『花物語』あらすじと感想【神原駿河、悪魔との決着!】

『花物語』書影画像

かつて〈猿に願った〉少女、〈神原駿河(かんばる するが)〉。

〈阿良々木暦(あららぎ こよみ)〉や〈戦場ヶ原ひたぎ(せんじょうがはら〜)〉、〈羽川翼(はねかわ つばさ)〉といった個性的な先輩が抜けていった私立直江津高校で、彼女は〈悪魔様〉なる奇妙な噂を耳にする。

〈悪魔の左腕〉を持つ彼女は因縁めいたものを感じ、〈悪魔様〉がいるという学習塾跡地へ向かう。

そこに待ち受けていたのは、バスケットボールで鎬を削ったかつてのライバル、〈沼地蠟花(ぬまち ろうか)〉であった…。

『〈物語〉シリーズ』で初めて明確な未来の物語を描いた、セカンドシーズンの第3話。

こんな人におすすめ!

  • 〈神原駿河〉推しの人
  • 西尾維新氏の作品が好きな人
  • 『〈物語〉シリーズ』が好きな人

あらすじ・内容紹介

〈阿良々木暦〉や〈戦場ヶ原ひたぎ〉、〈羽川翼〉。

個性的な先輩たちが卒業していった、私立直江津高校。

高校3年生となった〈神原駿河〉は、学内で実しやかに囁かれる〈悪魔様〉の噂を耳にする。

どんな悩みも、〈悪魔様〉に相談すれば解決してくれる…。

かつて〈猿に願った〉、或いは〈悪魔に願った〉が故に今もなお左手に悪魔を宿す神原駿河は、その噂話に因縁めいたものを感じ、〈悪魔様〉が居を構えているという旧学習塾跡地へと向かう。

かつて〈忍野メメ(おしの〜)〉が拠点とし、後に〈苛虎(かこ)〉によって焼き払われた因縁の場所で待っていたのは、当然ながら悪魔などではなく、中学時代にバスケットボールで鎬を削ったかつてのライバル、〈沼地蠟花〉であった。

沼地蠟花から〈悪魔様〉の真相を聞かされた神原駿河は、彼女の罠にハマりまんまと〈悪魔の左手〉を奪われてしまう。

自身を縛っていた〈悪魔の左手〉から解放されたことを、無邪気に喜ぶ神原駿河。

しかし、その直後に現れた詐欺師〈貝木泥舟(かいき でいしゅう)〉から沼地蠟花の真意を聞かされたことにより、神原駿河は沼地蠟花との対決を決意するのだった…。

〈神原駿河〉の抱えた問題のその後を描くセカンドシーズン第3話にして、『〈物語〉シリーズ』史上初めて〈未来の物語〉が描かれた、変則作品。

『花物語』の感想・特徴(ネタバレなし)

〈神原駿河〉による、ストーリーの進行

逃げるだけでは解決しない物事もある。時間が解決してくれない問題もある

今作は、『化物語』から登場していたヒロインが1人〈神原駿河〉の視点で、物語が進行していく。

かつて2度〈猿の手(実際は悪魔の手であったが)〉に願ったことで、左手に悪魔を宿してしまった少女。

今作では、そんな神原駿河の活躍や内面描写が存分に描かれる。

明るく奔放かつ、先輩への敬意を全面に押し出す彼女が、内心でどのような想いを抱えていたのかを描かれるのは、大きな注目ポイントだろう。

また、神原駿河の〈怪異とは関係のない〉友人たちとの付き合いの様子であったり、自信を〈目立たないやつ〉だと思っていた節のある阿良々木暦が、神原駿河の友人たちの間では伝説級の人気者であったりといった、これまでにはない描写なども豊富に挟まれている。

その他にも、阿良々木暦や戦場ヶ原ひたぎ、羽川翼といった先輩に対する奔放な態度とは裏腹に、意外と真面目な語り部っぷりを披露していたりもするので、既刊での〈神原駿河〉に対する描写と『花物語』における自己描写を比較してみるのもまた、面白いかもしれない。

〈神原遠江/臥煙遠江〉の存在感

薬になれなきゃ毒になれ。でなきゃ、あんたはただの水だ

そして今作では、神原駿河に〈悪魔の手〉を残した母親〈神原遠江(かんばる とおえ)/旧姓:臥煙遠江(がえん とおえ)〉が、異様な存在感を放っている。

セカンドシーズンから登場する重要キャラの1人、既刊で登場していた3人の専門家、〈忍野メメ〉〈貝木泥舟〉〈影縫余弦(かげぬい よづる)〉の大学時代の先輩にして、専門家の元締め〈臥煙伊豆湖(がえん いずこ)〉の、実の姉。

〈何でも知ってるおねーさん〉を自称する臥煙伊豆湖ですらも、底知れなさから敬遠していたという〈神原遠江/臥煙遠江〉が、一体どのような人物であったのかの、その一端が語られる。

『〈物語〉シリーズ』全編を通しても、おそらく1番と言って良いほどに底知れない人物であり、故人となったのちも〈物語〉に影響を与える彼女の存在からも、目が離せない。

〈貝木泥舟〉の登場と、〈忍野扇〉の暗躍

若造でも老人でも、人生に悩みは尽きないが、しかしおいしい肉を食えばそんな悩みは全て解決するのさ

そして今作に大きな影響を及ぼしているのが、詐欺師〈貝木泥舟〉と後輩〈忍野扇(おしのおうぎ)〉だろう。

かつて大規模な詐欺を行い、街を混乱に陥れた貝木泥舟は、しかし今作では神原駿河に何故か焼肉をご馳走している。

まるで親戚の叔父さんのような振る舞いを見せているが、その胡散臭さは相変わらずだ。

神原駿河のライバル、沼地蠟花との関わりを語っている最中も、何割が本音なのか、何%が真実なのかは判然とせず、詐欺師としての風格をこれでもかと感じさせてくれる。

そして、『傾物語』にて〈女子高生〉として登場した忍野扇は、何故か今作では〈男子高校生〉として登場。

神原駿河に都度情報を齎すことで、物語を進行させていく。

怪しさや胡散臭さで言えばシリーズトップクラスの2人が見せる不審かつ不穏な言動を、ぜひ楽しんで欲しい。

まとめ

『化物語』から登場していたヒロインの1人、〈神原駿河〉が語り部を務める今作。

他者視点から見た時の奔放な様子とは打って変わったような、意外にもシリアスな語り口のほか、彼女や彼女の周辺人物から見た〈阿良々木暦評〉など、これまでとは異なる視点で描かれる物語は、それだけで新鮮だ。

また今作は、時系列が入り乱れがちな『〈物語〉シリーズ』の中でも、明確に〈未来の物語〉となっている。

既刊からの物語の流れで、どのようにストーリーが進行すれば『花物語』の世界に至るのか、想像を巡らせてみるのもまた一興だろう。

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