あっと驚く伏線回収や緻密なトリック、名探偵のかっこいい活躍など、非日常的な刺激をくれる「ミステリー小説」。
今回は数々の小説を読んできたライター5人が、おすすめの40作品をどんでん返し、海外、イヤミスなどのジャンルに分けてご紹介します!
ハラハラドキドキするお気に入りの1冊を見つけてみてください。
※2022年7月18日に2022年最新の話題作(黒牢城、六人の嘘つきな大学生、#真相をお話しします)を追記しました。
目次
最新のミステリー小説おすすめ
『黒牢城』米澤穂信
#第166回直木賞受賞 #第12回山田風太郎賞受賞
まさみ
天正六年の冬、織田信長に反旗を翻した武将・荒木村重は、地下牢に幽閉した天才軍師・黒田官兵衛に城内で起きた難事件の解決を求めます。
米澤穂信の新境地となる歴史ミステリー。一種の安楽椅子探偵もので、牢屋から一歩も出ず、快刀乱麻の知恵と機転で難事件を叩き斬る官兵衛がかっこいいです!
戦国時代を生きる武将たちの激動の運命も見所で、自分を捕らえた敵に手を貸す官兵衛の真意はどこにあるのか、最後までハラハラドキドキしながら読めました。
本能寺の変より四年前、天正六年の冬。織田信長に叛旗を翻して有岡城に立て籠った荒木村重は、城内で起きる難事件に翻弄される。動揺する人心を落ち着かせるため、村重は、土牢の囚人にして織田方の智将・黒田官兵衛に謎を解くよう求めた。事件の裏には何が潜むのか。戦と推理の果てに村重は、官兵衛は何を企む。
『六人の嘘つきな大学生』浅倉秋成
#ブランチBOOK大賞2021受賞 #2022年本屋大賞5位
まさみ
ある大企業の最終選考に残った六人の大学生。誰が最も企業にふさわしい人材か議論中、それぞれの「罪」を告発する手紙が届き…。
伏線回収の見事さに脱帽する密室心理劇。相手の嘘を見破る為、罠を仕掛け裏をかく駆け引きは最高にエキサイティング!自分もその場にいるようなスピード感に、ページをめくる手が止まりません。
誰もが持っている二面性と向き合った上で、時にその「嘘」を許し、人間の良心を信じることの大切さを教わりました。
成長著しいIT企業「スピラリンクス」が初めて行う新卒採用。最終選考に残った六人の就活生に与えられた課題は、一カ月後までにチームを作り上げ、ディスカッションをするというものだった。全員で内定を得るため、波多野祥吾は五人の学生と交流を深めていくが、本番直前に課題の変更が通達される。それは、「六人の中から一人の内定者を決める」こと。仲間だったはずの六人は、ひとつの席を奪い合うライバルになった。
『#真相をお話しします』結城真一郎
#第74回日本推理作家協会賞受賞 #第22回本格ミステリ大賞ノミネート
まさみ
娘のパパ活を案じながらマッチングアプリに手を出す会社員。リモート飲み会で盛り上がる学生時代の腐れ縁たち。「ゆーちゅーばー」を目指す島育ちの小学生4人組。彼らが巻き込まれた事件とは…。
全収録作にどんでん返しが仕掛けられており、読者の先入観を欺く真相の数々に度肝を抜かれます!登場人物たちの愚かな選択と、皮肉な顛末にヒヤリ+ニヤリ。
とても読みやすい上にトリックの意外性が味わえるので、ミステリー初心者におすすめしたいです。
私たちの日常に潜む小さな”歪み”、あなたは見抜くことができるか。いま話題沸騰中の著者による、現代日本の〈いま〉とミステリの技巧が見事に融合した珠玉の5篇を収録。
初心者向けミステリー小説おすすめ
読みやすくて面白い人気作はこれ!
1位『容疑者Xの献身』東野圭吾
#第134回直木賞 #第6回本格ミステリ大賞 #福山雅治主演映画の原作
永瀬
物理学者・湯川学の活躍を描いた「ガリレオ」シリーズ初の長編。
湯川の友人の数学者・石神が登場し、天才vs天才の対決は白熱!物語のラストで石神がトリックのためにささげた犠牲に湯川は言葉を失います。
石神は類まれな数学センスを有しているものの、研究は趣味の範囲におさめ、陰気な高校教師として冴えない日々を送っています。
そんな石神は、隣人の花岡靖子に心を寄せていました。彼女が元夫を殺してしまったと知った石神は、殺人を隠ぺいするため、天才的な頭脳を駆使して驚くべきトリックを編み出します。その謎に挑むのが湯川でした。
驚愕必至の結末は、映画版と原作では微妙に展開が異なります。ぜひ両方ともチェックしてみてください。
2位『氷菓』米澤穂信
#第五回角川学園小説大賞奨励賞 #山崎賢人/広瀬アリス主演映画の原作 #アニメ化
ありふれた日常と地続きの場所から起こる事件の数々は、「人が死ななくても、これほど面白いミステリーが成立するのか!」と、私たちの日常を見る視点さえも変えてくれます。
「やらなくていいことはやらない。やらなければいけないことは手短に」そんなモットーを口にする省エネ高校生・折木奉太郎が日常の謎を解き明かす本書は、青春ミステリーの代名詞のような作品。
いつの間にか密室となった教室、あるはずの文集をないと言い張る少年、「氷菓」というタイトルの文集に秘められた33年前の真実。
人の心の機微を丁寧かつ論理的に読み解く米澤穂信の筆致は、主人公たちが味わう青春のほろ苦さまで追体験させてくれるでしょう。
ヒロイン・千反田えるも可愛らしく、マンガ好きの方がミステリー小説の入門書として読むのもおすすめです。
3位『謎解きはディナーのあとで』東川篤哉
#2011年本屋大賞 #櫻井翔主演ドラマの原作 #映画化
令嬢刑事・麗子と毒舌執事が難事件に挑む人気小説。
署内で起こる数々の事件の内容を執事に話す麗子ですが、話を聞くうちになんと執事のほうが事件を解決してしまいます。
「なぜこんな簡単なことも分からないのか」といわんばかりの辛らつな言葉で麗子をバカにしますが、彼の推理力は圧巻!軽快な語り口で鮮やかに事件を解決していきます。
刑事とは真逆のラグジュアリーな麗子の日常を覗けるのも、この物語の魅力。さらに、お嬢様であることを隠している麗子に対し、知らずに金持ちマウントをとってくる上司の風祭警部も憎めないキャラクターです。
一話完結のショートストーリーなので、短いミステリーをさらっとちょっとずつ読みたいあなたに!
4位『変な家』雨穴
#映画化
この家は何もかもが不可解です。
利用方法が不明な部屋。消えてしまった以前に住んでいた家族。そして、同じように不可解な間取りの家がもう1つ登場します。
YouTuberで作家の雨穴(うけつ)が、友人からマイホームについての相談を受けます。それは、「良い条件の家が見つかったが、図面でしか存在を確認できない不可解な部屋がある」というもの。
知人の設計士・栗原さんに図面を見てもらったところ、彼はある恐ろしい推理を展開していきます。2つの家に共通して存在する「不可解な間取り図」の本当の意味を知ったとき、きっと背筋が凍るに間違いありません。
ミステリーもホラーも両方好きという人におすすめです。
5位『すべてがFになる』森博嗣
#第1回メフィスト賞
「すべてがFになる」のFとは何を示しているのでしょうか。
この事件は、誰が何をしたのか。全く予想のつかない出来事が次々に展開されます!ロボット、AI、ウィルス…めまぐるしく変わりゆくこのオートマチックな現代社会の中で、人間とは何かを考えさせられるストーリーです。
1998年、まだフロッピーディスクの時代に発売されたミステリー作品。大学教授の犀川とお嬢様学生の萌絵が、孤島のハイテク研究所で起きた殺人事件の謎に迫ります。
天才・真賀田博士とは何者なのか?博士が研究員やスタッフにも全く会わず、すべてのやりとりがテレビ電話である理由とは?
徹底管理された研究所には今や当たり前となった音声認識AIロボが登場し、かなり前に書かれた話なのにまったく古さを感じさせません。
どんでん返し系ミステリー小説おすすめ
ラストの衝撃・爽快感がたまらない!
1位『十角館の殺人』綾辻行人
ミステリーの王道である「クローズド・サークル」と呼ばれるジャンルで、外部との連絡が断たれた孤島で事件が起きます。
半年前に謎の焼死をした中村青司という建築家が建てた奇妙な館のある角島。そこを訪れた大学のミステリ研7人に連続殺人事件が襲いかかります。犯人はミステリ研の中にいるのか?それともこの島に潜む第三者なのか?
特筆すべき点は、クローズド・サークルという特異なシチュエーション以上に、事件そのものを鮮やかに反転させるそのトリック!とある人物のたった一言で、これまで読んできた事件が根本から壊されます。
孤島、連続殺人、奇妙な館とミステリーに魅力的な要素が三拍子そろっており、真っ向勝負の王道本格ミステリーを読みたい人におすすめです。
2位『葉桜の季節に君を想うということ』歌野晶午
#第57回日本推理作家協会賞 #第4回本格ミステリ大賞
2004年に出版され、ミステリーの賞を総なめにした人気作。
幻想的なタイトルに惹かれて本作を手に取った読者は、ハードボイルドな文体と硬派な主人公に面食らうかもしれません。しかしラストまで読み終えたとき、この美しいタイトルに秘められたテーマに震えることでしょう。
主人公は「何でもやってやろう屋」を自称する元私立探偵の成瀬将虎。知人の愛子から怪しい霊感商法を行うグループの調査を依頼された将虎は調査の最中、自殺未遂を起こした女性・麻宮さくらと運命的な出会いを果たすのですが…。
本来、どんでん返しに限らずミステリでネタバレはNGですが、本作はたとえ結末を知っていたとしても十分に楽しめます。
ストーリーテリングが巧みで、何より主人公が魅力的。ぜひ二度読み、三度読みをお楽しみください。
3位『medium 霊媒探偵城塚翡翠』相沢沙呼
#第20回本格ミステリ大賞 #「このミステリーがすごい!」2020年版国内編第1位 #第41回吉川英治文学新人賞
急転直下、ラストに反転するこれまでの事件の数々。あなたは作者が仕掛けた巧妙な罠を見抜くことができるでしょうか?
大学の後輩に頼まれて、その筋では有名な霊媒師・城塚翡翠のもとを訪れたミステリー作家の香月史郎。
後日、霊視の結果が芳しくない後輩のもとを訪れることになった香月と翡翠は殺人事件に巻き込まれてしまいます。そこからコンビを組み、様々な事件の解決へと奔走する2人ですが、思いもよらぬ終着が待っていました…。
「霊媒」というのは「死者などと通じる媒介者」のこと。とても胡散臭げな能力にきこえますが、一読すると圧倒的な翡翠の能力には、香月とともに目を見張るはずです。しかし、読者はまだ知りません。翡翠の本当の姿を。香月の真の目的を。
4位『イニシエーション・ラブ』乾くるみ
#第58回日本推理作家協会賞長編候補作 #松田翔太/前田敦子主演映画の原作
舞台は1980年代、日本がまだ元気だったころ。若い男女2人・鈴木とマユがコンパで出会い恋に落ちるという、ちょっとノスタルジックな気分に浸れる甘酸っぱい小説。特にバブルを経験した世代にはなつかしさを感じるのでは?
読み進めていくうちに、ちいさな違和感を感じはじめます。まるで魚の小骨がのどに刺さったまま何日も過ごしてしまったかのような…。
「何が」「どこが」と具体的にはっきりとわからないのだけれど、なんかひっかかる。これが、恋愛小説と言ってもよい本作品が「ミステリー」に分類される理由です。
「恋愛小説好きだけどミステリー要素も欲しい」そんなあなたにぜひ1度、いや2度読んでみてほしい作品です。
5位『向日葵の咲かない夏』道尾秀介
奇才・道尾秀介の名を一躍世に知らしめた作品。
読んだ後に背筋がぞくりとするような感覚を味わいたいなら、本作がおすすめです!
小学生のミチオが夏休みの直前、友達のS君の家に寄り、彼の死体を発見。慌てて学校に行き先生を呼んできますが、死体は消えていました。
1週間後、S君は「ある動物の姿」で現れます。生まれ変わったというS君は、自殺ではなく殺されたのだと明かすのですが…。
S君の衝撃の変身や、次々と起こる波乱の展開に惑わされ、読者は作中にまぎれた「違和感」を見逃してしまいます。
その違和感が明らかになるラスト、これまでのイメージがひっくりかえる衝撃の真相は、ぜひネタバレなしでお楽しみください。
6位『アヒルと鴨のコインロッカー』伊坂幸太郎
#第25回吉川英治文学新人賞 #濱田岳/瑛太主演映画の原作
伊坂幸太郎の凄さは、登場人物が叙述トリックのための奴隷となっていないところ。
それはキャラが本当の意味で生きており、ネタバレ以降も再読に耐えうる強度を持つことを意味します。
意外な出だしから始まり、見事な叙述トリック(読者をミスリードに誘う)で予想外の結末を迎えます。「本屋を襲ってブータン人留学生に広辞苑をプレゼントする」ことを初対面の青年に提案された椎名と、「ペット殺し」に巻き込まれた琴美という2つの視点で語られます。
刊行されたのは2003年で、今から約20年も昔の話。しかし、ブータンから訪れた青年を主役の1人に据えたこの物語は、令和になった今読んでも全く古びていません。
むしろ、加速し続ける国際化で、あなたの隣人も「遠い異国の誰か」かもしれない今だからこそ読んでほしい小説なのです。
7位『満願』米澤穂信
#第27回山本周五郎賞 #西島秀俊主演ドラマの原作
ちょっぴりダークな気分に浸りたい時におすすめの短編集。
6つの短編には、いずれも人間の願いが生み出す美しさ、悲しさ、おぞましさが描かれています。
表題作の『満願』では、正当防衛で殺人を犯した女性が、一度は控訴を申し出るも撤回し8年の刑に服します。なぜ彼女は罰を受け入れたのか。その裏には壮絶な信念が隠されていました。
個人的な一押しは『万灯』。仕事で成果を上げようとするあまり、道を踏み外す男を描いたエピソードです。スリリングな展開の連続で最後まで飽きさせません。
何かを強く願ったことがある人なら、きっと刺さる話があるはず。結末はスッキリしないものばかりですが、それだけに、読後も長く心に残り続けることでしょう。
「人の心」という謎にどっぷりと向き合ってみたい方はぜひ!
海外ミステリー小説おすすめ
人生で一度は読んでおきたい不朽の名作たち
1位『そして誰もいなくなった』アガサ・クリスティー
U・N・オーエンを名乗る富豪から孤島に招待された職業も年齢も異なる10人。
下界との往来が絶たれた絶海の孤島で、童謡の歌詞の通りに一人、また一人と殺害されていきます。
結末はタイトル通りで、ミステリー好きでそのオチを知らない人はいません。しかし、オチを知ってもこの作品の魅力が衰えることはなく、むしろ分かるからこそ読みたくなるという強烈な引力を持つ古典ミステリーの傑作です。
本書が発表されたのは1939年ですが、その設定の斬新さは今も全く色褪せておらず、アガサ・クリスティが如何に突出したプロット作りの才能を持っていたかが分かります。
ミステリー小説の代表的な作品として様々な作家に影響を与え、『十角館の殺人』や『うみねこのなく頃に』など、多くの派生作品が世に出るきっかけとなりました。
2位『シャーロック・ホームズの冒険』コナン・ドイル
世界で最も有名かつ最高の探偵シャーロック・ホームズの魅力を色々な角度から味わえる贅沢な短編集です。
事件を聞いただけで真相に辿り着く安楽椅子探偵ものの元祖「花婿失踪事件」、ホームズ史上最も風変りな事件「赤毛連盟」、コナン・ドイルがミステリーの花形・密室犯罪に挑んだ「まだらの紐」。
傑作ぞろいの本書ですが、中でも素晴らしいのは「ボヘミアの醜聞」です!この短編は、ホームズが唯一解決できなかった事件が描かれており、常に冷静沈着な彼の別の側面を見ることができます。
どの短編でも、ホームズの推理力・観察力・分析力は素晴らしいものです。しかし、ワトソンやアイリーン・アドラーといった魅力的なキャラとの掛け合いや関係性の面白さこそが、ホームズシリーズを永遠に残る傑作にしているとも思うのです。
3位『カササギ殺人事件』アンソニー・ホロヴィッツ
#2019年本屋大賞翻訳部門第1位
名探偵アティカス・ピュントが事件を解き明かす「カササギ殺人事件」と、女性編集者が小説「カササギ殺人事件」の失われた結末と作者の自殺の謎を追う2部構成となっています。
アガサ・クリスティ愛に溢れており、スマホやDNA鑑定といった最先端科学が一切登場しない殺人事件が描かれています。しかし、ただの古き良き時代のミステリー小説では終わりません。
1冊で2つの謎解きが楽しめる豪華さはクリスティ以上!彼女の小説世界を現代作家の新たな価値観で再解釈したことも、作品のクオリティを更に一段高みへと押し上げることに貢献しています。
緻密な論理と意表を突いた結末は、読むものを必ず唸らせてくれるでしょう。数々の賞を総なめにした実績も納得の傑作ミステリー小説です。
4位『ダ・ヴィンチ・コード』ダン・ブラウン
#映画化
映画化もされ、キリスト教の奥深くにまで切り込む内容から、欧米では激しい論争を巻き起こしました。
物語は、ルーブル美術館の館長が変死体で発見されるところから始まります。死体がレオナルド・ダ・ヴィンチの絵「ウィトルウィウス的人体図」を模したものだと気づいた大学教授ラングドンは、警察から事件の犯人と疑われながらも、遺体に隠されたメッセージを解読していきます。
そして、導き出した答えの先に待っていたのは、世界を揺るがす秘密を示したダ・ヴィンチ自身による暗号でした。
主人公、警察、謎のキリスト教団体の修行僧など、様々な視点から進んでいく展開と壮大な結末は圧巻の一言。
宗教、歴史、数学などの知識が巧みに組み込まれた内容は、読者の知識欲を間違いなく満たしてくれるでしょう。謎を解くだけのミステリーでは満足できない人にオススメです。
5位『その女アレックス』ピエール・ルメートル
#イギリス推理作家協会賞
「真実よりも正義の方が大事」という言葉の鮮烈さが印象的なミステリー小説。
真夜中に謎の男に誘拐されてしまったアレックス。檻に入れられ徐々に衰弱していくなか決死の脱出を試みます。
一方、犯人を追う警察はアレックスの身元すら掴めていませんでした。事態は二転三転を繰り返し、驚愕のラストへと突入していきます。
3部構成になっており、ヒロインであるアレックスの印象が徐々に変わっていきます。初めこそ誘拐された被害者として同情したくなるのですが、凄惨な事件の描写が始まるとただの「かわいそうな被害者」ではなくなっていくのです。
アレックスの壮絶で悲惨な、目を背けたくなるような過去の出来事には、目頭が熱くなりました。
イヤミス小説おすすめ
後味が悪いけどなんだか惹き込まれる!
1位『告白』湊かなえ
#第6回本屋大賞 #松たか子主演映画の原作
教え子に愛娘の命を奪われた女性教師の復讐劇。
それだけなら他の小説でもありそうな展開ですが、さすがはイヤミスの女王・湊かなえ。語り口の上手さは群を抜いています。
中学の終業式のホームルームで女性教師が静かに語り出すのは、自分の娘を殺した犯人がこのクラスの生徒だということ。
牛乳という退屈な飲み物から始まる女性教師の話は、いつの間にか「自身の退職」、そして「娘の死」の話題へと移り変わり、気付けば生徒も読者も一緒に巻き込んで、恐ろしい復讐劇の当事者にしてしまっているのです。
読む人の多くを不快な気持ちにさせること確実な小説ですが、一度読み始めたら最後、衝撃の結末へ辿り着くまで決して本を離せなくなるでしょう。覚悟して手に取ってもらいたいイヤミスの傑作です!
2位『悪の教典』貴志祐介
#第1回山田風太郎賞 #伊藤英明主演映画の原作
貴志祐介が送り出した問題作。もし良心の呵責が一切ない人間が存在するとしたら…?
主人公・蓮見は真正のサイコパス。他者への共感性を持たない彼は、目的遂行のために手段を選びません。
蓮見は生徒から圧倒的な人望を集める人気教師で、「ハスミン」の愛称で親しまれていました。学校で起こるトラブルをグレーな手法で次々と解決していく蓮見ですが、徐々にほころびが生まれ、文化祭前夜、彼はとうとう殺人現場を生徒に目撃されてしまいます。
追い込まれた蓮見は犯行を隠蔽するため、1クラス全員を殺害する狂気の計画を立てるのでした。
リアルでは絶対にお近づきになりたくない!しかし犯罪とはいえ、エレガントに問題を解決していく蓮見の怪しい魅力に、読者は惹き込まれてしまうことでしょう。
3位『殺戮にいたる病』我孫子武丸
作者は当時を振り返り、「あれを書いているときはちょっとおかしかった」と妻に言われたとのこと。それほど著者の情念がこもった作品です。
東京の繁華街で起きた凄惨な連続殺人事件。犯人は死体に異常な執着を持つ変質者と考えられましたが、なかなか逮捕できません。
事件の中心にいるのは、ごくごく普通の中流家庭。一見幸せそうな家族の心の闇を抉り出す問題作です。
犯人の心理状態が克明に描かれているので、読者はそれを追体験するかのように凄惨な連続殺人事件を追っていくことができます。
あまりの猟奇的犯行に目をそむけたくなるかもしれませんが、このミステリーは全てが伏線。登場人物全員の言動に注意を払って読んでください。
4位『ボトルネック』米澤穂信
青春時代に抱く周囲の人たちへの不安感を見事に描き出した傑作。
主人公「ぼく」は亡くなった恋人を悼むために訪れた東尋坊で、何かに誘われるように崖から海へ落ちます。
しかし気がつけば、見慣れた金沢の町に戻っていました。混乱しつつも自宅に帰ると、そこにはいるはずのない姉の姿が。「サキ」と名乗るその少女と話すうちに、衝撃の事実が明らかになります。
「ここは、ぼくが生まれなかった世界だ 」その世界では主人公が元々いた世界では不幸だった人々が幸せに暮らしていました。
「自分がいない方がみんな幸せだった」と突きつけられる残酷な現実。生きる希望を失ってもおかしくない状況の中、サキが主人公に放った言葉が沁みます。「自分のせいで周りが不幸になっているかも」という思い込みがある人にぜひ読んでもらいたいです。
クローズド・サークル系ミステリー小説おすすめ
孤島・密室・山荘、閉鎖空間で謎を解け
1位『月光ゲーム』有栖川有栖
作者と同名の大学生・有栖(ありす)が語り部を務める「学生アリス」シリーズ第1作。
有栖をはじめとする英都大学推理小説研究会のメンバーは、夏休みの合宿でやってきた矢吹山で、噴火に巻き込まれてしまいます。
下山が不可能となり助けを待つことになった一行。さらに、キャンプ場で知り合った他大学生の刺殺体が発見され、地面に横たわる彼の側には謎めいた「Y」の文字が…。
『金田一少年の事件簿』や『名探偵コナン』でおなじみのクローズド・サークルものですが、本作はこの概念を日本で普及させた本格ミステリの傑作です。
随所に時代を感じさせる表現はありますが、キャラの魅力・斬新な設定・謎解きの美しさは色褪せません。
2位『鍵のかかった部屋』貴志祐介
#大野智主演ドラマの原作
重厚なミステリーよりもライトなミステリーを求めている人に特におすすめ。
元泥棒の防犯コンサルト・榎本径と、少し抜けている弁護士・青砥純子のコンビが、巧妙に仕組まれた密室トリックを暴いていきます。
表題作「鍵のかかった部屋」は、引きこもりの青年が練炭自殺した事件。淡々と事件に向き合って解決しようとする榎本に対して、純子はまくし立てるように榎本の推理に横槍を入れていきます。その掛け合いがなんともおかしく、コメディータッチに読むことができます。
ミステリー的には、フーダニット(誰が殺したか?)よりもハウダニット(どうやって殺したか?)に重きが置かれており、凝ったトリックに感嘆の声を上げたくなりました。
嵐の大野智と戸田恵梨香が演じたドラマにも注目。
3位『硝子の塔の殺人』知念実希人
#2022年本屋大賞8位
現役の医師である知念実希人が描く本格ミステリー。
ミステリーマニアの大富豪によって雪山の建物に集められた6人は、刑事・霊能力者・小説家・料理人など一癖も二癖もありそうなメンバー。
主人の殺害を皮切りに、次々と連続殺人が襲いかかってきます。名探偵・碧月夜とワトソン役である医師・一条遊馬は、この不可解な建物の謎と殺人を解決するために奔走することになりますが…。
歴代のミステリーのうんちくはもちろんのこと、日本の本格ミステリーを切り拓いた綾辻行人らへのリスペクトも感じることができます。予想だにしないラストに心が震えること間違いなし。
社会問題や人間ドラマでなく、謎解きやトリックに重きを置いている作品なので、より本格ミステリーを楽しみたい人におすすめです。
お仕事ミステリー小説おすすめ
異業種の世界を覗き見!
1位『和菓子のアン』坂木司
#第二回静岡書店大賞「映像化したい文庫部門」
古くから伝わる和菓子一つ一つの由来とともに、さまざまなお客様との関わりを展開していくお仕事ミステリー。
主人公はデパ地下の和菓子店で働くことになった杏子。個性豊かな店長と職人見習の男性に戸惑いながらも、次第に和菓子の魅力に惹かれていきます。
暗号ばかり言う一見ヤクザ風のおじさん、品がよく優しいけれど時折淋しそうな表情をするご婦人、封筒だけ持って和菓子を買いに来るOLさん。お客様それぞれに様々なバックグラウンドがあり、どんな人なのか推測していく店長の観察力はお見事!
常連さんとのやりとりが生き生きと描かれ、デパートなのに昔懐かしい商店街のお店のようなやり取りも魅力的です。
仕事に価値を見出せない人、なんとなく過ごしている毎日に彩りが欲しい人におすすめ!
2位『元彼の遺言状』新川帆立
#第19回『このミステリーがすごい! 』大賞 #綾瀬はるか主演ドラマの原作
「僕の全財産は僕を殺した犯人に譲る」そう言い残して元カレ森川栄治が死んだ。
主人公・麗子は彼の旧友に「自分を犯人に仕立て上げてくれ」と依頼されます。
奇妙な遺言と「元カノリスト」、巨大企業・森川製薬にまつわる人々。膨大な遺産を受け取る犯人は見つかるのか?それとも犯人不明のまま遺産は国庫行きとなるか?
令和時代の新ヒロインとして現れた弁護士の剣持麗子が何より魅力的!彼女は仕事も恋も結婚もおしゃれもすべてを手に入れたいと思っており、金への執着心は逆に気持ちのいいほど。
爽快お仕事ミステリーでスカッとしたい人へ!
3位『特許やぶりの女王 弁理士・大鳳未来』南原詠
#第20回『このミステリーがすごい!』大賞
知的財産の専門家である弁理士・大鳳未来は、特許権を名目に企業へ賠償金を請求する「パテント・トロール」でした。
しかし相方の弁護士と独立し、今度は特許権の侵害を守る専門法律事務所を立ち上げます。
ある日、人気VTuber「天の川リリィ」の所属事務所にも特許侵害の警告書が届きました。要求に応じなければ訴訟するという警告書の送り主の意図とは何か?「クライアントを守るためなら何でもする」という敏腕弁理士・未来のミステリアスな大勝負とは?
特許権の知識のない私のような一般人から見たら「特許法侵害の申し立てなんて、いちゃもんみたいなものなのでは?」と思ってしまうほど、警告書は突然やってくるもののよう。
見たことのない業種の内部を覗いてみたい、ハラハラドキドキするお仕事ミステリーが読みたい人におすすめです。
名探偵のキャラが強烈なミステリー小説おすすめ
癖になること間違いなし!
1位『掟上今日子の備忘録』西尾維新
#新垣結衣主演ドラマの原作
記憶が1日ごとにリセットされる掟上今日子は、ミステリー小説史上類を見ないほどのハンディキャップを背負った探偵です。
どう考えても探偵には不向き!そんな彼女ですが、類稀なる洞察力と推理力でどんな事件も1日で解決していきます。
余命幾ばくもない探偵や、首から下が動かない探偵の小説もありますが、全ての事件を1日で解決しなければならない彼女に比べたら、探偵として何と恵まれていることか!ぜひ、「忘却探偵」と呼ばれる彼女がどんな風に事件を解決するのか、その名推理を楽しんでみてください。
どんな事件も即日解決する彼女から、今日できる仕事をダラダラと明日に延ばさず、その日のうちにやり切るコツを学びましょう(笑)
人気女優の新垣結衣と岡田将生主演のドラマ版もおすすめです。
2位『煙か土か食い物』舞城王太郎
#第19回メフィスト賞
並外れた行動力を持つ腕利きの救命外科医・奈津川四郎が、自身の母を殴って生き埋めにした犯人の謎に迫るミステリー小説。
彼の思考スピードはまさに神がかっており、謎が提示された瞬間に解決へと向かうので読者に推理する暇すら与えません。
四郎の強烈な語り口に牽引される物語は、途中でどんな困難に見舞われても、最後まで止まることなく突き進んでいきます。
本書の個性的すぎる文体と凄絶な家族ドラマは読み手を選ぶことでしょう。しかし、人を強く揺さぶる言葉と、強烈な登場人物、血と暴力で彩られた重厚な物語は、単なる推理小説の枠に収まりきらないほどに突き抜けています。なぜ、こんなにも凄い小説が映画化されないのか不思議でなりません。
女性探偵が活躍するミステリー小説おすすめ
謎解きは女のたしなみ!
1位『GOSICK』桜庭一樹
#アニメ化
魅力的な女性探偵が登場するミステリーが読みたいなら、本作が一押しです。
舞台は、ミステリーでおなじみの豪華客船。次々と命を落とす乗客たち。大海に囲まれ逃げ場のない極限状況で、女性探偵ヴィクトリカの推理が冴え渡ります。
ヴィクトリカは、人形と見まごうほどの美貌の持ち主。しかし性格は傍若無人で、留学生の久城一弥は振り回されてばかりいます。そんな彼女の特技は「推理」。恐るべき頭脳で混沌から欠片を集め、真実を再構成します。
「GOSICK」シリーズはラノベとして登場したあと、一般向けの文芸でも出版されました。内容は同じですが、武田日向先生が描いた可愛いヴィクトリカが拝める角川ビーンズ文庫版がおすすめです。
2位『珈琲店タレーランの事件簿』岡崎琢磨
#第1回京都本大賞受賞
京都の街にひっそりとたたずむ「純喫茶タレーラン」のバリスタは、店の外観からは想像もつかないような若い女性でした。
彼女が豆から挽いて入れるコーヒーはまさに奇跡の一杯!主人公は理想の味に出会えたとタレーランに通い、バリスタ・美星に惹かれていきます。
喫茶店で起こる小さな謎は、聡明なバリスタが豆を挽くごとに次々と解決されていきます。これぞ「喫茶店のマスター」という風貌のおじいちゃんが持つ意外なキャラクター性も魅力のひとつ。
大きな事件も起きないまま平和に物語が終わると思っていましたが、さすが「このミス」の隠し玉(編集部推薦)作品!一筋縄ではいかないようです。
おいしいコーヒーを用意して、彼女たちと一緒に謎解きをしていきたくなるようなミステリー小説です。
芸術を題材にしたミステリー小説おすすめ
アート×謎解き
1位『さよならドビュッシー』中山七里
#第8回『このミス』大賞大賞 #橋本愛主演映画の原作
ピアニストを目指す16歳の遥は音楽科高校に入学が決まり、これからの輝かしい未来に思いを馳せていた矢先、自宅の離れが全焼する火事に遭遇。
インドネシアから帰国していた従姉妹のルシアと祖父が亡くなり、遥だけは全身に大やけどを負い生き残りました。
大事な人を失った遥を陰ながら支えるピアノ講師・岬洋介とともに、連続で起きる不可解な事件を紐解いていくミステリー小説です。
華の女子高生生活を満喫するはずが、降りかかる数々の難題…。逆境に負けずピアニストになることを誓った遥は、力強く前を向き困難にも立ち向かいます!
彼女の力強いひたむきな姿は、読者に勇気と希望を与えます。
2位『ジゼル』秋吉理香子
この小説がもし舞台で上演されていたとしたら、クライマックスを終えて幕が下りた瞬間から拍手喝采でしょう。それくらい鮮やかな真相でした。
主人公・花音がプロバレリーナとして所属する東京グランドバレエ団。創立15周年記念公演が「ジゼル」に決まりました。
それは、ある事件をきっかけにバレエ団でタブーとされていた演目。記念公演を控えたバレエ団に次々と起こる不可解な事件は、昔の事件の呪いなのか、それとも誰かの陰謀か。バレエ団とその関係者を取り巻く、様々な思いが描かれる長編作品です。
ジゼルのストーリーも分かりやすく各章の文頭に添えられていて、バレエ「ジゼル」はどんな話なのかを知らない人にとってもスムーズに読み進められます。
厳しいバレエの世界を覗いてみたい人にもおすすめ!
医療系ミステリー小説おすすめ
事件を通して命の意味を問う
1位『チーム・バチスタの栄光』海堂尊
#第4回『このミステリーがすごい!』大賞 #伊藤淳史/仲村トオル主演ドラマの原作 #映画化
現役の外科医が本業の傍らに書いた本書は、文章の隅々までリアリティが行き届いた医療ミステリーの傑作です。
医療ミステリーと言われると難しそうなイメージがありますが、探偵役を務める役人・白鳥圭輔やワトソン役の田口など強烈な個性を持った面々が、そんなことを全く気にさせないほど物語世界にぐいぐい引き込んでくれるでしょう。
タイトルにある「バチスタ」は拡張型心筋症に対する手術術式の1つ。主人公・田口は、バチスタ手術の成功で名高い専門チームが立て続けに起こした術中死の謎を調査することになります。果たして死亡事故は不運のせいか、医療ミスか、殺人なのか。
竹内結子と阿部寛主演の映画も、田口が女性・田口公子に変更されていますが、原作とは違った味わいがあるので見比べてみて下さい。
2位『天久鷹央の推理カルテ』知念実希人
本作の魅力は何といっても、探偵役である天久鷹央(あめくたかお)のキャラクターでしょう。
彼女にとって謎は病と同じ。次々と舞い込む難事件を「診察」し、解決へと導きます。
アスペルガー症候群で、他人とのコミニケーションを苦手とする天久ですが、内科医見習いの小鳥遊(たかなし)とは良いコンビ。天久は物語の序盤は周囲から疎まれていましたが、小鳥遊と行動を共にするうちに徐々に他者と打ち解けていきます。
作者の知念先生は、Twitterで医療情報を発信する現役の内科医。作中にも現役医師だからこそ書ける医療知識が随所に盛り込まれており、勉強になります。
ミステリー・アンソロジーおすすめ
色々な作家の物語を1度に楽しめる!
1位『10分間ミステリー』法坂一広ほか
総勢29名の「このミステリーがすごい!」大賞受賞作家が、「原稿用紙10枚」という制約がある中で、自由に作品を書いています。
それはまるで様々なフレーバーの入ったミステリーのキャンディーマシンのよう。
「このミステリーがすごい!」大賞は、中山七里(さよならドビュッシー)や海堂尊(チーム・バチスタの栄光)などの人気作家を輩出した賞。そんな名誉ある賞を獲った作家たちが描くショート・ショートのミステリーです。
ジョークにしか思えないもの、ナンセンスなもの、ホラー寄りなもの、泣けるものなど、バリエーション豊富な作品を29話も読むことができます。
読み始めた瞬間に広がる作家の個性は、どこから味わっても面白いこと間違いなしです。
2位『迷 まよう』アミの会(仮)
人は人生のあらゆる場面で迷いますが、その「迷い」が作家の手にかかれば上質なミステリーへと変化します。
アミの会(仮)という実力派女性作家集団が、乙一や大沢在昌をゲストに迎え、誰もが人生において決断を迫られ「迷う」瞬間を切り取ったミステリーアンソロジーです。
例えば「未事故物件」(近藤史恵)は、一人暮らしに心を弾ませる女性が上階からの騒音に悩まされるお話。
あなたなら上階へ文句を言いに行きますか?それともまずは様子を見ますか?やっぱり放っておきますか?
どの物語も定義は「ミステリーであること」なので明るいお話ではありませんが、8つともバラエティに富んで楽しめるので、作家を新規開拓したい人にもおすすめです。
【Q&A】ミステリー小説の魅力や選び方を教えて!4人のライターが答えます
今回選書したライターがミステリー小説の魅力について答えます。それぞれが思うミステリー小説の魅力や体験をご紹介。
選書したミステリー小説ライター4名
文芸好きの書評ライターで、普段はミステリーを中心にホラー、SF、ファンタジーなどの作品を読んでいます。作家の人となりを知るために読むエッセイやミステリー論などの評論も好きです。好きなミステリー作家は有栖川有栖や綾辻行人、コナン・ドイルやアンソニー・ホロヴィッツです。
小学生のころ、図書室にあった「シャーロック・ホームズシリーズ」を読破して以来のミステリー好き。推理マンガもよく読みます。好きなクローズド・サークルは「絶海の孤島」です。
三度の飯よりもミステリー小説好きな子持ちライター。コナン・ドイル、アガサ・クリスティ、レイモンド・チャンドラー、江戸川乱歩、トマス・ハリスの5人を「ミステリー五大神」として崇めています。五大神は四天王と違って最弱のヤツはいません。みんな「最強」です!
ミステリーから恋愛小説まで幅広いジャンルを読みまくる元子役ライター。幼少期から出演舞台の空き時間に小説を読み、学校では図書室に入り浸る。小学生当時のブームはなんと赤川次郎!ライターになってからはビジネス書もお気に入り。ハリーポッターは全巻読破、原作にも挑戦中!
Q1.ミステリー小説のどういうところが好き?
提示された謎が解けるという快感、そして謎を解く「名探偵」という存在に魅力を感じます。名探偵が理詰めで推理を展開し、びっくり箱を開けるように犯人とトリックを解き明かすシーンが特に好きです。
名探偵のかっこいい活躍や、精緻な論理によって仕組まれたトリックはミステリーの醍醐味です。ですがやはり、謎の解明と共に隠された人間の一面が明かされるシーンが1番グッと来ます。
好きというか、ないと生きていけない空気のような存在です。好奇心を刺激して、退屈な日常に生きる糧を与えてくれるところが好きです。ミステリーこそ、人生に彩りを与えてくれる「最高のスパイス」だと思います。
ドキドキハラハラ、日常とかけ離れた体験ができるところ。「これはこうかも?」と考えながら読み進め、自分の推理が合っていたら嬉しい!場合によっては「犯人の気分」になれるところも好きです。
Q2.ミステリー小説を選ぶときのポイントは?
探偵のキャラが立っているかどうか。事件の謎に興味を惹かれるかどうか。舞台が魅力的かどうか。基本的にはキャラクターを重視しています。あとは冒頭を読んで文体が肌に合うかも重要ですね。
自分と感性が合いそうな人が紹介するミステリー小説がおすすめです。海外小説の場合、買う前に一度試し読みして翻訳者の文体がしっくりくるものを選びましょう。1回失敗しても諦めず、色々読んでみてください。
ポイントは、ページをどんどんめくって読み進めたくなるような、物語に引き込まれる文章であること。超個人的ですが、惨殺・グロテスクな描写があると頭の中で映像化してしまい眠れなくなるので避けています。
私が特に重視しているのは、事件の起きるシチュエーションやロケーションです。館、おかしな一族、閉塞的な村、孤島、新興宗教の施設など、事件が起きる場所や雰囲気を大切にしている作品を選んでいます。
Q3.ミステリー小説についての思い出があれば教えて下さい
誰も見たことがないような密室トリックを創り出そうと躍起になっていた中学時代が懐かしいです。どうしても作家になりたくて、エラリー・クイーンの創作方法のように、友達と2人で意見を出し合って作っていました。
小学生のとき、母の本棚で見つけた赤川次郎『ウェディングドレスはお待ちかね』がきっかけでミステリー小説にハマりました。読みだしたら止まらなくなりあっという間に読破!登場人物になりきり夢中で読みました。
小学6年生のときに『名探偵夢水清志郎事件ノート』の感想を、仲のいい男子と話すのがとても楽しかったです。どちらかに未読の本があると、「いかに面白かったか」をネタバレなしで語ったのが良い思い出です。
小学生のとき、図書室に名探偵10人が登場する短編をそれぞれ1巻ごとにまとめたシリーズがあって、それが大好きでよく読んでいました。当時はエラリー・クイーンが実在すると信じていましたね(遠い目)。
Q4.ずばり、ミステリーとは?
作者と自分の頭脳勝負!負けることのほうが多いけど…。
現実世界にない出来事と名探偵に会えるパラレルワールドです。
人への興味を広げてくれる物語群。
生きる原動力。これがあるから何とか生きていけます。
まとめ
ミステリー小説好きライターに選書してもらったおすすめのミステリー小説をご紹介しました。読んでみたい作品は見つかりましたでしょうか。ぜひ今回紹介した40選を参考にして、作者との真剣勝負を楽しんでいってください。
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