かつて存在した悩み相談を受け付ける雑貨店。
消えたと思われたそのお店がなんと一夜限り復活!
あらすじ・内容紹介
平成のある夜、かつて雑貨店だった廃屋に、悪事を働いた3人組が身を隠します。
その郵便受けに、なぜか悩み相談の手紙が次々と入ってきます。
しかもそれは、昭和のころに書かれたものばかりで……。
3人は頭をひねって回答し、時空を超えた不思議な手紙のやり取りが始まりました。
しだいに明らかになってくる人と人とのつながりが圧倒的な感動を呼ぶ物語です。
日本と中国で映画化されました。
ナミヤ雑貨店の奇蹟の感想(ネタバレあり)
この作品は5章から成り、それぞれに深刻な悩みを抱えた人々が登場します。
余命いくばくもない恋人との時間を削ってまで、オリンピック代表候補者として練習を続けるのか。
実家の魚屋を継がずに、ミュージシャンを目指してゆくのかどうか。
妻子ある恋人との子供を身ごもったが、産むかどうか。
事業に失敗して夜逃げをする両親についていきたくない少年。
経済的に自立したい女性……。
そして、雑貨店を営んでいた浪矢(ナミヤ)雄治は、どんな思いで悩み相談に応じていたのでしょうか。
嫌がらせだろうが悪戯目的だろうが、「ナミヤ雑貨店」に手紙を入れる人間は、ふつうの悩み相談者と根本的には同じだ。心にどっか穴が開いていて、そこから大事なものが流れ出しとるんだ。(中略)だからわしは回答を書くんだ。一生懸命、考えて書く。人の心の声は決して無視しちゃいかん
この浪矢雄治のふところの深い優しさが、悩み相談の手紙を通して広がっていったように思います。
ナミヤ雑貨店に悩み相談をし、人生の岐路で選択をして進んだ登場人物たちの、その後のエピソードを読み進めるうちに、無関係に見えていた人と人とがつながっていたことが分かってきます。
その複雑な設定と、人の心のあたたかみが、この小説の大きな魅力ではないでしょうか。
これだけ複雑な人物の相関関係と感動的な物語を、こんなにも読みやすく仕上げた著者の力量を実感させられます。
また、メールではなく手紙であるというところが、この作品をとても優しい印象にしているのではないかと思います。
登場人物それぞれの筆跡をついつい想像してしまいます。
この作品では、殺人事件の犯人を捜すようなミステリーではありませんが、謎だったものごとが明らかになり、つながってゆく爽快感は大いにあります。
ミステリーが好きな方も、ヒューマンドラマが好きな方も楽しめる作品なのではないかと思いました。
主題歌:中島美嘉/FIND THE WAY
この本に主題歌をつけるとしたら、中島美嘉「FIND THE WAY」だと思います。
「答えを出すこと きっとすべてじゃない」
「進んだ道の先 光が見つかるから YOU`LL FIND THE WAY」
人生の岐路で迷う登場人物たちをはげますような歌詞と優しい光が差すような曲の雰囲気が、この小説に合っていると思いました。
あせったり迷ったりしたときに聴くと、ホッと癒やされます。
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確かに人間関係が複雑なのに、読みやすかったです!
ですよね!さすが東野圭吾さん…!