VS巨人」「人VS人」「マーレVSパラディ島」「人類VSエレン」と常に相対するものが存在しているため、要素が多数ある楽曲は『進撃の巨人』のイメージに沿っている。
だからこそ、ED主題歌は心情を抉り出すような繊細な楽曲が目立ったのかもしれない。
おすすめのスピンオフ作品
『進撃!巨人中学校』
原作は諌山創、漫画は中川沙樹が担当。
エレンやミカサ、さらには巨人たちが中学校に通っている公式パロディギャグ漫画になっており、続編として『進撃!巨人高校』もある。『進撃の巨人』本編はシリアスなストーリーだが、本作はキャラクターの設定を借りたコメディータッチの作品で、気軽に”進撃”の世界を体感できる。
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『進撃の巨人 悔いなき選択』
「リヴァイ外伝」とも呼ばれ、DVD&Blu-rayの初回限定特典として収録されていたものだったが、2014年にコミカライズ化され、全2巻で発売されている。
調査兵団に入る前のリヴァイは地下街で盗賊として生活をしていた。立体機動装置を巧みに操るリヴァイの噂を聞きつけ、エルヴィンはリヴァイを調査兵団へと入団させる。しかしリヴァイにはエルヴィンを殺すという使命があった。リヴァイの心境に胸が痛むエピソードだ。
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小説『進撃の巨人 LOST GIRLS』
「アニ外伝」「ミカサ外伝」とも呼ばれており、こちらもDVD&Blu-rayの初回限定特典だったが、現在はOADシリーズとして各種動画配信サービスでも見ることができる。
「アニ外伝」はエレン・イェーガー襲撃前日の物語、「ミカサ外伝」はあり得たかもしれない幼き日のミカサの物語になっている。
本編と関わるシーンも多々描かれており、本編をより深く楽しむことができる。全2巻のコミカライズ版も発売されている。アニ、ミカサへ感情移入し、少し複雑な気持ちにさせられる。
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