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『傾物語』あらすじと感想【最強のツーマンセルがかつてない危機に挑む!】

『傾物語』書影画像

〈地獄の春休み〉の間、一時的に吸血鬼だった高校3年生、〈阿良々木暦(あららぎ こよみ)〉。

その後遺症で吸血鬼体質が残った彼は、それを存分に活かして受験勉強に励んでいた。

そんな阿良々木暦の影に潜むのは、かつ〈鉄血にし熱血にして冷血の吸血鬼〉〈怪異の王〉などの異名を恣にした伝説の吸血鬼、〈キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレード〉が成れの果て、〈忍野忍(おしの しのぶ)〉。

『〈物語〉シリーズ』史上最も深い絆で結ばれたツーマンセルが挑む、時空を超越した新たなる物語。

こんな人におすすめ!

  • 西尾維新氏のファンの人
  • 『傷物語』が特に好きな人
  • 『〈物語〉シリーズ』が好きな人

あらすじ・内容紹介

皆が傷だらけになり、少しずつ不幸になった〈地獄の春休み〉。

その2週間で、〈阿良々木暦〉は吸血鬼と行き遭って吸血鬼となり、多くの戦いを通して人間に近いところまで戻ることができた。

そして阿良々木暦が行き遭った吸血鬼、〈怪異の王〉〈鉄血にして熱血にして冷血の吸血鬼〉〈怪異殺し〉といった異名を恣にしていた伝説の吸血鬼〈キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレード〉は、吸血鬼としての全てを失い、名前のない幼女となった。

その後〈悪夢のゴールデンウィーク〉を経て〈忍野忍〉という名をつけられた〈旧キスショット〉は、更に様々な怪異と関わり合った1学期を経て、阿良々木暦と和解に至る。

そして迎えた、高校3年生の夏休み。

その最終日、とある理由から危機に陥った阿良々木暦は、自らの影に潜む忍野忍に助けを求める。

忍野忍の提案で、危機を乗り切るために過去へと飛ぶことになった彼らが目にするのは、11年前の世界。

そこで阿良々木暦は思い出す。

永遠の迷子、迷子の蝸牛。

かつて事故で命を落とし、今なお街を歩き続ける少女〈八九寺真宵(はちくじ まよい)〉の存在を。

阿良々木暦と忍野忍は事故を未然に防ぐため奔走するが、事態は思いも寄らない方向へと進んでいく…。

阿良々木暦と、忍野忍。

吸血鬼もどきの元人間と、人間もどきの元吸血鬼。

『〈物語〉シリーズ』史上最も強固な絆で結ばれた最強のツーマンセルが挑む、時空すら超えた物語。

『傾物語』の感想・特徴(ネタバレなし)

〈阿良々木暦〉&〈忍野忍〉、最強のツーマンセル

僕は戦場ヶ原のことが一番好きで、羽川のことを誰よりも尊敬している。八九寺と喋るのは何より楽しい。だけど、一緒に死ぬ相手を選べと言われたらお前を選ぶ

今作でメインを張るのは、我らが語り部〈阿良々木暦〉と、その影に縛られた金髪の幼女〈忍野忍〉だ。

かつて協力し、傷付け合い、対立し、そして和解に至った、吸血鬼もどきの元人間と、人間もどきの元吸血鬼。

そんな2人の関係性が、存分に描かれているのが今作である。

『傷物語』での出会いと協力、そして対立。

『猫物語・黒』での、ほんの少しだけの助力。

『化物語』での関係性の変化。

そして『偽物語』で、曲がりなりにも和解に至ったこの2人は、コンビを組めばなんでもできる最強のツーマンセルだ。

そんな2人の掛け合いや、11年前の過去の世界で事故に逢う運命の迷子の少女〈八九寺真宵〉を救おうとする様は、これまでの作品で培われた2人の絆や関係性の変化が見て取れるものとなっており、今作の大きな見所だろう。

『〈物語〉シリーズ』最大スケールの危機

世界を救って女の子も救う。そんな強欲さこそが今時のヒーロー像だろ

また今作の中盤で2人が陥る危機は、これまでの『〈物語〉シリーズ』のみならず、続刊を含めても指折りのスケールの大きさを誇る。

過程や詳細はネタバレになってしまうため伏せるが、文字通りの〈世界の滅亡〉という最大級の困難に直面することになる、阿良々木暦と忍野忍。

荒廃した世界の理由は、なんなのか。

そして、世界を元に戻すことはできるのか。

かつてない危機に直面した2人の決断は、今作の要注目ポイントだろう。

また、その危機の中で一筋の光を齎す〈とあるキャラクター〉の登場や、専門家〈忍野メメ(おしの〜)〉からの手紙なども、今作の大きなポイントだ。

特に、直接の登場ではないものの、忍野メメの株は上がりっぱなしなので、彼のファンであれば読んでおいて損はないはずだ。

〈忍野扇〉の登場

世界は平和で、夢と希望に溢れていて、救いに満ちていて、人と人とは愛し合うために生まれてきて、仲良くするべきで、子供には幸せになる義務があるとか−。そんなことをぺちゃくちゃ陶酔しながら言っているから、簡単に足元をすくわれるんです

そして『〈物語〉シリーズ』を代表する最重要キャラクター、〈忍野扇(おしの おうぎ)〉も、今作から登場を果たす。

阿良々木暦が通う私立直江津高校にやってきた、季節外れの転校生にして、専門家〈忍野メメ〉の姪っ子。

あらゆる物語の聞き手を自称する彼女は、第1章の導入部にのみ登場し、〈信号機〉に関するトリビアを意味ありげに披露する。

物語の本筋には一切絡んでこないながらも圧倒的な存在感を見せつける彼女の、裏があるような、闇があるような語り口からも、目が離せない。

まとめ

『〈物語〉シリーズ』セカンドシーズンの、第2作目となる今作。

『傷物語』の当初から、変化し続けた〈阿良々木暦〉と〈忍野忍/キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレード〉の関係性の、1つの到達点でもある今作は、2人の関係性が好きな読者にとってはたまらない1冊となっている。

更に、セカンドシーズンを代表する最重要キャラ、〈忍野扇〉も登場するなど、シリーズを通した物語全体も動き始めており、まさに要の作品と言えるだろう。

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