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『匣の中の失楽』あらすじと感想【新本格原点にして、虚実入り乱れる第4の奇書】

『匣の中の失楽』あらすじと感想【新本格原点にして、虚実入り乱れる第4の奇書】

推理小説マニアの大学生、〈曳間了(ひくま りょう)〉が密室で殺された。

その状況は、仲間が書いている小説の通りだった。

現実と虚構が揺れ動く中で出現する、5つの〈さかさまの密室〉とは?

『ドグラ・マグラ』『黒死館殺人事件』『虚無への供物』と並び〈第4の奇書〉とも呼ばれる、新本格の原点!

こんな人におすすめ!

  • 自分で推理をしたい人
  • ミステリ小説が好きな人
  • 本格ミステリを読みたい人

あらすじ・内容紹介

探偵小説の愛好家である大学生やティーンエイジャーが集まる例会。

その一員である推理小説マニアの大学生、〈曳間了〉が失踪の末に殺された。

現場は同じ会員の〈倉野貴訓(くらの たかよむ)〉の自室。

しかも、その状況は仲間の〈ナイルズ〉が書いている推理小説通りの密室。

〈曳間了密室殺人事件〉の真相を巡り推理合戦を繰り広げる例会のメンバー達だったが、その中で突如停電が起こり、第2の殺人事件が起こってしまう。

ナイルズの小説『いかにして密室はつくられたか』とリンクするかのように起こり続ける、殺人事件の数々。

現実と虚構が入れ子のように入れ替わる中で現れる、5つの〈さかさまの密室〉とは?

何が現実で、何が虚構なのか?

夢野久作著『ドグラ・マグラ』、小栗虫太郎著『黒死館殺人事件』、中井英夫著『虚無への供物』の日本3大奇書に影響を受けながら、それらと並び〈第4の奇書〉とも評される新本格の原点‼︎

『匣の中の失楽』の感想・特徴(ネタバレなし)

虚実が入れ替わる酩酊感

いちばんいいのは、死んだ曳間さんに推理してもらうことなんだって

今作の大きな特徴が、作中の現実と作中作が交互に入れ替わる〈入れ子構造〉だろう。

今作中で、偶数章は奇数章の、奇数章は偶数章の作中作として描かれており、果たしてどちらが現実でどちらが虚構なのかは最後まで明言されない。

奇数章での死者は偶数章での生者だったり、偶数章の生者は奇数章での死者だったりと現実と虚構が目眩く入れ替わり、作中のキャラクターたちだけでなく我々読者をも幻惑させる。

そして現実と虚構が入れ替わる中で、登場するキャラクターたちはそれぞれが〈自身の世界こそ現実である〉ということを主張し、現実と虚構、それぞれで提示された〈5つの密室〉に挑んでいく。

作中での入れ子構造はあまりにも複雑怪奇で、読み進める程にどちらが現実でどちらが虚構なのか分からなくなっていく。

更に、提示される〈5つの密室〉の謎も、非常に難解だ。

如何にもミステリ的な構造でありながら、その実〈アンチミステリ〉としての要素も内包する〈さかさまの密室〉の謎は、今作の大きな魅力だ。

〈入れ子構造〉の複雑さ〈提示される謎〉の難解さは、読んでいる者に軽い酩酊感すら与えるだろう。

是非とも、現実と虚構が入れ替わり続ける迷路の様な作品に、思う存分幻惑されて欲しい。

随所に織り込まれた衒学趣味

〈プルキエニ現象〉−まさにこれだったのだよ

今作におけるもう1つの魅力が、推理の中で披露され続ける様々な雑学だろう。

一例を挙げると、密教の〈降三世〉(仏教における明王の1尊のこと。ヒンドゥー教のシヴァ神を倒す、割と武闘派の明王様)や中国の〈九星術〉(九星・気学とも言う。生年月日の九星と干支、五行を組み合わせた占星術のこと。方位の吉凶を占うために使われることが多い)、色彩学における〈プルキニエ現象〉(明るい場所では赤色や黄色が、暗い場所では青や緑色が目立って見える現象のこと。避難径路にある案内板が緑色なのが、身近な例だろうか)など。

その他にも心理学やら宗教学やらと、非常に多岐に渡って様々な雑学が披露される。

おそらくは、3大奇書へのオマージュの意味もある衒学趣味的な要素は、複雑な構造と難解な謎で混乱させられた読者を、更に混乱に誘っていく。

知らずとも日常生活において全く問題ないであろう知識の数々が、今作をサイケデリックに彩っており、読者の脳容量を埋め尽くしていく。

読み終えたときに、少し賢くなれる小説だ。

読者に推理を委ねる結末

不連続線の向こうに踏み越えていったあなたは、勝ったんだよ

〈アンチミステリ〉の側面も強い今作では、最後の最後まで謎解きは為されない。

より正確に言うならば、〈推理合戦〉の中で各々が推理を披露するのだが、それは別に今作における真実ではない。

あくまでも推理は推理であり、決して〈謎〉の真相が明かされることはないのだ。

しかし、〈新本格〉と銘打つだけあって、あくまでもフェアな作品であるため(フェアな作品のはず)、5つの〈さかさまの密室〉へのヒントは作中て提示されており(提示されているはず)、きちんと推理していけば真相には辿り着ける筈なのだ(因みに筆者は、謎に翻弄されるばかりだった)。

非常に難解なため、一筋縄ではいかないが、現在では様々な考察・解説も世にあるため、読書中に推理を働かせてみて、考察や解説に目を通してみた後に再読するのも1つの手だろう。

読む度に再発見があり、何度も楽しめる作品だ。

まとめ

『ドグラ・マグラ』『黒死館殺人事件』『虚無への供物』の3大奇書と並び、〈第4の奇書〉と評される今作は、偶数章と奇数章が入れ子になっているという構造の複雑さと、アンチミステリ的な要素を内包する〈さかさまの密室〉の難解さ、随所に張り巡らされた雑学という衒学趣味により、無二のミステリ小説となっている(著者の竹本健治氏は、これを弱冠22歳にして書き上げたというから驚きだ)。

目眩く入れ替わる入れ子構造に幻惑されるもよし、〈さかさまの密室〉の謎に挑むもよし、雑学を楽しみ続けるもよしの、実に多様な楽しみ方ができる作品だろう。

更に、様々な考察や解説に目を通せば、新たな解釈も可能となる作品であるため、何度読み直しても新鮮な読書体験ができる。

末長く本棚に置いておくべき1冊でもある。

是非とも、その複雑怪奇な世界観を存分に堪能して欲しい。

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