この本と出会ったのは小学四年生の時。当時、私は引っ込み思案で友達がおらず、休み時間のたびに図書室に行ってました。そんな時「モモ」が目に飛び込んできたのです。
有名なのでタイトルは知っていましたが、実際に読んだことはなく、ちょっとした好奇心から借りてみることに。
自立心旺盛な主人公モモが、灰色の男たちに盗まれた時間を取り戻すべく奮闘する冒険物語にワクワクドキドキが止まりませんでした。
こんな人におすすめ!
- 時間との向き合い方を考えたい人
- 読みやすくて深いお話が読みたい人
- モモから活力をもらいたい人
あらすじ・内容紹介
主人公はある日突然町外れの円形劇場に現われた孤児の少女モモ。継ぎ接ぎだらけのスカートとぶかぶかの上着を羽織った、変わった女の子です。
モモはその物怖じしない天真爛漫さでもって、たちまち町の人たちと打ち解け、中でも観光ガイドのジジ、道路掃除夫のベッポと仲良くなりました。
親切な住人たちに食べ物を分けてもらい、子供たちと転げ回って遊び、面白おかしい毎日を過ごすモモ。
しかしある時を境に住民たちの様子が変化し、皆が時間に追われ余裕を失い始めます。それは人間の時間を盗んで貯蓄しようと企てる、灰色の男たちの陰謀でした。時間をとられた大人たちは皆イライラと怒りっぽくなり、仕事以外に無関心になります。
モモは町の人たちの時間を取り返すと誓い、世界の裏側で暗躍する灰色の男たちに戦いを挑みます。
『モモ』の感想(ネタバレ)
「モモ」はドイツを代表する児童文学作家、ミヒャエル・エンデの代表作です。主人公のモモはとても自由な女の子、時間や常識に縛られず毎日したい事をして過ごしています。
灰色の男たちは余裕を忘れた現代人のメタファーと言われています。余暇を楽しむ心のゆとりを失った彼らの姿からは、分刻みのスケジュールに忙殺され、スキマ時間をスマホで消費する現代人を思い起こしました。
序盤はジジと組んで観光客を楽しませるモモの暮らしぶりが生き生き語られ、彼女が住み着いた円形劇場に行ってみたいと胸が高鳴ります。
大らかな住民たちとの交流の様子も微笑ましく、そこにいるだけで周囲を和ませるモモの個性が際立ち、みんなの話を本当に聞いてあげる才能がどれだけ貴重なものかわかりました。
モモと灰色の男たちの戦いのターンは手に汗握る迫力で、友達を助けるために全力を尽くすモモを、気づけば夢中で応援していました。
マイスター・ホラが管理する時間の花のファンタジックな描写も美しく、うっとりします。
一方で人間の時間を盗むことでしか生きられない灰色の男たちに、同情を覚えてしまいました。誰とでも仲良くなれるなら、彼らをも救ってほしいとモモに望んでしまうのは欲張りでしょうか。
まとめ
『モモ』は子供から大人まで幅広く楽しめる現代の童話です。モモが元気一杯走り回る姿は、それだけで活力を分けてくれます。
ベッポやジジ、マイスター・ホラやカシオペイアなどのキャラクターも親しみやすく描かれており、年や立場をこえモモと彼らが築いた信頼や真実の友情にじんわり感動しました。
豊かな生活とは何かを見失ってしまった方、人が死なないファンタジーをお探しの方は、ぜひモモが住む円形劇場を訪れてください。
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