伝説の吸血鬼〈キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレード〉の前身、〈うつくし姫〉が目にした悲劇とは…?
其々のキャラクターの過去と現在を描く、『〈物語〉シリーズ』オフシーズン第2弾!
こんな人におすすめ!
- 『〈物語〉シリーズ』ファーストシーズンを読了済の人
- 『〈物語〉シリーズ』セカンドシーズンを読了済の人
- 『〈物語〉シリーズ』ファイナルシーズンを読了済の人
あらすじ・内容紹介
『あせろらボナペティ』
〈阿良々木暦〉の影に縛られる、吸血鬼の成れの果て、〈忍野忍〉。
彼女の前身、〈怪異の王〉〈鉄血にして熱血にして冷血の吸血鬼〉〈怪異殺し〉の異名を恣にした伝説の吸血鬼〈キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレード〉は、如何にして伝説となったのか。
キスショットの吸血鬼以前、美しすぎる〈アセロラ姫〉が直面した悪夢のような現実とは。
彼女の吸血鬼としてのルーツが、今明かされる…。
『かれんオウガ』
正義を標榜するファイヤーシスターズの実践担当、〈阿良々木火憐〉。
高校生になり、ファイヤーシスターズも解散した後も空手に勤しむ彼女は、遂に師匠から免許皆伝を言い渡される。
その最後の条件として、〈鬼会山〉の奥底にある〈逢我滝〉に打たれ、己自身と向き合うように言われた彼女は、単身〈鬼会山〉へと乗り込んでいく。
数々の危険が満ちたその山で、阿良々木火憐が出会ったのは…?
『つばさスリーピング』
阿良々木暦の窮地を救うため、専門家〈忍野メメ(おしの〜)〉を探す旅に出た〈羽川翼〉。
〈怪異の専門家がドイツに発った〉という曖昧な情報からドイツに向かった彼女を待っていたのは、かつて阿良々木暦と激しい戦いを繰り広げた専門家、〈ドラマツルギー〉だった。
忍野メメの情報を得るため、ドラマツルギーに協力を申し入れた羽川翼の前に立ち塞がるのは…?
『〈物語〉シリーズ』外伝、オフシーズン第2弾!
『業物語』の感想・特徴(ネタバレなし)
明かされる〈キスショット〉の人間時代
かかっ
今作の第1章『あせろらボナペティ』では、〈阿良々木暦〉の影に縛られた吸血鬼の成れの果て〈忍野忍〉の前身、鉄血にして熱血にして冷血の吸血鬼〈キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレード〉の、更にその前身である〈アセロラ姫〉が登場する。
〈うつくし姫〉とも呼ばれた彼女の悩みは、その外見の美しさ故に、誰も自身の内面を見てくれないこと。
そんな彼女に、〈魔女のお婆さん〉がとある魔法を掛けたことから、悲劇が始まる。
アセロラ姫は、その内面の美しさすらも際立っていた為に、誰も美しさと自らの醜さの差異に耐えられず、自ら身を滅ぼしていく。
多くの悲劇の果て、数々の死体を前にした彼女の前に現れるのは、決死にして必死にして万死の吸血鬼〈デストピア・ヴィルトゥオーゾ・スーサイドマスター〉。
美しさで人を殺める姫と、数多くの伝説を持つ吸血鬼の出会いは、果たしてどの様な結末を迎えるのか。
読み終えた後、〈忍野忍〉というキャラクターの言動への見方が変わる1作だ。
〈阿良々木火憐〉と〈忍野忍〉の会話劇
…つまり、ベストコンディションだ
第2章『かれんオウガ』では、阿良々木暦の上の妹である〈阿良々木火憐〉と忍野忍という、これまでになかった組み合わせの会話劇が描かれる。
免許皆伝の為に登った〈鬼会山〉で、数々のピンチに襲われる阿良々木火憐の前に現れる、忍野忍。
超武道派で直情型の阿良々木火憐と、シリーズ最強格の伝説の吸血鬼、の成れの果てである忍野忍がどの様な会話劇を繰り広げるのかは、これまでシリーズを追ってきた読者にも気になるところだろう。
気になる組み合わせを、上手く出逢わせ会話劇を描くという、痒いところに手が届く1作だ。
〈ドラマツルギー〉の再登場
第3章『つばさスリーピング』は、専門家〈忍野メメ〉を探して世界を旅する〈羽川翼〉が遭遇した、吸血鬼騒動を描いた作品。
前述の2作とは時系列が異なっており、『恋物語』〜『終物語(下)』で起こった〈忍野扇(おしの おうぎ)〉との戦いの、その裏側で起こった出来事が語られる。
見所は何と言っても、『傷物語』で阿良々木暦と激しい戦いを繰り広げたヴァンパイアハンター、〈ドラマツルギー〉の再登場であろう。
専門家として吸血鬼退治の任務に当たるドラマツルギーと、規格外の頭脳を持った委員長・羽川翼は、共に『傷物語』中でストーリーに大きな影響を及ぼした人物だ。
そんな2人が、其々の思惑と共通の目的を持って吸血鬼事件の捜査を進める様子は、かなりの頼もしさを感じさせる。
『傷物語』では描かれなかったこのコンビの会話劇も、ファンにとって必見のものと言えるだろう。
まとめ
『〈物語〉シリーズ』オフシーズンの、第2作目となる今作。
これまで秘されてきた〈キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレード〉のルーツという、重要な要素が明かされるほか、〈阿良々木火憐×忍野忍〉や、〈羽川翼×ドラマツルギー〉といった、これまで有りそうで無かった会話劇が描かれるなど、シリーズを追ってきたファンには必読の1冊となっている。
シリーズやキャラクターに思い入れが深いほど、楽しめる作品と言えるだろう。
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