『こころ彩る徒然草』あらすじと感想【時代を越え、楽しく生きるコツを教えてくれるエッセイ集】

『こころ彩る 徒然草 兼好さんと、お茶をいっぷく』あらすじと感想【時代を越え、楽しく生きるコツを教えてくれるエッセイ集】

中学高校の教科書に必ず載っているであろう有名な古典随筆『徒然草』。

今や日本にとどまらず海外にも読まれている作品だということはご存知だろうか。

アップルコンピュータ社を設立したスティーブ・ジョブズも仕事の進め方や考え方を『徒然草』から多大な影響を受けたそうだ。

正直、今まで『徒然草』が世界中に影響を与えているすごい作品という認識はなかったが、本書を読み終わった後、時代、言語関係なく人の心に響く兼好法師(けんこう ほうし)の言葉に感銘を受けた。

こんな人におすすめ!

  • 普段古典作品を読まない方
  • 最近楽しいことないかなって考えている方
  • 徒然草って聞いたことあったかもと思った方

あらすじ・内容紹介

有名な古典作品『徒然草』は現代でいうブログのようなエッセイ集。

つれづれなるままに、日ぐらし、すずりにむかいて、心にうつりゆくよしなしごとを、

そこはかとなく書きつくれば、あやしゅうこそ物狂おしけれ。

という文は誰もが一度は目にしたことがあるだろう。

木村耕一氏が244段ある『徒然草』のお話の中から鎌倉・室町時代しかない話題のものを除き、現代にも通ずる内容を66選択して、初めて読んだ方でも分かりやすく意訳されている。

カラフルなイラストとともに『徒然草』の作者・兼好法師が日々見聞きしたことを700年の時を越えてあなたに語りかけてくれる。

巻末には兼好法師(以下兼好さん)本人に直撃したという設定で、当時『徒然草』を書かれていたときにあった出来事や思っていたことについて迫るインタビュー掲載もある。

古典の堅苦しさはなく、スマホ片手に好きな人のブログを読んでいるような感覚でスラスラと読み進められる1冊。

『こころ彩る徒然草』の感想・特徴(ネタバレなし)

徒然草を簡単に楽しめる構造

本書は誰もが読みやすいように本文は現代語訳で書かれているのだが、一部古文で書かれている元の原文も一緒に掲載されており、当時兼好さんが書かれた『徒然草』の世界もそのまま楽しむことができる。

例えば、第4段の「未来を考える人は、魅力的な人です。

【本文】

後の世のことを心にかけて忘れず、仏教を大事にする人は、なんて奥ゆかしく、魅力的な人でしょうか。

【原文】

後の世のことに心にわすれず、仏の道うとからぬ、こころにくし。(第4段)

と、現代語訳された本文の後に原文が添えられている。

現代語訳された本文を読んで内容を理解した後に、原文にも触れられるので、古典初心者さんにも面白く読み進められると思う。

また、本文の解説も一部書いており、当時の時代背景や兼好さんについても学べて作品を楽しむことができるようになっている。

今にも通ずる兼好さんの心に響く言葉たち

『徒然草』が書かれたのは鎌倉時代だが、時代問わず、今の時代にも当てはまることをたくさん教えてくれる。

例えば、どんな嫌なことがあっても季節を感じて心動かされることが書かれている。

月や花、流れる水を見ていると、心が楽しくなりますね(第21段)

そういえば、私も傘を差して雨の中を歩くのは憂鬱だと感じながら外を歩いていたら、たくさんの綺麗な紫陽花に出会い、心癒されて、憂鬱な気持ちが晴れた経験がある。

嫌なことがあっても、身近な自然にいつの間にか慰めてもらえていることに気づくことができた。

また、客が家から出ていった後、玄関の戸をすぐに閉めず、客の後ろ姿を見送りながら、しばらく月を眺めているすてきな心遣いをされる女性に出会った話が書かれている。

客が帰る後ろ姿を、そっと見送る人は、すてきですね(第32段)

私もお店を出た後に店員さんが私が見えなくなるまでずっと深いお辞儀をされて見送っていただき、とても嬉しく思ったことがある。

このお話を読んで、心を込めておもてなしすることは人の心を動かす、と教えてもらえたので、以前より丁寧に人と接するように意識するようになった。

このように兼好さんの言葉から忘れかけていた大事なことを鎌倉時代に生きた兼好さんの言葉ではっと気づかされることが多いと思う。

今、この瞬間を大事に生きる

『徒然草』は後悔のないよう今を全力で生きることの大切さを教えてくれるお話がたくさん書かれている。

中国の古典『荘子』の一節「命長ければ恥多し」を引用して、無駄に年を重ねることのおろかさを伝えたり、月の満ち欠けの例えで、月の丸さが変わっていくように、実は刻々と死に近づいていることを教えてくれたりする。

特に印象に残った兼好さんの問いかけがこちら。

「隣の家から突然火が出たらどうしますか?」

「余命1日に何をしますか」

普段想像しづらいことで一瞬息を詰まらせた。

自分には縁がないと考えていたことだが、火事も病も実は誰しもに起こり得る出来事である。

火がついた後に、火に「待ってくれ」と言っても消えるものでもないし、病もなってしまったらすぐに治るものではない。

何か起きた後に後悔することのないように、常に今を精一杯生きることが大切なのである。

こうして今しかないこの瞬間を全力で生きるチャンスがあることのありがたみを感じるようになった。

まとめ

本書のおかげで、高校生ぶりに『徒然草』に触れることができて本当によかった。

兼好さんから生きることの素晴らしさ、今でも使える生きる知恵をたくさん学ぶことができたからだ。

時を越えてたくさんの人に愛されている理由がわかった。

どの時代も同じ悩みを抱え、綺麗だと感じるもの、生きる上で大切なことは変わらないのかもしれない。

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