週刊少年ジャンプの連載をトップスピードで駆け抜け、先頃堂々完結した藤本タツキの『チェンソーマン』。
本作の主人公デンジは一体どんなキャラなのだろうか?
底抜けに馬鹿で明るくお調子者、スケベ全開で欲望まっしぐらな彼の魅力を紹介していきたい。
目次
チェンソーマン誕生!デンジの悲惨な生い立ち
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本作はデンジぬきにして始まらない。
『チェンソーマン』第1話冒頭にて、デンジはポチタから飛び出たチェーンソーを振るいトマトの悪魔を倒す。
なぜ彼がそんな事をしているかというと、すべては父親の遺した莫大な借金返済の為。
見た目は癖の強い金髪と極悪な三白眼、凶暴そうなギザ歯が特徴のヤンキー少年(と見せかけ意外に苦労人)。
年齢は自称16歳だが正確な所は不明。
なお義務教育すらまともに終了しておらず、自他ともに認める最強の馬鹿である。かけ算もできるか怪しい。
もともとは父と2人スラム街のような場所で暮らしていたが、父親が突然死亡し天涯孤独に。
母親は物心付く前に心臓の病気で他界しており、これはデンジにも遺伝していた。
実際作中で吐血しており、劣悪な環境も祟ってか、どのみち寿命は長くなかったと思われる。
父親がこしらえた莫大な借金を背負い絶望していた時、怪我をしたポチタを偶然拾い、心の支えとする。
第1話ではポチタの頭部のチェンソーを使って悪魔を駆逐し、大幅にピンハネされた報酬でどうにか生計を立てていたが、住む家は丘の上のバラック小屋でどうあがいても暮らし向きは極貧。
その悲惨っぷりときたら「煙草を食ったら金をやる」とヤクザの舎弟にからかわれるや大喜びで実行。
食パンにジャムを塗って食べるのが最大の夢、というほどで涙が止まらない。
しかし返せども返せども借金はちっとも減らず、遂には片目と臓器まで売る羽目に。
物語スタート時点からどん底だったデンジをさらに地獄に突き落とすのが、雇用主であるヤクザ一党の卑劣な罠だ。
永遠の命に目が眩んだヤクザのボスがゾンビの悪魔と契約しゾンビ化。
工場に誘き出したデンジを惨殺した挙句、ポチタともどもゴミ箱に死体を捨てるのだが、ここで転機が訪れる。
それまで「ワン!」しか言ってなかったポチタが、なんと人間の言葉でデンジに感謝を伝え、既に止まってしまった心臓の代わりとなって彼を再生させたのだ。
ポチタと融合したことで頭と両腕にチェンソーを携えたチェンソーマンへ変身したデンジは、凄まじい力でもって、ゾンビの悪魔およびヤクザ一党を皆殺しにする。
公安デビルハンターデビュー、マキマとの出会い
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倉庫の惨劇のあと、ゾンビの悪魔ならびにヤクザを一掃したデンジの前に現れたのが運命の人、マキマ。
マキマはデンジに興味を示し、公安デビルハンターにスカウト。
公安デビルハンターになれば毎日美味いメシが食えると丸め込まれたデンジは、「ごはんくれる、いいひと」な理屈で優しく美人なマキマにぞっこん惚れこみ、なんでも彼女の言うことを聞く犬となる。
ちょろい、実にちょろい。
なお意外に思われるかもしれないが、一目惚れというと些か語弊がある。
東京に帰る途中のドライブインで食事をおごってもらったり、餌付けの積み重ねがだんだんと好感度を上げていった模様。
その後のデンジの人生にとって、マキマの存在は重要な位置を占める。
休日に映画館デートもしており、スクリーンを観ている彼女と同じタイミングで泣くなど、映画の好みは近かったようだ。
されどマキマの正体は支配の悪魔であり、デンジに近付いた目的は、自らがご執心のチェンソーの悪魔を完全に覚醒させる為に他ならない。
マキマへの下心、もとい好意は最後までブレなかったものの、彼女が見ているのはチェンソーの悪魔だけで自分はアウトオブ眼中だと気付いたデンジは、打倒マキマの決意を固める。
ポチタと分離した不意打ちでマキマを倒したあとは、彼女の肉を調理して食べ、名実ともに一心同体となった。
ヒロインが主人公に食べられる(カニバル的な意味で)前代未聞のラストに、仰天する読者が続出したらしい。
家事万能のオカン系男子・先輩アキとの関係
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マキマにスカウトされ公安デビルハンターデビューしたデンジが、指導役として引き合わされたのが早川アキだ。
アキはデンジの先輩にあたるが、2人の出会いは最悪。
アキはデンジを路地裏に連れ込んでボコり、「向いてないから早く辞めろ」と恫喝。
これにキレたデンジが殴りかかり修羅場に。
はじまりこそ険悪だったが以降の関係は概ね良好で、疑似家族のような感情の交流があった。
住む家がないデンジはアキのアパートに転がりこみ、そこに血の魔人・パワーが加わる。
銃の悪魔に両親と弟を殺されたアキは、デンジを手のかかる弟と同一視し、家事万能のオカン系男子として色々世話を焼く。
アキの手料理を初めて食べたデンジは感動していた。
アキとデンジの同居もマキマが仕組んだ計画のうち。
最初から支配の悪魔のてのひらの上で踊らされていたのだ。
家族と死に別れたアキと天涯孤独のデンジ、魔人として目覚める前の記憶を持たないパワーの3人は、ともに暮らすうちに互いを家族と見なし、その関係性に居場所を見出していた。
大事な人や物を持たないデンジにあえてそれらを作らせてから奪い、精神崩壊に至らしめるのがマキマの企みだったのだ。
マキマの策略にはまったデンジは、銃の悪魔と一体化して暴走するアキを自らの手で殺さざるえなくなり、罪の意識に耐えきれず食べては嘔吐を繰り返す。
最後まで良き兄貴分であり、自分の死後残されるデンジとパワーの身を案じ続けたアキは、肉親の愛情に恵まれなかったデンジが初めて手に入れた理想の家族だったのかもしれない。
デンジが唯一恋愛対象に含めなかった、相棒パワーとの関係
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「俺は俺のことを好きな人が好きだ」と言ってはばからないデンジが、唯一恋愛対象に含めなかったのが血の魔人・パワー。
彼女との関係は兄妹に近く、風呂で背中を洗ってやっても、同じベッドで添い寝しても全然エロい雰囲気にならない。
当初は胸を揉むのと引き換えに頼みを聞くなど下心を見せる描写もあったが、トイレのクソすら流さない中身オヤジな本性を知ってしまったのと、デンジに対し徹頭徹尾ガサツな言動をしていた為、恋愛感情に繋がらなかったようだ。
即ち、デンジの相棒ポジション。
その証拠にマキマに追い詰められ、チェンソーマンとして暴走中のデンジの体内から復活をはたし、間一髪助けている。
そもそもデンジの暴走はマキマに騙されてパワーを殺してしまったのがきっかけ。
アキに引き続きパワーまで、かけがえのない家族を殺してしまった罪悪感がデンジを殺戮に駆り立てたのだ。
読者号泣、レゼとの切ない悲恋エピソード
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レゼはデンジがよく行くカフェ「二道」のアルバイト。
黒髪と艶ぼくろ、首に巻いたチョーカーがチャームポントのスレンダーな美少女だ。
マキマ好きを公言する反面、マキマ一筋とはいえないデンジ。
ヤクザに飼い殺しにされていた16年の人生の反動か、異性に対してまったく免疫がなく、自分に優しくしてくれたちょっとカワイイ子ならすぐ好きになってしまうのである。
初登場時からデンジに対し好意をほのめかせていたレゼは、彼を縁日や夜の学校に連れ出し、普通の高校生らしい青春ごっこを満喫。
夜のプールでびしょ濡れになってじゃれあったり、なんとも初々しいエピソードをくり広げるのだが、実はレゼには秘密があった。
彼女はソ連がモルモットと呼ぶ子供たちの1人であり、デンジと同じく生体のまま悪魔と融合した、稀有な存在なのだ。
ボムの悪魔に変身したレゼはデンジと戦うものの、デンジが「やっぱり殺せねえ」と土壇場で断念し、辛うじて一命をとりとめる。
本命はマキマだがレゼも見捨てられない。
デンジはレゼに逃避行を持ちかけ、後日2人で落ち合うことになるのだが、レゼの行く手には既にマキマが待ち伏せていた。
レゼとデンジの悲恋は読者人気の高い名エピソードであり、切ない余韻が支持されている。
レゼとデンジは学校へ通った経験がない共通点を持ち、2人とも学生生活に憧れていた節がある。
わざわざ夏休み中の高校に潜り込んだのは、年相応に青春したかった願望の表れかもしれない。
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