『囮物語』あらすじと感想【誰もが予想し得なかったラスボスがついに登場!】

『囮物語』書影画像

かつて〈蛇に巻き付かれた〉少女、〈千石撫子(せんごく なでこ)〉。

専門家、〈忍野メメ(おしの〜)〉のサポートの下、〈阿良々木暦(あららぎ こよみ)〉と〈神原駿河(かんばる するが)〉によって蛇の呪いから解き放たれた彼女は、しかし完全にその影響を脱してはいなかった。

中学生の間で流行った〈おまじない〉によって、〈誰が誰のことを好きで、誰が誰のことを嫌いか〉が、クラス皆の知るところとなった中学校内に漂うのは、なんとも言えない息苦しさ。

そんな中で突如目の前に現れた、蛇の神様を名乗る〈クチナワさん〉によって、千石撫子は新たなる〈物語〉の中に巻き込まれていくこととなる。

『化物語』から登場していたヒロインが1人、千石撫子の目線から描かれる、『〈物語〉シリーズ』セカンドシーズンの第4話。

こんな人におすすめ!

  • 〈千石撫子〉推しの人
  • 西尾維新氏のファンの人
  • 『〈物語〉シリーズ』が好きな人

あらすじ・内容紹介

〈千石撫子〉。

かつて街に蔓延った〈おまじない〉の影響から友人2人に呪われ、そして2匹の蛇に巻き付かれた中学2年生の少女。

〈阿良々木暦〉と〈神原駿河〉に助けられた彼女は、しかし〈おまじない〉の結果〈誰が誰のことを好きで、誰が誰のことを嫌いか〉が全て詳らかにされてしまった中学校内で、息苦しい生活を送っていた。

更に担任から〈クラス委員長〉を押し付けられ圧迫されていく彼女の心の救いは、〈暦おにいちゃん〉の存在。

そんなある日、彼女の前に蛇の神様を名乗る〈クチナワさん〉が現れる。

かつて、呪いから助かるために行った〈解呪〉。

その過程で多くの蛇をぶつ切りにしたことの償いを求める〈クチナワさん〉から、千石撫子は〈御神体〉探しを依頼されるのだが…。

暗躍する〈忍野扇(おしの おうぎ)〉や傍若無人な親友〈阿良々木月火(あららぎ つきひ)〉、伝説の吸血鬼が成れの果て〈忍野忍(おしの しのぶ)〉達との関わりの中で、暴かれていく千石撫子の〈可愛い〉の裏側。

別軸で起こる、もう1つの物語との交差。

〈御神体〉の意外な在処と、〈クチナワさん〉の正体。

そして〈阿良々木暦〉と、〈戦場ヶ原ひたぎ(せんじょうがはら〜)〉の関係性。

それらの全てが重なった時、最強のラスボスが現れる。

誰からも〈可愛い〉と言われ続けた少女の心が明かされる、『〈物語〉シリーズ』セカンドシーズンの第4話にして、ついにラスボスが姿を見せるシリーズの転換点。

『囮物語』の感想・特徴(ネタバレなし)

〈千石撫子〉の目線から綴られる物語

「かみついて」、君を感じる、罠の中

今作『囮物語』は、『化物語』から登場していたヒロインズのうちの1人、〈千石撫子〉の目線からストーリーが進行していく。

〈阿良々木暦〉の視点から語られていた『化物語』において、彼女は〈おとなしくて〉〈気が弱い〉、〈可愛い〉女の子、でしかなかった。

前髪で目元を隠し、小声で喋り、〈ごめんなさい〉が口癖の、気の弱い少女。

それが、阿良々木暦から見た千石撫子だったのだ。

今作はそんな千石撫子の視点から物語が進行していくことにより、自らの言動、振る舞いが他者に与えるイメージについて、千石撫子自身がどれほどまでに自覚的だったのか、無自覚的だったのかがわかる。

また、〈阿良々木暦〉や〈神原駿河〉以外の人間との接し方が描かれることにより、描写は主観的でありながらも、千石撫子という人間への評価はより客観的に下せる、という構成になっている。

加えて、今作での千石撫子はこれまでの言動とは(更に掘り下げると、これまでのキャラクター性とは)大きく異なった言動も見せる。

これまで〈可愛い女の子〉でしかなかった千石撫子の、文字通り新たな側面を見ることができる作品だ。

更に暗躍する〈忍野扇〉

君は今でもまだ、被害者のつもりなのかな?

そしてもう1人、目が離せないのが、阿良々木暦が通う私立直江津高校にやってきた転校生、〈忍野扇〉の存在だ。

『傾物語』で初登場を果たし、『花物語』でも意味ありげな発言を繰り返していた彼女/彼の暗躍が、いよいよ本格的に物語に影響を与え始める。

常に謎めかしながら、阿良々木暦やその周辺人物に纏わり付き、当然のような顔をして馴染んでいる忍野扇。

そんな彼女/彼の思惑の一端がようやく見え始める作品ともなっているため、〈物語〉が最終章へと向けて動き始めていることを実感できるはずだ。

そして物語は佳境へ

カミングスーン。神だけに

そして『囮物語』の真実が明らかになる時、『〈物語〉シリーズ』のラスボスが姿を現す。

発刊当時、誰もが予想し得なかったであろうラスボスの存在は、シリーズ全体が佳境へと差し掛かっていることを、否が応でも思い知らされる。

そして描かれる、〈とある人物〉とラスボスとの対話。

これまでの伏線が須く収束し、全ては続刊『恋物語』へと繋がっていく(その前に『鬼物語』が挟まれるが…)。

謂わば、〈『〈物語〉シリーズ』セカンドシーズンの、最終回1話前〉のような構成となっており、終局へと向かっていく興奮が味わえるはずだ。

まとめ

『〈物語〉シリーズ』セカンドシーズンの、第4話となる今作。

これまで〈可愛い女の子〉としてしか描かれなかった千石撫子の視点から物語が進行することにより、隠されていた様々な真実が抉り出される作品となっており、これまでの描写が全て反転して見える様は、見事の一言だ。

更に、『傾物語』から登場し始めた怪しげな新キャラクター、忍野扇の暗躍もより直接的に物語に関与し始めたことで、『〈物語〉シリーズ』全体が終局に向けて動き出している感覚を味わうことができる。

まさに〈最終回1話前〉のような高揚感も得ることができる、重要な1冊となっている。

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