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小説家、ゆずはらとしゆき「音楽」を語る【好きなアーティストはムーンライダーズ、フレデリック】

小説家、ゆずはらとしゆき「音楽」を語る【好きなアーティストはムーンライダーズ、フレデリック】

木下古栗『人間界の諸相』に合うのはフレデリックの『ディスコプール』

ーーおすすめの本と音楽の組み合わせを1つ教えてください。

木下古栗さんの『人間界の諸相』と、フレデリック『ディスコプール』かな。


ぼくが小説を書き始めた20年前と比べると、小説も音楽も技術的に底上げされて、あからさまなハズレがなくなったんですが、こと小説に関しては、安全に最適化されている物語が多くなったような気がします。

商業作家としては、語りの技術というシャリに乗せる寿司ネタ=物語は安全なほうが正しいんですけど、安全で安心で退屈なのも事実です。

人間の弱さや歪みもすべて予定調和の中に収まっていて、種痘のように適度なエモい傷を残すところまでそろばんずくというか。

対して、木下さんの作品はシャリの上に深海魚とか乗せていて、安心できないというか、刑務所の塀の上を歩くように、どちらへ転がり落ちるか分からない無意味な緊張感を孕んだまま、物語として繋いでいく語りの技術が素晴らしいな、と思います。

フレデリックは明るく能天気で上手いダンスバンドですが、聴いているとふと不安になる一瞬があって。

健全にネジが外れているところが、無意味な緊張感を上手いこと相対化してくれるんじゃないかな、と。

自作の欠点というか、たまに足枷の叙情性から解き放たれて、徹頭徹尾くだらない与太話を語りの技術だけで読ませたいな、と思うこともあるんですが、技術が足りなくて、どうしても意味に頼ってしまうんですよ。

だから、木下さんの小説にはすごく憧れますね。

『メトロポリス探偵社』に鳴らす音楽は?

ーーご自身の作品に鳴らすならどの曲かを教えてください。

スカートの『CALL』です。

『メトロポリス探偵社』は4年ぶりの新刊なんですが、その間、いろいろ煩わしいことがありまして。

冒頭でも述べた「ライトノベルへの愛はあるけど、たぶん場違いなんだろうな」という諦めもあって、そろそろ商業作家を辞める頃合いかな、と思っていたときに聴いた曲ですね。

『CALL』のMVは女子高生が2人出てきて甘い感じで、歌詞も丹念に抽象化されていて、耳触りのいいポップスなんですけど、内容は進むことも戻ることもできない、迷いと孤独の歌で。

行き場もなく、身体に絡みついた過去を捨てることにも難儀しているあたり、『バック・シート』以上に暗い曲かも知れない。

サウンド的にも、過去に聴いていたアーティストたちのいろいろな曲と地続きの美しいメロディーなんですが、たぶん、わざとねっとりとした違和感を残している。

まるでそれが呪いであるかのように。

呪いを呪いのまま、あくまで耳触りのいいポップスとして歌うのは、諦念と覚悟です。

だとすると、ぼくもそうやってライトノベルを書くしかないのかな、と思いました。

スリップストリームとか言っているけど、青春小説でもSFでもミステリでもラブコメでもなく、ライトノベルという「娯楽小説」に徹することもできない。

ただの言い訳じゃねえか、と塞ぎ込んでいたんですが、開き直ってまた書き始めたわけです。

今度はできる限り「娯楽小説」であろうと思いつつ。

まあ、自意識の地獄から脱出してもまた次の地獄が待っているだけで、栄光のないエクソダスなんですけどね。

おわりに

ーー今後の活動についての意気込みをお願いします。

大量消費されるためのジャンルに居候しているくせに、デビュー20年目でようやく通算10冊目という、生きているんだか死んでいるんだか分からない作家ですが、呪いのような理想はまだ抱えていますので、書ける機会がある限りは書き続けたいですね。

PSY・Sの『chasing the rainbow』という曲が原風景のひとつなんですけど、まあ、あんな感じで、あるんだかどうかも分からない虹を追いかけつつ、しぶとくやっていきます。

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