『こころきらきら 枕草子』あらすじと感想【清少納言から学ぶ明るく楽しく生きるコツ】

『こころきらきら 枕草子』書影画像

世界最古の随筆文学『枕草子』。

春はあけぼの
ようよう白くなりゆく山際…

この書き出しを国語の教科書で見た覚えがある人はいるはず。

『枕草子』の作者・清少納言は貴族の娘の家庭教師として仕え、華やかな生活を送っていたのかと思いきや実はそうではなかったようだ。

国語の教科書には書かれていなかった『枕草子』の内容をいくつか知ったことで、清少納言の考えに共感せずにいられなかった。

こんな人におすすめ!

  • 古典初心者
  • 悩みを抱えている女性
  • 学校の授業以来『枕草子』に触れていない方

あらすじ・内容紹介

数行のメモから日記、小説のような書き方までさまざまな形式で綴られている世界初のエッセイ集『枕草子』を、全体で約300段ある中から平安時代での習慣や儀式などに関する記載は取り除き、カラフルなイラストとともに現代の私たちにも読みやすく意訳された1冊。

『枕草子』の本文以外にも清少納言が中宮定子に仕えるまでの生い立ちや、宮中内の人物関係、百人一首で選ばれた清少納言の歌に出てくる逢坂の関に実際に訪れてみた現地ルポ。

著者・木村耕一氏が時空を越えて清少納言、世界最古の小説『源氏物語』の作者の紫式部に会って枕草子の真相について直撃した「逢坂山でゆうげ」というインタビュー掲載もあり。

時代背景も知ることで枕草子がより楽しめるようになっている。

『こころきらきら 枕草子』の感想・特徴(ネタバレなし)

自然の美しさ

『枕草子』では、清少納言が感動したことを、“いとをかし(古語で趣がある、風情があるという意味)”と表現していることが多い。

今作では清少納言が風情があると感じるものをいくつか取り上げられており、季節、自然の中に“いとをかし”と感じる部分が実はたくさんあることを教えられた。

定子から「春、夏、秋、冬それぞれの季節の中で何がいちばん好きですか」という問いかけに清少納言は夏の好きなところをこう語っている。

「夏」は、夜
(中略)
雨でさえ、夏の夜ならば、涼しさを運んでくれるので、気持ちよく感じるのが不思議ですね。

現代では雨は濡れる、湿気が多いなど、憂鬱なイメージでとられがちだが、雨は涼しさを運んでくれるといういい部分の発想は新鮮だったし、憂鬱な部分は実はプラスの面もあることを改めて学べた気がする。

清少納言の“いとをかし“と感じたものを知ることで細かく自然の変化、よさを察知するアンテナを身につけたいと思えるようになった。

主人・定子のために全力を尽くす

今作では、清少納言が仕えている定子を思う気持ち、忠誠心、信頼関係が垣間見えるエピソードがいくつか書いてあり、とても心が温かくなった。

清少納言は宮中内で根も葉もないうわさをたてられ、しばらく定子から離れて休んで暮らしていたある日、定子は清少納言に紙に山吹の花びらを挟んで「いわで思うぞ」と一言書いて送ったそう。

「いわで思うぞ」は『古今集』にある和歌で「あなたへの思いがいかに強いか」を意味する言葉で、紙と山吹の花びらを受け取った後、清少納言はすぐにこう察した。

定子さまが、山吹の花びらを一枚送ってこられたのは、

「私が不遇の身になったら、私の周りからは、花びらが散るように皆、去っていくことでしょう。最後まで残ってくれる一枚の花びらこそ、清少納言よ、そなただと思っていますよ。」

と、言ってくださったようで感激せずにはおれませんでした。

このあと、すぐに清少納言は定子の元へと戻ったそうだ。

よくないうわさがあるにも関わらず自分を信じてくれている定子に清少納言はどれだけ救われただろうか。

心が弱っている清少納言に対して教養ある彼女だから響く言葉を選び、花びらを添える定子の気遣いに心打たれ、主人についていきたいという清少納言の気持ち少しわかる気がする。

このエピソードを読み清少納言、定子の絆の深さも感じた。

どんな状況でも明るく振る舞う

『枕草子』には笑顔になれるエピソードが書かれており、暗いエピソードは一切書かれていない。

しかし、定子を取り巻く環境は実はとても苦しかったようだ。

なぜ、暗いエピソードを残さなかったのか、著者・木村耕一氏がインタビューで問いかけたところ、清少納言はこう語っている。

「『枕草子』は、定子さまに読んでいただこう、元気になっていただこうと思って書いたのですから、わざわざ不幸な事件に触れるはずがないじゃありませんか。私は、定子さまに語りかけるように、『あの時は、こんな楽しいことがありましたね』と書いていったのです。」

この清少納言の定子への気遣いは今では私たちが人に元気づけようとすることにも言えることではないだろうか。

人を慰めるときに苦しめた相手を責め立てても、状況は変わらないし、触れられたところで心は晴れるわけでもない。

苦しいことばかりではなく楽しいこともあると知ることで人は困難に立ち向かえ、頑張れるのだ。

清少納言が『枕草子』を書こうと思った背景を知り、辛いことが起きたとき、ネガティブなことばかりに目を向けず、楽しかったこと、自然の美しさに目を向けようと思えるようになった。

まとめ

ここまで読んで『枕草子』や清少納言へのイメージが変わった人もいるのではないだろうか。

貴族社会の中にいながらも現代と同じように苦悩は絶えなかったことを知り驚いた。

そんな中でも辛いことにとらわれず、明るく前向きに生きていく清少納言の生き方は1000年の時を越えて、いま悩みを抱えている人たちに勇気を与えてくれるだろう。

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