『ドS刑事 風が吹けば桶屋が儲かる殺人事件』あらすじと感想【イケメン刑事の災難とサディスティック・ラブ?】

『ドS刑事 風が吹けば桶屋が儲かる殺人事件』あらすじと感想【イケメン刑事の災難とサディスティック・ラブ?】

高圧的な女性はお好きだろうか?

もしも、お好きな方がいたら背筋がゾクゾクする様なスリルを。

逆にそうではない方にも本書を読み、出来たら好きになっていただきたい。

本書は人間の猟奇的な一面と強い執念が物語の根幹を貫いている。

人が誰しも持っている光と陰の部分。

その陰に焦点を当てているミステリー小説だ。

こんな人におすすめ!

  • ミステリーが好きな方
  • ホラーテイストが好きな方
  • 高飛車なタイプが好きな方
  • 静岡県の地理に興味のある方

あらすじ・内容紹介

物語の舞台は静岡県の西部にある浜松市。

主人公は「お嬢さん」こと黒井マヤ、相棒に対して辛辣な言葉を浴びせてくるが、長身で色白な美人だ。

彼女は警察庁次長の一人娘で、静岡県警(本部)捜査一課の巡査部長である。

その相棒はあだ名が「代官様」こと代官山脩介(だいかんやま しゅうすけ)。

代官山は浜松中部警察署(所轄)刑事課の巡査、ジョニー・デップには負けるが、所轄内では唯一マシなイケメンだ。

美人刑事とイケメン刑事のコンビと聞くと颯爽とした印象を受けるが、ひと癖もふた癖もある彼女に振り回されてしまい、代官山刑事は二枚目どころか三枚目キャラと化してしまっている。

この2人が上司の思い付きでコンビを組むことになり、連続放火殺人事件の解決に向かっていく。

そして、彼女には刑事という立場だからこそのある変わった趣味があるのだが、それは一体?

『ドS刑事 風が吹けば桶屋が儲かる殺人事件』の感想・特徴(ネタバレなし)

ドS刑事、現る!

黒井マヤは刑事でありながら、殺人現場でふと笑う癖がある。

不謹慎ではあるものの彼女にとっては恍惚なひと時。

加えてややダーティーな芸術が好きな一面もあり、事件の捜査の中で遭遇したとある人形館の人形達に心を奪われてしまう。

そこで人形館の主のバーバラ前園に出逢う。

マヤ「素晴らしいです。この双生児のホルマリン漬けなんて本物みたいです。血の通わなくなった肉や肌の質感なんか陶器だなんて思えないですよぉ。」

2人は意気投合し、相棒の代官山そっちのけで嬉々として、マニアックな話に華を咲かせている。

これだけ好奇心丸出しで話す黒井マヤだが、基本的には相棒である代官山に対して厳しい口調と高圧的な態度が玉に瑕である。

「バッカじゃないの」

しかし、警察庁次長の一人娘である彼女は、親の七光りで驕ることなく刑事という職務を全うしている。

そのサディステックな一面を除いては。

連続放火事件を追え!

「なんだか面白くなってきたわねえ」

「ヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッ……。」

不思議な笑い方をする黒井マヤは、事件現場に向かう車の中で不敵に笑う。

彼女は、鋭い女の勘を働かせて意外な推理力を発揮することがあるという噂が刑事課内で流れている。

一方の代官山は、これまでの経験則や行ってきた捜査を丹念に追っていくタイプでバラバラなパズルが1つになるように解決へと導かれていく。

ここで捜査が進むにつれて、代官山は黒井マヤに対し、とある疑念を抱くが、彼女は一括する。

「殺されるものがいれば殺す者がいる。それが自然の摂理だし、人間のドラマよ。だから世の中面白い。そう思わない?」

黒井マヤの発言は、冗談とも取れないが、ある意味真理をついている。

バタフライ効果と迷コンビ誕生

初めに殺人を起こした人物の悪意が連鎖的に伝播している。

人から人へ他者への恨みや妬みを増幅させながら人を死に至らしめている。

人が人を裁くのは、法であり、ましてや非人道的行為ではない。

正しく、蝶の羽ばたきひとつで世の中の些細なことが巡り巡って誰かの命を奪うことにも繋がる。

それぞれ何でもない様な出来事が重なり、引き金となった悲惨な事件が引き起こされている。

しかし、本当の悪意は別の所で起き、放火事件はその副産物に過ぎない。

「正直、虚しかった。何の達成感も満足もありません。かといって罪悪感があるわけでもない。」

最後に黒井マヤがこの悪意のきっかけを招いた人物を突き止めた出来事は、淋しく悲しいものだった。

しかし、彼女はあっけらかんとして言う。

「あーあ、終わっちゃった。もうちょっと楽しませてほしかったわねー」

事件の真相を解き明かした2人は、晴れてコンビとして結ばれ、ある約束を交わすことになる。

彼女に導かれるままにお目付け役となった代官山は、まるで刑事としての責任感や達成感がないものの推理した出来事を推理していくことを任務と課されてしまう。

そして、黒井マヤは去り際にこんな一言を残して去っていく。

「浜松市民がパアッと派手に殺されるといいわね。そしたらまたコンビが組めるわ。楽しみにしてるわね」

代官山は、期待と不安が残るもののコンビを組むという確信めいた予感があった。

まとめ

改めて読みかえすと、本書にはホラーテイストやオカルトチックな要素が詰まっている。

殺人事件という題材を扱っているからこそ、人間の狂気的な部分にも触れなくてはならない。

また、この話には主に静岡県浜松市内を中心に西部地方の地名が数多く登場している。

なかなか馴染みのない方が多いと思うが、マイナーな土地だからこそ調べてみると興味深く読み進めていけるのではないか。

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