「好きって、どこまで大きくなっていくのかな?」
恋をして相手に夢中になった時、こんな風に考えたことはありませんか?
恋って、愛って、どんな色で、どんな匂いで、どんな形をしているのでしょう。
きっとこの本を読み終えたあなたは大好きな人を抱き締めたくなるはずです。
こんな人におすすめ!
- 忘れられない人がいる
- 一目惚れをしたことがある
- 好きの限界を超えてしまった
- 優しい気持ちで見つめたい相手がいる
あらすじ・内容紹介
理系の大学院生「僕」は研究漬けの毎日を送っている。
ある日、北海道からゲスト研究員として彼の前に現れた、斉藤恵(さいとう めぐみ)。
僕は初めて出会った瞬間から彼女に惹かれてしまう。
その気持ちは日に日に大きくなり、止められなっていった。
季節が進み景色が変わっていくように、僕の彼女に対する想いも形を変え、大きく膨らんでいく。
彼女はとても可愛かった。
僕は彼女といると本当に楽しいし、彼女といると自分を好きになれる。
彼女は最高のパートナーじゃないか。
僕たちは世界でいちばん幸せだ。
そう思っていた。
しかし、彼女と僕には向き合うべき問題があった。
僕は彼女と過ごす日々の中で、たくさんの感情と向き合うことになる。
彼女のレールと僕のレールが重なり合うことはあるのだろうか。
2人の未来の景色とは…。
『僕の好きな人が、よく眠れますように』の感想・特徴(ネタバレなし)
好きの始まり
好きの始まりって突然で、その感情に気付いた瞬間、恋はスタートする。
そういう笑い方をするってのは、そういうことなんですよ、斎藤さん。それはきっと、そういうことなんですよーーー。
一目惚れをしたことはありますか?
わたしは経験がないので具体的なことは言えないのですが、きっとあっという間の出来事だと思うのです。
例えるなら…「事故」のようなものなのかもしれません。
事故という表現にマイナスなイメージを持たれるかもしれませんが、言うなれば曲がり角でぶつかってしまうような感覚です。
曲がり角でぶつかって始まる恋、なんていう話も聞きますよね。
ふたりがこれから紡いでいく物語はこの笑顔から始まったのです。
動き出す2人のレール
始まったのは夏だけかしら、と僕が言い、ふふ、と小さく彼女は笑った。
距離を保っていた2人のレールが少しずつ動き出した夏。
僕たちはお酒を飲みながら笑いに笑った。
たくさんの会話を交わしながら、探るようにしてお互いの気持ちを確認していったのでしょう。
小さな声で呟いた「好き」という言葉は、限界を越えて溢れ出した言葉だったのだと思います。
相手にだけ聞こえる「好き」。
この一言にどれだけの思いが詰まっているのか…。
ふたりの未来は?
今、共にある二つの手を、僕は見つめる。夏に一メートルの距離まで近付いた僕らは、今、ゼロメートルまでその距離を縮めた。このあとまた離れるだけのために。ただそれだけのために──。
握りあった手…こんなに名残惜しく、切なく、そして温かく表現された言葉に初めて出会いました。
2人に待ち受けている未来を想像して胸が痛くなり、切なくなります。
それと同時に声に出す言葉だけが答えではない、ということに気づきました。
言葉に出すだけが愛じゃない。
離れる未来が待っていると分かっていても、離せない手。
離したくない手。
もしかしたら未来が変えられるかもしれないという淡い期待と、もう後戻りできないところまできてしまったという気持ちがひしひしと伝わってきます。
まとめ
わたしがこの本を読むのは、実は2回目です。
最初に読んでから忘れられない1冊となったのですが、ある事情で手元を離れ、その後本屋さんでも出会うことなく、ようやくまた巡り合うことが出来ました。
本当に嬉しかったです。
読み返してみて、やっぱりわたしにとってとても大切な1冊であると再確認できました。
胸が温かくなったり、締め付けられるような想いを体験できる素晴らしい作品です。
難しい言葉でつらつらと綴られている本もかっこいいけれど、シンプルな言葉なのに感情を揺さぶられます。
是非是非、手に取ってみてください。
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