〈忍野扇(おしの おうぎ)〉。
かつて、吸血鬼に襲われた男子高校生〈阿良々木暦(あららぎ こよみ)〉に力を貸した専門家、〈忍野メメ(おしの〜)〉の姪。
そして、あらゆる手段で〈物語〉をかき回した、真っ暗な存在。
そんな彼女の目的とは、一体何だったのか。
阿良々木暦は、なぜ彼女と対峙するに至ったのか。
そしてその正体が明かされるとき、阿良々木暦の取る行動とは?
全ての謎が解き明かされ、そして青春は終わりを告げる。
『〈物語〉シリーズ』ファーストシーズン・セカンドシーズン全12作を経て、遂に迎える大団円。
終わりが終わる、『〈物語〉シリーズ』の最終巻!
こんな人におすすめ!
- 西尾維新氏のファンの人
- 『〈物語〉シリーズ』セカンドシーズンを読了済の人
- 『〈物語〉シリーズ』ファーストシーズンを読了済の人
- 『憑物語』『暦物語』『終物語(上)』『終物語(中)』を読了済の人
あらすじ・内容紹介
受験日当日。
専門家の元締め〈臥煙伊豆子(がえん いずこ)〉に殺された〈阿良々木暦〉は、そのまま地獄へと堕ちてしまう。
地獄で待ち受けていたのは、かつて成仏した筈の少女〈八九寺真宵(はちくじ まよい)〉と、式神童女〈斧乃木余接(おののき よつぎ)〉に殺された専門家〈手折正弦(ており ただつる)〉であった。
彼らの口から臥煙伊豆子の計画の全貌を聞いた阿良々木暦は、現世へと帰還。
臥煙伊豆子と斧乃木余接、そして完全体となって吸血鬼・〈忍野忍(おしの しのぶ)〉たちと共に、最終決戦に臨む。
そして遂に明かされる、謎めいた女子高生・〈忍野扇〉の正体と、その目的。
全ての真相を知った阿良々木暦は、何を想い彼女と相対するのか。
そして、どのような結論を下すのか。
続き続けた物語に、最後の終わりを齎す『〈物語〉シリーズ』の最終巻。
阿良々木暦の青春が、終わりを迎える…!
『終物語(下)』の感想・特徴(ネタバレなし)
遂に開幕する、最終決戦
反撃開始だよん
今作は、永きに渡って描かれ続けた『〈物語〉シリーズ』の最終巻だ。
これまでの〈物語〉に纏わる全ての謎解きが行われ、そして遂に〈敵〉との最終決戦が開幕する。
物語の序盤、地獄巡りをすることになる阿良々木暦。
そこで振り返った、これまでの自らの行い。
その記憶に付随する、劣等感。
様々な迷い。
それらを自覚し、振り切る阿良々木暦の姿は、これまでに無かった強い決意に満ちている。
そして地獄から甦った彼が臨む、〈敵〉との最終決戦。
その〈敵〉は、謎めいた転校生・〈忍野扇〉。
様々な出会いと、そして出会いが織りなす〈物語〉の、その全てを肯定して戦いに挑む彼の姿は、いつになく頼もしく、これまでシリーズを追ってきた読者の期待に応え得るものとなっている。
是非とも、そんな彼の勇姿を堪能してほしい。
明かされる、〈忍野扇〉の正体
そして阿良々木暦が臨む戦いの、その相手。
謎めいた転校生・忍野扇に纏わる全ての謎も、今作で暴かれる。
これまで阿良々木暦の〈物語〉を、明に暗に翻弄し、掻き回し続けた忍野扇。
専門家、〈忍野メメ〉の姪を名乗り、潜んでいた問題を噴出させ、まるで厳正なルールの使者であるかのように振る舞っていた彼女の、真の目的と正体が暴かれる。
〈私は何も知りませんよ、貴方が知ってるんです〉と嘯き、ありとあらゆる物語の聞き手を自称していた彼女。
そんな彼女自身の全てが明かされるそのとき、彼女は初めて自らのことを語る。
果たして彼女は、何を語るのか。
阿良々木暦を、どのような結論へと導こうとしていたのか。
そして、どのような結末へと辿り着くのか。
『〈物語〉シリーズ』を、そして阿良々木暦の青春を引っ張ってきた彼女の最後の姿も、要注目だ。
そして、〈物語〉は終わり…
今作で、『〈物語〉シリーズ』を通して描かれてきた阿良々木暦の青春は、終わりを迎える。
鬼と、蟹と、蝸牛と、猿と、蛇と、猫と、蜂と、不死鳥と、或いは人間と関わり続けてきた彼の、波瀾万丈な学生生活。
その全てを自らの糧にした彼は、どのような変化を遂げたのか、それとも何も変わらなかったのか。
阿良々木暦という男が、常に決死の思いで切り開いてきた〈物語〉の結末は、ハッピーエンドか、バッドエンドか。
そして、これから彼はどのような〈物語〉を紡いでいくのか。
1つの〈物語〉が終わり、そして新しい〈物語〉へと続き続けることを示唆する今作のラストは、きっと『〈物語〉シリーズ』を追ってきた読者にとって、納得のいくものとなっている。
最後の1行に至るまで、勢いの衰えることのない作品だ。
まとめ
全ての謎が解き明かされ、全ての〈物語〉が何かしらの結末へと達する今作。
今作にて『〈物語〉シリーズ』は、一旦の終わりを迎える。
その結末は、全てが収まるところに収まっており、今までシリーズを追い続けてきた読者を十二分に満足させるものだ。
しかし、人が生き続ける限り何某かの〈物語〉を産み続ける様に、阿良々木暦が紡ぐ〈物語〉は未だ終わらない。
今後とも続いていく〈物語〉に想いを馳せながら、先ずは読了後の余韻を楽しんでほしい1冊だ。
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