前回、私の担当した記事、有川浩さんの『明日の子供たち』は児童養護施設のお話でした。

お子さんがいる方もいない方にも読んでもらいたい作品です。
ホラー小説というイメージが強い作家さんかと思いますが、この作品は違います!感動作です。
あらすじ
出版社で働き、売れっ子作家の編集担当をしている仕事人間の悟は、愛想をつかされ、妻(亜紀)と一人息子の裕太に家を出て行かれた。
離婚を覚悟していたある日、亜紀が電車の脱線事故に巻き込まれて亡くなったと連絡を受ける。
亜紀と一緒に乗っていた裕太は助かり、親子2人での生活が待ち構えている。
『その時までサヨナラ』の感想(ネタバレ)
息子の接し方が分からない
まるで人形のように表情を変えることなく、悟の指示に従った。
抵抗されるよりはましだった。
仕事男の悟は当然、料理も家事も出来ないし、裕太の面倒も見たくない。
子供は仕事の邪魔だ。
義理の両親に預けてしまおうか。
そう思っていたところに、亜紀の元同僚(宮前春子)が突然転がり込み世話を焼き始める。
裕太もなぜか彼女に懐く。
指輪
亜紀が家を出て行った日、ケースにしまって保管したはずの指輪が事故現場から見つかったと地元警察署から連絡を受ける。
いつの間にか亜紀が持ち出していたらしい。
一体なんのために?
お二人は、憎みあって結婚されたのですか?違うでしょう。あなたが今持っている指輪が、その証拠です
指輪を取りに行った悟は、亜紀が行こうとしていたと思われる場所を教えてもらい、そこへ向かう。
そこで徐々に亜紀の気持ちや考えが見えてくる。
その時までサヨナラ
裕太と宮前春子の交換ノートを見て、亜紀だったことに気付いた悟。
そして、2人のわだかまりも解けたというのに、
最後に、あなたと仲直りすることもできた。
もう、何も思い残すことはないですね
裕太と悟の生活に安心した亜紀とのお別れの時間がきてしまった。
亜紀は天国に行ってしまうのに、不思議と「悲しい」とか「しんみり」としたお別れではなく、笑顔で「またね」という様な情景が浮かんだ。
ぎこちなかった2人が、いつの間にか親子の絆で結ばれ、もう何があっても大丈夫だろう。
読者もそう感じてからのお別れだったからだろうか。
まとめ
最初は悟という人間にすごく嫌悪感を抱いた。
自分の子供なのに、なぜ向き合おうとしないんだ!と憤りさえ感じた。
悟は亜紀の死をきっかけに裕太と向き合うことができたけど、亜紀が大切な人だと気が付いたときに彼女はもうこの世にいない。
大切なもの(人)は失ってから気付くとは正にこのことであり、もっと早く(生きているとき)に気付いてほしかった。
自分が大切なもの(人)を失う前に気付くには、思いやり・感謝の気持ちを忘れずにいたい。
主題歌:flumpool/キズナキズ
flumpool「キズナキズ」
歌詞の所々が亜紀と悟、悟と裕太のことを歌ってるように感じました。
例えば、
サヨナラは悲しいけど その痛みを
喜びと同じように分け合おうよ
どんな傷跡だって 二人で持ち寄れば
きっとそれが僕らの絆
亜紀(ママ)とのお別れは寂しくて悲しいけど、その辛さを2人で共有しよう。
それが親子の絆。
2人の今後への期待も込めて、このように捉えてみました。
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