甘い恋愛から激しい戦闘まで、テンポの良い文体と質の高いエンターテインメント性から幅広い読者層の支持を集める作家・有川浩。
今回は読書好きの方80名に最大5冊まで有川浩のおすすめ作品選んでいただきました。その結果をランキング形式でご紹介します。
目次
1位:『図書館戦争』
2019年。公序良俗を乱し人権を侵害する表現を取り締まる『メディア良化法』の成立から30年。日本はメディア良化委員会と図書隊が抗争を繰り広げていた。笠原郁は、図書特殊部隊に配属されるが……。(Amazon商品説明より)
tsukasa
有川浩さんといえば、やっぱりこれ!!外せない作品です。
SFとかがあまり得意ではないので、有川浩さんが好きなのに避けていた作品でした。読んでみたら、苦手意識も忘れて夢中で読んでしまうほどハマりました!
恋愛、友情、そして本を愛するものたちの正義、いろんな読み方ができる作品だと思います。
yurika
静かなイメージの図書館が武装化され、戦闘は起きるわ、主人公たちの恋愛模様はあるわ、となんとも盛りだくさんな小説でした。
全て架空の話と分かっていても、現実に起きてるんじゃないかと思わせられます。
しほ
郁ちゃんと堂上教官のもどかしくてたまらない恋愛模様は、忘れかけていたキュンキュンを思い出させてくれます。
堂上教官みたいな王子様どこかにいないかな(゜Д゜≡゜Д゜)
夢想 愛
図書館という場所が戦場になる衝撃。仕事を通して学ぶ人生。誰かを大切に想う事で実る恋。そして、本への深い愛情。全てが詰まった、楽しめるシリーズです。
冴月
これは検閲が罷り通る架空社会での、本を、ひいては言葉を守るために戦う図書館と図書館員の物語です。
コアでハードな世界設定。極上の甘さを誇る恋愛要素。心熱くなる登場人物たち。軽妙でくすりと笑える掛け合い。流れるように読むことのできる軽やかな文体……。
エンタメ小説にあるまじきと言えるほどに重いテーマを確かに扱いきった、有川浩さんの数多い著作の中でも特に名作と名高い小説です。
まりな
図書館戦争シリーズは有川さんの作品で1番好きな作品。そして私が今まで読んだ中で1番好きな小説です。
本を守るために戦う姿に胸打たれます。表現の自由を改めて考えさせられました。そして登場人物たちの恋模様にも注目です!ニヤニヤすること間違いなし!(笑)
シリーズ4冊を読んだらぜひ別冊編も。原作はもちろんですが、漫画・アニメ・実写もおすすめです!
ひろ
『図書館戦争』とは病院の生協で運命的に出会いました。1巻読んで、シリーズ化されてるのを知って大人買いしたほどでした。
郁の真っ直ぐで素直で純粋な人柄と、堂上教官の厳しいのに時折見せるやさしさにキュンキュンしながら、本を好きな方に刺さる内容になってます。
Baro
実際の「図書館憲章」から発想したという世界観がすごい!ドンパチあり、甘々ありのエンタメ小説です。
だむ
読みたい本を自由に読むことができる。それは私達にとって当たり前のことだけど、それが規制されるような世の中だったら息苦しいと思いませんか?
このシリーズでは図書館員が本を守るためにめっちゃ戦います!そしてラブもぎゅうぎゅうに詰め込まれています♡笑えて、泣けて、きゅんとして、考えさせられます♪読み出したら止まれません!
ページ数 | 398ページ |
メデイア化 | 実写映画化 |

2位:『植物図鑑』
お嬢さん、よかったら俺を拾ってくれませんか。咬みません。躾のできたよい子ですー。思わず拾ってしまったイケメンは、家事万能のスーパー家政夫のうえ、重度の植物オタクだった。樹という名前しか知らされぬまま、週末ごとにご近所で「狩り」する風変わりな同居生活が始まった。とびきり美味しい(ちょっぴりほろ苦)“道草”恋愛小説。レシピ付き。(Amazon商品説明より)
前半は心拍数、上げに上げて、上げてきます!ノンストップドキドキです(読者への焦らしが過ぎます)。
後半たたみかける様に言葉のダイナマイトを投げられ涙腺のダムが決壊します。
柴犬を彷彿とさせるイケメンにぜひ癒されてください。
主人公のさやかもイツキも初恋ではないのに、初恋のような甘酸っぱさがあり、読んでいて純粋な気持ちにさせてくれます。イツキのストレートな台詞は言われてみたい!!と思わせられます。
「雑草という名前の草はない」という言葉もあるように、野草を含めた多種多様な植物が出てきて、それを使って花冠を作ったり料理をしたりと多様な活用法を知る事ができます。また、日常光景の中で繰り広げられる2人の行動と会話が微笑ましいです。タンポポの天ぷらは本当に美味しいですよ!
植物が好きな方もそうでない方も、ぜひ読んでみてください。
名前しか知らなくても、恋をして積み重ねた月日があれば深く愛してしまうもの。雑草なんか気にもとめてなくても、その人を好きになったら全く興味がなかった事でも興味が湧くようになるから恋って凄い。
毎年花が咲く頃に自分を思い出してもらいたい…。恋という種は自我を芽生えさせ人生に華を添えるんだ。と、遠回りして「道草」しながら恋愛したくなる作品です。
徐々に恋愛感情を育てていきながらも、急展開するストーリーにハラハラ。最後は纏まってほっと一息。胸キュンポイントが沢山!!
主人公2人の関係が季節と植物の移り変わりにつれて変容していく様子が、有川さん独特の表現と丁寧な描写で描かれていてとても好きです。
ただのハッピーエンドではないラストがグッとくるので、読む度に涙してしまいます。
まさに王道ラブコメ。読者を引きつけて離さない、ドキドキの展開に皆が悶えたはず。
作中に出てくる数々の料理にも注目です!
ページ数 | 425ページ |
メデイア化 | 実写映画化 |



3位:『旅猫リポート』
野良猫のナナは、瀕死の自分を助けてくれたサトルと暮らし始めた。それから五年が経ち、ある事情からサトルはナナを手離すことに。『僕の猫をもらってくれませんか?』一人と一匹は銀色のワゴンで“最後の旅”に出る。懐かしい人々や美しい風景に出会ううちに明かされる、サトルの秘密とは。永遠の絆を描くロードノベル。(Amazon商品説明より)
電車の中で読んではいけない作品。ラストは泣いてしまいます。
サトルとナナの関係が自分の飼っていた猫と重なり、感情移入してしまいました。
ペットとの暮らしが人生を豊かにしてくれることと、最後まで責任を持って飼うことの難しさを教えてくれます。
読み進めるうちにお互いを支えあっている2人と一緒に旅をしているような気がしていました。私の人生にはいない2人なのに、まるで彼らとずっと一緒にいたような気持ちになってしまうのです。
ナナが悲しければ私も悲しい、サトルが嬉しければ私も嬉しい。今の自分とは違う人生を(猫生もかな?笑)身をもって体感しました。
最後に、電車やバスなど公共の場で読むのはおすすめできません(笑)
転々と里親を探し回ってくと猫をきっかけに人と人とがどんどん繋がっていく。
心配する飼い主の気持ちをよそに愛猫はどんな理由があっても1番一緒に居たい人のそばにいたいと他の人に全く懐こうせず、飼い主は手離したくない気持ちを堪えながら想いを貫きお互いの大切な存在への想いを思うと涙を堪える事が出来ませんでした。
動物が好きな人に読んでもらいたい作品です。
小説から読んで映画を観ても、映画を観てから小説を読んでも心に優しく染みる作品です。
涙で文字が霞んで読めなくなるなんて…いつぶりでしょうか。
1人と1匹の旅物語が永遠に続いてくれれば良いなと思いつつ、あっという間に読み終えてしまいました。
飼い猫、飼い犬等がいらっしゃる方は無性に可愛がり、大切にしたくなる作品だと思います。
「命」とか、普段は意識することのない「家族」の温かさなどを感じました。最後まで悟の猫でいようとするナナに感動です。
ページ数 | 336ページ |
メデイア化 | 実写映画化 |



4位:『キケン』
ごく一般的な工科大学である成南電気工科大学のサークル「機械制御研究部」、略称【キケン】。部長*上野、副部長*大神の二人に率いられたこの集団は、日々繰り広げられる、人間の所行とは思えない事件、犯罪スレスレの実験や破壊的行為から、キケン=危険として周囲から忌み畏れられていた。これは、理系男子たちの爆発的熱量と共に駆け抜けた、その黄金時代を描く青春物語である。(Amazon商品説明より)
ノリとテンポがめちゃくちゃ良い!読書初心者にオススメしたい作品です。
ヤンキーではないけど、爆発物を作ってしまったり、かなりやんちゃな「キケン」のメンバーにたくさん笑わせてもらいました!
あとがきが漫画テイストになっているのも良かったです。
大学青春の代名詞のような作品!青春って、こんな驚きのことも普通にやれちゃう時代だったな、となつかしい気持ちにかられると同時に、ちょっとだけ寂しくもなっちゃいます。そんな瞬く間な時間だったから、青春っておもしろいものだったんだなぁ。
個性的すぎる登場人物達そのものも魅力です!
機械オタクの話かと思いきや、専門用語は全くなし。青春に情熱をかけてバカやってる爽快な感じが好きです!
ページ数 | 368ページ |
5位:『阪急電車』
隣に座った女性は、よく行く図書館で見かけるあの人だった…。片道わずか15分のローカル線で起きる小さな奇跡の数々。乗り合わせただけの乗客の人生が少しずつ交差し、やがて希望の物語が紡がれる。恋の始まり、別れの兆し、途中下車ー人数分のドラマを乗せた電車はどこまでもは続かない線路を走っていく。ほっこり胸キュンの傑作長篇小説。
(Amazon商品説明より)
人に愛される才能を持つのは「変わり者」と「変われた者」なのだと思う。有川さんの小説は、常に「変わる努力」の必要性を説きながらも、個々が元来持つ「変わり者」な部分を肯定する。
個人的には、彼らの祝祭の光景が眩しすぎて読後にグッタリすることもある。今作もそうだった。けれども、その後には「ちょっと頑張る。今頑張る」という気持ちになれる。だからこそ、ここまで支持されるのだろう。
阪急今津線のわずか八駅。そのわずかな時間に流れる濃厚で温かい人々との出会いや決意が込めらています。
登場人物の中では、ストレートな物言いをする時江さんが好きです。
連作短編集。1話1話が手軽に読めますし、電車が人と人をつなぎ、ストーリーが重なり合っているので思わずにやりとしてしまいます。ほっこり温かい気持ちになりたい方へ。
どの登場人物も好きですが、個人的にはゴンちゃんと小さなショウコちゃんがお気に入りです!阪急今津線に乗ってみたくなりました!
ページ数 | 269ページ |
メデイア化 | 実写映画化 |
6位:『クジラの彼』
『元気ですか?浮上したら漁火がきれいだったので送ります』彼からの2ヶ月ぶりのメールはそれだけだった。聡子が出会った冬原は潜水艦乗り。いつ出かけてしまうか、いつ帰ってくるのかわからない。そんなクジラの彼とのレンアイには、いつも7つの海が横たわる…。表題作はじめ、『空の中』『海の底』の番外編も収録した、男前でかわいい彼女たちの6つの恋。有川浩がおくる制服ラブコメシリーズ第1弾。(Amazon商品説明より)
全作品に有川節満載の胸キュン恋愛小説で、読んでいて思わずにやけてしまいますw
有川浩作品は『図書館戦争』、『植物図鑑』が有名でそれしか読んだことなかったけれど、この作品を読んで「新しい有川浩」に出会えたような感じで新鮮でした。
また、『空の中』『海の底』の外伝が含まれていますが、読んでいなくても問題なく楽しめる作品でした。
ページ数 | 286ページ |
シリーズ | 自衛隊ラブコメシリーズ既刊2巻 |
7位:『ストーリー・セラー』
妻の病名は、致死性脳劣化症候群。複雑な思考をすればするほど脳が劣化し、やがて死に至る不治の病。生きたければ、作家という仕事を辞めるしかない。医師に宣告された夫は妻に言った。「どんなひどいことになっても俺がいる。だから家に帰ろう」。妻は小説を書かない人生を選べるのか。極限に追い詰められた夫婦を描く、心震えるストーリー。(Amazon商品説明より)
記憶を侵される難病に罹患してしまった小説家の妻と、彼女を支える夫の物語。
作者が小説家だけあって、作品を産み出す時の苦悩や、心の向き合い方が非常にリアルです。娘に投げつけられる母親の言葉、切羽詰まった時の台詞などが、生々しく読者の胸をえぐります。
side:Aとside:Bはそれぞれ共通点があり、Aの方は妻のこと、Bの方は夫のことがメインです。一見、平行線のように見える物語がひとつに収束したとき、未だかつて体験したことがない圧倒的な感動があなたを待っているでしょう。
2つの物語で構成されていて、どちらも耐え難い別れがあり胸が締め付けられる。
変えることのできない現実を物語として書くことで、「現実をも書き換えてやる」そんな声が聞こえそうな文章。
言葉を操る作家という職業の苦悩と喜びも体感でき、新鮮で愛に溢れた物語です。
じわじわと涙が浮かぶ1冊。人生の時間は有限だと、大切な人との時間にも必ず終わりが来るのだと考えさせられる作品でした。
作家の生き様や夫婦の深い愛に心をユサユサと揺すられ、最後は涙が止まりませんでした。
夫婦っていいな、と再認識させてくれる作品でした(^-^)
ぼくが学生時代に出会った、思い出深い作品です。命が尽きるその瞬間まで綴られた物語は、繊細で温かい言葉で溢れていました。
大切な人の為に、「物語を売る」。有川浩さんが提示する言葉はいつも、独特の切なさと重みがあって引き込まれます。
ページ数 | 265ページ |
8位:『海の底』
4月。桜祭りで開放された米軍横須賀基地。停泊中の海上自衛隊潜水艦『きりしお』の隊員が見た時、喧噪は悲鳴に変わっていた。巨大な赤い甲殻類の大群が基地を闊歩し、次々に人を「食べている!」自衛官は救出した子供たちと潜水艦へ立てこもるが、彼らはなぜか「歪んでいた」。一方、警察と自衛隊、米軍の駆け引きの中、機動隊は凄絶な戦いを強いられていくージャンルの垣根を飛び越えたスーパーエンタテインメント。(Amazon商品説明より)
自衛隊、機動隊、警察、そして子供たち、それぞれの物語にどんどん引き込まれていきました。
夏木、冬原のコンビが最高です。図書館戦争の堂上、小牧コンビが好きならきっと好きになると思います。
展開が早く、すぐに目を離せない状態となりました。
自分の感情よりも義務を絶対とする自衛官に感嘆。問題発生から解決までの内部のやりとりも見事で、誇りを傷付けられても任務を果たした機動隊も賞賛に値しました。
レガリスという巨大な赤い甲殻類が横須賀基地を襲うという、SFチックな感じですが、内容は潜水艦に逃げ込んだ自衛隊員と17歳の高校生の胸キュン恋愛ものです。
お互いの気持ちが複雑に交差する恋愛模様に胸キュンが止まりません。
ページ数 | 522ページ |
シリーズ | 自衛隊三部作 |
9位:『塩の街』
塩が世界を埋め尽くす塩害の時代。塩は着々と街を飲み込み、社会を崩壊させようとしていた。その崩壊寸前の東京で暮らす男と少女、秋庭と真奈。世界の片隅で生きる2人の前には、様々な人が現れ、消えていく。だがー「世界とか、救ってみたくない?」。ある日、そそのかすように囁く者が運命を連れてやってくる。『空の中』『海の底』と並ぶ3部作の第1作にして、有川浩のデビュー作!番外編も完全収録。(Amazon商品説明より)
有川浩デビュー作ということで読みました。面白かったです。
極限の世界での恋というのが読んでる側も切なく興奮します。何度も読み返したくなる作品です。
SFミステリー的な要素ももちろん面白いのですが、秋庭さんと真奈のやり取りが愛おしく、2人のやり取りに頬が緩むのを抑えられませんでした。
タイトルは『塩の街』ですが、内容は意外と甘めな味です。
ページ数 | 444ページ |
シリーズ | 自衛隊三部作 |
受賞 | 第10回電撃ゲーム小説大賞受賞 |
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