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『みらいめがね それでは息がつまるので』あらすじと感想【世界の見方を広げるためのヒント】

『みらいめがね それでは息がつまるので』あらすじと感想【世界の見方を広げるためのヒント】

性別、国籍、身体的特徴、病気の有無。

これらは全て、差別や偏見につながりやすい要素だ。

男女平等が叫ばれ、多様性という言葉が広がりつつある昨今だが、世の中の差別や偏見が完全になくなったわけではない。

そういったものに苦しめられ、辛い思いをしている人の話を未だに数多く見聞きする。

そんな現状を、未来に向かって変えていくためには何ができるのだろうか?

自分に見えている世界を広げるにはどうしたらいいのだろうか?

本書は、そんな疑問を解決するための手助けになるかもしれない。

こんな人におすすめ!

  • 自分の世界を広げたい人
  • 生きづらさを感じている人
  • 差別や偏見をなくしたい人

あらすじ・内容紹介

著者の荻上チキ(おぎうえ ちき)さんが、日常や海外への取材旅行の中で感じた様々な「生きづらさ」について綴ったエッセイ。

現在評論家として、そしてラジオパーソナリティとしても活躍されている荻上さん。

出演しているラジオ番組では、冷静かつ理知的に、話題のニュースに切り込んでいく様子が印象的だ。

本書では、荻上さん自身が経験したいじめやうつの話、母親や娘を通して考えた女性差別にまつわる話のほか、学生時代からラジオパーソナリティになるまでの話や訪れた外国で感じたことなど、彼なりの視点から見た世界が語られている。

 

共著者であるヨシタケシンスケさんは、『りんごかもしれない』『もうぬげない』などの作品で人気を博している絵本作家だ。

本書では、エッセイの区切りの部分にヨシタケさんのイラストエッセイが挿入されており、可愛くて面白くもちょっと考えさせられるストーリーとなっている。

エッセイとイラストを通じて、荻上さんとヨシタケさんが「自分の世界の見え方」を変える方法を教えてくれる1冊だ。

『みらいめがね それでは息がつまるので』の感想・特徴(ネタバレなし)

当事者としての生きづらさを知ること

荻上さんは、その仕事柄、病気になってしまった人や何らかの支援を必要としている方の取材をすることが多かったという。

ところがある日、今度は自分自身がうつ病になってしまう。

いざ自分が「当事者」となった時、そのあまりの重圧に驚いた。なんだよ、今まで取材した人たちはみんな、こんな息苦しさと闘っていたのかよ。自分はその痛みのうち、どれだけを伝えられていたのだろう。

取材を通して多くの方と向き合ってきているはずの荻上さんでさえ、自分が当事者になったことで初めて本当の辛さを知ることになる。

自分自身が、生きづらさや苦しみを抱える人と同じ目線に立ってみないと見えてこない何かがある。

それは、普通に生きているだけでは手に入らない目線だ。

もちろん、同じ病気にならなければいけないとか、同じだけの苦しみを味わわなければダメだというわけでは決してない。

ただ、当事者にしかわからない辛さや苦しみがある、ということを頭の片隅に置いておくだけでも、他人の生きづらさに寄り添いやすくなるのではないだろうか。

全く同じ立場には立てなかったとしても、その心の内を思いやったり、想像したりすることはきっと誰でもできる。

人は誰しも弱さを抱えている。

周りの人は皆、自分と同じ人間で、同じように何かしらの弱さを抱えているのだということを認め合える世界であってほしいと思う。

他人からかけられた「呪いの言葉」を解きほぐす

自分の人生に関係のない他人が、遠くから自分の人生を勝手に査定し、嘲笑うために規範性を振りかざすなら、それは「呪いの言葉」にほかならない。

男だったら、女だったら。

家族だったら、社会人だったら。

ある属性に属しているならこう振る舞わなければいけないとする規範の数々を、荻上さんは「呪いの言葉」と呼んでいる。

「呪いの言葉」は、知らず知らずのうちに自分自身の中に入り込み、心を縛り、生きづらさを生む。

今でこそ減ってきてはいるが、性別での役割分担や、男らしく・女らしく振る舞うべきという価値観やそれに基づいた言葉は多くの人を縛り、苦しめてきたことだろう。

もしくは、子どもの頃に親から言われた言葉や、恋人から言われた心無い一言に苦しんでいる人もいるかもしれない。

荻上さん自身も、ある「呪いの言葉」に苦しめられていたという。

「呪いの言葉」に気付き、対処していくことで、人生をより自由に生きることができるようになるのだ。

まだまだ知らない世界はたくさんある

ヨルダンやポーランド、韓国など、海外の国々への旅行や取材を通して多くの人々と出会い、実際に話を聞いたり、自分の目で見たりすることを続けている荻上さん。

本書でも、実際に訪れた時の様子や、今を生きる現地の人々の率直な思いについて触れられている。

旅先で、数々の案内人と出会い、そのたびに蒙を啓かれていく。よく歩き、よく食べ、よく聞く。そうすることで、体験は自分の栄養になり、世界がさらに開かれるように思うのだ。

日本はもちろん、世界には様々な歴史がある。

その中には、人種差別や偏見などで生きづらさを抱えた人々も数多く登場する。

しかし、何となく教科書で読んだだけで、はっきりとは知らないことも多い。

自分自身に直接関係しないものも含め、様々な歴史や他国について知ることは、自分の世界をより広げることにつながるのではないか、と感じた。

本書を読み、差別や偏見はなくしたいと思っているけれど、もしかしたら自分の中にも無意識にそんな考えが眠っているかもしれない、と不安になった。

自分の中にあるかもしれない差別意識と向き合い、フラットに物事を捉えられるようになることが、これからの世界を生きていくために必要なことなのだと思う。

まとめ

本書を読むことで、様々な「生きづらさ」との向き合い方を知ることができる。

自分自身に見えている世界はもしかしたら少し歪んでいたり、ちょっと曇っていたりするのかもしれない。

そんな疑いの心を忘れず、世界を見るための「めがね」を常にアップデートし続けるためのヒントが、本書には詰まっている。

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