この記事では、憑き物落としの京極堂や探偵・榎木津礼二郎、うだつの上がらない小説家の関口巽など個性豊かなキャラクターたちが奇怪な事件に挑む京極夏彦「百鬼夜行シリーズ」のあらすじと感想をまとめて紹介します。
気になる作品が見つかった方は、作品ごとの書評記事をぜひご覧になって百鬼夜行シリーズの世界に触れてみてください。
百鬼夜行シリーズ全巻レビューまとめ
『姑獲鳥の夏』あらすじと感想【京極夏彦、衝撃のデビュー作】
戦後間もないある年の、梅雨明けも近い夏の始まり。
作家・関口巽はとある質問をする為に、古本屋・京極堂(きょうごくどう)こと中禅寺秋彦を訪ねる。
その質問とは、「妊婦が20箇月間も妊娠していられるか」というもの。
それが事実なら不思議なことだと話す関口に、京極堂は「この世には不思議なことなど何もない」と告げる。
京極堂の話を聞き納得する関口だったが、件の妊婦・久遠寺梗子(くおんじ きょうこ)の夫、久遠寺牧郎(くおんじ まきお)が関口や京極堂の知人だったことにより、急速に事件へと巻き込まれていく。
更に久遠寺家に纏わり付く、「久遠寺牧郎の失踪」と「連続する嬰児の死亡」という噂、そして「憑物筋」という呪い。
刑事・木場修太郎(きば しゅうたろう)や探偵・榎木津礼二郎(えのきづ れいじろう)等の手を借り、事件に臨む関口だったが、事件はやがて、関口自身の過去にも影を落とす…。
鬼才・京極夏彦の処女作にして、『百鬼夜行シリーズ』の第1弾!
『姑獲鳥の夏』あらすじと感想【京極夏彦、衝撃のデビュー作】『魍魎の匣』あらすじと感想【異なる謎が重なる時、姿を現す魍魎の正体とは?】
刑事、〈木場修太郎(きば しゅうたろう)〉が関わった、女学生と列車の人身事故。
その被害者が運ばれたのは、〈匣の館〉とでも呼ぶべき施設だった。
作家、〈関口巽(せきぐち たつみ)〉が耳にした、武蔵野連続バラバラ殺人事件の話題。
被害者は皆、体の一部が〈箱詰め〉で発見された。
古本屋、〈中禅寺秋彦(ちゅうぜんじ あきひこ)〉のもとに持ち込まれた、新興宗教〈御筥様〉の噂。
教主は悪いモノを、〈筥に封じる〉と言う。
不気味な符号を見せながらも無関係だった事件が重なる時、〈魍魎〉が姿を現す…。
〈百鬼夜行シリーズ〉最高傑作とも呼ばれる、京極文学の真骨頂!
『狂骨の夢』あらすじと感想【永き刻を経た謎に京極堂が挑む「百鬼夜行シリーズ」第3弾】
元精神科医の〈降旗弘(ふるはた ひろむ)〉を悩ませるとある悪夢。
〈積み重なった髑髏の前で、大勢の男女が性行している〉という彼の夢は、何を意味するのか。
一方で釣り堀〈いさま屋〉を営む、釣り好きの朴念仁〈伊佐間一成(いさま かずなり)〉は逗子の海岸で、海に向けて花を手向ける女性、〈朱美(あけみ)〉と出会う。
〈人を殺したことがある〉という彼女の告白に、翻弄される伊佐間。
そして、うだつの上がらない小説家の〈関口巽(せきぐち たつみ)〉は幻想小説の大家〈宇多川崇(うたがわ たかし)〉から、妻〈宇多川朱美(うたがわ あけみ)〉の様子がおかしいという相談を受ける。
何度も夫を手にかけたという彼女の言葉は、真実か、妄想か。
様々な謎が錯綜する中で、逗子の海に浮かぶ〈金色の髑髏〉と、各所で目撃される〈復員服の男〉の存在が、一同をさらなる混乱へと導く。
永き刻を経た新たな謎に、京極堂が挑む‼︎
『鉄鼠の檻』あらすじと感想【巨寺を舞台にした僧侶連続殺害事件に、京極堂が挑む】
あらゆる自社仏閣を把握しているであろう〈京極堂〉こと、〈中禅寺秋彦(ちゅうぜんじ あきひこ)〉ですら存在を把握していなかった謎の古刹、〈明慧寺〉。
過去の因縁が影を落とすその巨寺では、禅宗の僧侶たちが日々修行を重ねている。
偶然にも近辺に宿泊していた京極堂と、陰気な作家〈関口巽(せきぐち たつみ)〉は、とある理由からその謎の寺で起こる、〈連続僧侶殺害事件〉へと巻き込まれていくこととなる。
〈言葉〉を操り憑物を落とす中禅寺が〈言葉〉を否定する禅宗へと挑む、「百鬼夜行シリーズ」の大長編‼︎
『絡新婦の理』あらすじと感想【結果が原因を呼ぶ複雑な蜘蛛の巣に、京極堂が挑む】
世間を騒がせる、〈目潰し魔〉による連続傷害殺人事件。
その捜査に奔走する刑事・〈木場修太郎(きば しゅうたろう)〉は、捜査線上に浮かんできた友人、〈川島新造(かわしま しんぞう)〉の存在に困惑する。
手掛かりを求めて川島に接触する木場だったが、川島は〈蜘蛛に訊け〉という言葉を残し、失踪を遂げる。
一方で〈聖ベルナール女学院〉の生徒、〈呉美由紀(くれ みゆき)〉と〈渡辺小夜子(わたなべ さよこ)〉は、学校内に飛び交う噂を追う中で、〈蜘蛛の僕〉なる集団と、望めば人殺しさえ厭わないという〈蜘蛛〉の存在を知る。
〈蜘蛛〉の存在に半信半疑だった2人だが、奇しくも〈蜘蛛の僕〉の一員であったらしい少女、〈麻田夕子(あさだ ゆうこ)〉と知り合ったことで、彼女達は恐ろしい〈蜘蛛の巣〉に囚われることとなる…。
結果が原因を生み、更なる結果をもたらす〈蜘蛛の巣〉のような複雑怪奇な事件に、憑物落とし・〈京極堂〉が挑む!
『塗仏の宴 宴の支度/宴の始末』あらすじと感想【「百鬼夜行シリーズ」初の上下巻!】
陰気な作家・〈関口巽〉は、とある出版社の社員〈妹尾友典(せのお とものり)〉から紹介され、元警察官の〈光保公平〉と出会う。
戦前は韮山にあったはずの〈戸人村〉が、戦後には存在ごとなくなっていたという奇怪な相談を持ちかけられた関口は、地元警官の〈淵脇〉と流浪の物書き〈堂島静軒〉と共に、韮山に足を踏み入れる。
それを合図に始まる、狂乱の宴。
世間に乱立する信仰宗教、〈成仙道〉〈韓流気道会〉〈太斗風水塾〉。
とある理由から、〈韓流気道会〉の暴漢に狙われる出版社の雑誌記者、〈中禅寺敦子(ちゅうぜんじ あつこ)〉。
失踪を遂げる、探偵〈榎木津礼二郎〉と刑事〈木場修太郎〉。
そして、とある女性の殺害容疑で逮捕されて厳しい取り調べを受ける、心神喪失状態の関口。
多くの人々がこの騒乱に巻き込まれたことで、〈京極堂〉こと〈中禅寺秋彦(ちゅうぜんじあきひこ)〉は重い腰を上げる。
京極堂の指示を受けた刑事〈青木文蔵(あおき ぶんぞう)〉と雑誌記者〈鳥口守彦(とりぐち もりひこ)〉、探偵助手の〈益田龍一(ますだ りゅういち)〉は、事件の鍵となる人物等を集めるため韮山に向かう。
しかし、既にそこは3つの新興宗教のよる暴動の現場となっており…。
韮山に棲まう不老不死〈くんほう様〉と、〈村人五十人鏖殺事件〉の真相とは?
事件の背後に潜む〈ゲーム判定者〉に、京極堂が挑む。
過去作のキャラクターも揃い踏みする、「百鬼夜行シリーズ」の第6弾!
『陰摩羅鬼の瑕』あらすじと感想【連続花嫁殺害事件に挑むは、榎木津礼二郎と関口巽】
白樺湖畔に佇む〈鳥の館〉。
様々な鳥の剥製が飾られたその館の主人、〈由良昴允〉伯爵は、1度も館の外の世界に触れることなく、書物のみを糧に世界を学んだ人物。
5度目の婚礼を控える彼は、とある不安を抱えていた。
これまでの4人の花嫁が、結婚初夜かその翌日に、何者かによって殺害されたのだ。
今回こそは花嫁を守ろうと決意した由良伯爵は、〈薔薇十字探偵社〉の探偵、〈榎木津礼二郎〉に、花嫁〈奥貫薫子(おくぬき かおるこ)〉の警護を依頼する。
しかし、依頼を受け意気揚々と〈鳥の館〉に向かった榎木津は旅先で発熱し、一時的に視力を失ってしまう。
そんな榎木津のサポート役として、急遽〈鳥の館〉へと招かれた陰気な作家、〈関口巽〉。
関口と、関口の作品へ強く興味を持っていた由良伯爵は、関口と榎木津の2人を歓迎。
特に関口は、由良伯爵の望みで、2人で語らう時間すら設けられる。
由良伯爵との会話の中に1つの違和感を覚えながらも、由良伯爵が抱く薫子への誠実な愛情を感じた関口は、なんとしても花嫁を守らなければという思いを強くする。
不安の種を抱えながらも、着々と進んでいく婚礼の準備と、集まり始める親族。
そして一同が会する中で、視力を失った探偵は叫んだ。
おお、そこに人殺しがいる!
これまで花嫁を死に至らしめたのは、誰なのか。
由良伯爵の論理にある、〈疵〉とは何か。
そして、関口が至った1つの真実とは。
物語の再始動を告げる、「百鬼夜行シリーズ」の第8作!
『邪魅の雫』あらすじと感想【破談になり続ける榎木津の縁談と、連続毒殺事件の関係は如何に!】
〈死のうかな〉〈死んでいた〉〈死んでしまった〉〈死にそうだ〉〈死んだのか〉〈亡くなった〉、〈殺してしまった〉〈殺してしまった〉〈殺す気なのか〉…。
天衣無縫の探偵、〈榎木津礼二郎(えのきづ れいじろう)〉に持ち込まれる、縁談の数々。
眉目秀麗にして頭脳明晰、腕っ節も強い上に家柄も申し分ない(ただし性格は気妙奇天烈)筈の彼の縁談は、しかし相手方から断られ、全て破談となる。
不審に思った榎木津の親族から、その原因の調査を依頼された探偵助手の〈益田龍一(ますだ りゅういち)〉。
一方、伊豆で起きたとある事件を理由に、江戸川沿いの交番勤務に左遷された刑事の〈青木文蔵(あおき ぶんぞう)〉は、会社員の毒殺死体を発見したことで図らずも捜査の渦中へと巻き込まれていく。
連続する毒殺事件と、榎木津の縁談の破談との関わりとは?
〈真実を見透す目〉を持つ探偵・榎木津礼二郎の過去が明かされる、「百鬼夜行シリーズ」の第9作!