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『マチネの終わりに』あらすじと感想【人の愚かさや醜さこそが、美しさだ】

『マチネの終わりに』書影画像

誰だって、きれいで安全なものに囲まれていたいだろう。

平和・美しさ・友愛・・・そんな言葉が大好きな人たちが多いが、私は反吐が出そうになってしまう。

人間って、そんなきれいなものだけでできているわけがないじゃないか。

誰にだって、愚かで醜くて、みっともない面があって当たり前だし、むしろそんな部分にこそ愛おしさを感じるのだ。

この物語は、恋愛小説ではあるが人生の重厚さとしてきれいなものだけではない様々なものを織り込んだ話だ。

いったいどんな重厚さがあるのか見ていこうではないか。

こんな人におすすめ!

  • 音楽が好き
  • 不惑を迎えるのが怖い
  • 大人の恋愛小説が好き
  • 人生についてよく考えている

あらすじ・内容紹介

デビュー20周年を迎える天才クラシックギタリストの蒔野聡史(まきの さとし)は、その記念コンサートを大成功させるが、出来に納得がいかなかった。

その夜の打ち上げで、聡史はフランスのRFP通信の記者である40歳の小峰洋子(こみね ようこ)と出会う。

不惑という四十代の“人生の暗い森”を前に出会った二人。

洋子が、聡史の大好きな映画『幸福の硬貨』の監督であるイェルコ・ソリッチの娘だとわかり、惹かれていくがこの夜は何もなく終わる。

その後、聡史は不調を感じつつも音楽活動を続けており、洋子も取材のため治安が最悪の状況であるイラクに滞在していた。

連絡を取り続けていたふたりだが、聡史はマネージャーの早苗と、洋子はリチャードと結婚。

切なすぎる恋の行方を軸に、芸術と生活、父と娘、グローバリズム、生と死などのテーマが重層的に描かれる。

いつまでも作品世界に浸っていたいと思わずにはいられない恋愛小説は、まるでコンサートで最後の一音が消えていくあの余韻のようだ。

『マチネの終わりに』の感想・特徴(ネタバレなし)

初対面なのに話が尽きない相手と出会える幸せ

聡史はデビュー20周年の記念コンサートを成功させた後、なかなか楽屋から出てこられなかった。

40分ほどして、やっと出てきた時には面会希望者の大半は帰っているというありさま。

そんな中で出会ったのが洋子だ。

しかも洋子は、聡史の好きな映画『幸福の硬貨』の監督であるイェルコ・ソリッチの娘だという。

惹かれていくのに時間は必要なかったのだ。

しかし洋子には婚約者がいるという・・・。

会場を出る時間が迫っていたが、二人の会話は尽きる気配がなかった。

それは最初だからというのではなく、最初から尽きない性質のものであるかのようだった。

その後、場を移して打ち上げの場に行った二人は、他の人もいたがお開きになるまで熱心に話をする。

なんだろう、初対面なのに話が尽きない相手と出会える幸せ。

そして、その相手と分かり合える嬉しさと高揚感。

なかなかそんな相手とは出会えないだけに、羨ましい気持ちになる。

これが、初対面で「この人だ」と直感する感覚なのか。

人生において、そんな相手に出会える機会はそう多くないもの。

とても印象深い出会いだと思った。

再会とすれ違い

その後も、メールやスカイプを通じて連絡を取り合っていた二人。

洋子は聡史に一ファン以上の想いを持っていることに気づき、また聡史も洋子に相変わらず惹かれている。

距離と状況が二人の関係の進展を阻んでいる、と言えばそれまでかもしれない。

けれど、そんな簡単な言葉で片付けられない二人の関係の含蓄・・・いろいろなものが折り重なって深みを出すようななにかがあるのだ。

そして、読んでいるうちにその深みに引き寄せられている私がいる。

世界に意味が満ちるためには、事物がただ、自分のためだけに存在するのでは不十分なのだと、蒔野は知った。

彼とてこの歳に至るまで、それなりの数の愛は経験してはいたものの、そんな思いを抱いたことは一度もなかった。

洋子との関係は、一つの発見だった

そう深く思えるような相手と出会えた聡史は幸せだと思うが、ちょうどこの時期、彼はスランプに陥っていた。

もちろん、スランプは洋子と出会う前からのものだから彼女は関係ない。

しかし、そうは考えないものもいるのだ。

聡史のマネージャーである三谷早苗(みたに さなえ)は、スランプの原因に洋子が関係あると考えており、同時に聡史への想いも抱えている。

聡史と洋子は休暇を合わせ、洋子の母親が住む長崎に挨拶に行く計画を立てるが、ここで予想外の出来事が起きたこと、早苗が聡史に成りすましてメールを送ったことからすれ違ってしまうのだ。

2011年、二人の関係が動く

そのあと、聡史は早苗と、洋子はリチャードと結婚するが決して幸せだとは言いがたい状態だった。

早苗は聡史に、かつての一件を告白したが後の祭り。

やっとスランプから抜け出して再び輝きだした聡史にとっては、早苗の告白はどう聞こえたのだろうか。

聡史も、洋子も人知れず葛藤し、悩んで過ごしてきた日々。

早苗のしたことは軽蔑していたが、彼女本人を恨むというよりは、人生そのものに対する虚無感のほうが強かった。

ジャーナリストとしては、もっと理不尽で、もっと過酷な困難を生きる人々を、これまで散々取材してきた。

二人の関係が動くのは2011年、東日本大震災があった年だった。

ニューヨークでリサイタルが決まり、ちょうどニューヨークに住んでいた洋子が聡史のリサイタルを聴きに行く。

アンコールで、聡史はこのリサイタルの後、セントラルパークの池のあたりでも散歩するとコメント。

「それからこのマチネ(昼公演)の最後に、特別な演奏をみなさんのためにする」と言う。

まるで、『for you』が『みなさんのために』ではなく、『洋子のために』と訂正するように。

そして、聡史が演奏したのはあの有名映画のテーマ曲『幸福の硬貨』。

リサイタル後に池のほとりで会った二人。

本当に時間がかかったけれど、この先を期待させるような展開に、二人の過ごしてきた時間の重さが深みを添えているかのようだ。

まとめ

好きになった人と相思相愛で結婚できれば、一番幸せだろう。

けれど、そうはいかない現実も確かにある。

知り合い、連絡を取り合い、すれ違った後にまた再会する・・・と書けば簡単かもしれない。

しかし、その間に含まれる重厚でいつまでも消えない余韻のような関係は読んだ人にしかわからない。

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