〈蝸牛の迷子〉だった少女、〈八九寺真宵(はちくじ まよい)〉。
彼女は〈阿良々木暦(あららぎ こよみ)〉と〈戦場ヶ原ひたぎ(せんじょうがはら〜)〉との出会いによって迷子を脱し、単なる〈お散歩好きの幽霊〉へとその性質を変化させた、筈だった。
突如、ブラックホールのような謎の〈くらやみ〉が現れるまでは…。
〈くらやみ〉の正体を探る鍵を握るのは、かつて〈伝説の吸血鬼〉と呼ばれた幼女〈忍野忍(おしの しのぶ)〉の過去。
果たして阿良々木暦は、〈くらやみ〉の正体を知り、逃れることは出来るのか。
加速し続ける〈物語〉の、大きなターニングポイントとなる『〈物語〉シリーズ』セカンドシーズンの、第5話。
こんな人におすすめ!
- 八九寺真宵推しの人
- 西尾維新氏のファンの人
- 『〈物語〉シリーズ』が好きな人
あらすじ・内容紹介
迷子の少女、〈八九寺真宵〉。
11年前の母の日、母親を訪ねていった彼女は信号無視のトラックに撥ねられ、命を落とした。
その後、人を迷わせる〈蝸牛の迷子〉として怪異化した彼女は、同じく怪異の残滓を持つ〈阿良々木暦〉と出会い、母の待つ家へと帰宅できた。
そして幽霊として〈2階級特進〉した彼女は、人を迷わせる必要のない単なる〈お散歩好きの幽霊〉となった、筈だった。
突如現れた〈くらやみ〉が、彼女を狙って飲み込もうとするまでは…。
『傾物語』での冒険を終え、2学期の1日目からサボりを決め込み、八九寺真宵と楽しいお喋りに興じていた阿良々木暦の前に、突然姿を現したブラックホールのような存在。
目の前に現れた〈くらやみ〉に本能的な危機感を覚え、八九寺を連れて逃亡を試みる。
しかし決死の逃走も虚しく、八九寺真宵と諸共〈くらやみ〉に飲み込まれかけたその時、100年使われた死体の付喪神、式神童女の〈斧乃木余接(おののき よつぎ)〉に間一髪で助けられ、辛うじて逃げ果せる。
逃亡先で〈くらやみ〉への対策を練る中で、夜になり目を覚ました伝説の吸血鬼の成れの果て、幼女〈忍野忍〉は語り始める。
かつて日本を訪れ、そして〈くらやみ〉と出会った時の物語を…。
かつてない程に正体不明の存在、〈くらやみ〉の登場や、専門家の元締め〈臥煙伊豆湖(がえん いずこ)〉と阿良々木暦の邂逅を描く、『〈物語〉シリーズ』セカンドシーズンの第5話。
『鬼物語』の感想・特徴(ネタバレなし)
幼女・少女・童女の揃い踏み
知らねーよ、馬鹿
かつて〈鉄血にして熱血にして冷血の吸血鬼〉〈怪異の王〉〈怪異殺し〉といった様々な異名を恣にした伝説の吸血鬼、〈キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレード〉の成れの果て、幼女・忍野忍。
母の日に事故に遭い、人を迷わせる蝸牛の怪異〈迷い牛〉となり、阿良々木暦との出会いによってその特性から解き放たれた永遠の小学5年生、少女・八九寺真宵。
100年使われた死体の付喪神であり、シリーズ屈指の必殺技〈例外の方が多い規則(アンリミテット・ルールブック)〉を持つ死体人形、式神童女・斧乃木余接。
『〈物語〉シリーズ』を語る上で欠かせない登場人物が、この3人であろう。
今作では3人が初めて一堂に会するという、これまで有りそうで無かったシーンが描かれる(もっとも、アニメーションの副音声では何度も会話を重ねているが、其々の関係性は本編とはかなり異なる)。
揃い踏みした幼女・少女・童女の3人が繰り広げる掛け合いは、今作の大きな魅力の1つだろう。
〈くらやみ〉の出現
誤解を解く努力をしないということは、嘘をついているのと同じなんだよ
また、今作で大きな脅威としたら描かれる〈くらやみ〉の存在からも、目が離せない。
阿良々木暦から〈ブラックホール〉と形容されるこの存在、或いは非存在は、これまで登場した凡ゆる怪異と比べてもぶっちぎりの危険度を誇る。
一瞬で阿良々木暦の自転車を飲み込んでしまうほど圧倒的な力が迫ってくる様子は、これまでに無い恐ろしさを感じさせる。
更に、この〈くらやみ〉という存在そのものが、続刊に大きな影響を与え続けており、シリーズを読み終えたのちに改めて読み直したくなる作品となっている。
〈忍野忍〉の過去と〈八九寺真宵〉の覚悟
失礼、噛みました
そして今作の中で最も重要な注目ポイントは、〈くらやみ〉の出現を受けて忍野忍が語る、〈キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレード〉時代に起こった事件と、その語りを聞いた八九寺真宵の覚悟だろう。
詳細はネタバレになる為伏せるが、特に八九寺真宵が覚悟を決める場面は『〈物語〉シリーズ』全体を通しても屈指の名シーンとなっており、目を離すことはできない。
まとめ
〈くらやみ〉の登場により、『〈物語〉シリーズ』のターニングポイントとなる今作。
シリーズ全体のストーリー構成は素より、〈忍野忍〉が〈キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレード〉時代に巻き込まれた事件の詳細や八九寺真宵の覚悟など、非常に見所に富んだ作品となっている。
今作がシリーズ全体に与える影響は計り知れないため、特に読みとばすことのできない1冊と言えるだろう。
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