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『進撃の巨人』最終回までネタバレあらすじ解説、伏線考察も【エレンやミカサたちの勇姿を見届けよう!】

目次

最終回単行本(34巻)で加筆された6箇所のまとめと考察【悲劇は繰り返されるのか?】

以上が、本誌『別冊少年マガジン2021年5月号』で掲載された最終回の内容であるが、単行本『進撃の巨人34巻』で掲載された内容は一部異なる。セリフや絵が修正され、新たな8ページが追加されているのだ。

本誌の最終回は美しく爽やかな印象で終わったが、単行本ではある種の不気味さを残して幕を閉じた。

いずれかを読まれた読者の方も、ぜひもう片方を読んで比べてみることをおすすめする。

ここでは、本誌から単行本に向けて加筆・修正された内容を整理した。

※電子書籍サービス「コミックシーモア」 に移動します。

「進撃の巨人」状態のエレンの髪が伸びている

第138話において、アルミンによる「超大型巨人」の爆破でやられたかに思えた「進撃の巨人」だが、煙幕の中から再び姿を現したエレン。

本誌では髪が少し長い程度だったが、単行本では「超ロングヘア」と言ってもよいほど伸びており、容貌の不気味さが増している。

アルミン「この過ち」から「君の最悪な過ち」へ発言を訂正

最終話第139話において、エレンは「道」の中で、なぜ「地ならし」を発動し世界人口の8割を虐殺するに至ったかについてアルミンに説明した。

自らの母でさえも「始祖の巨人」の力を通じて殺害した衝撃のエピソードを聞き、アルミンは親友のエレンにあえて感謝の気持ちを伝える。

殺戮者になってくれてありがとう

そしてその後、本誌では次のように述べていた。

この過ちは絶対無駄にしないと誓う

これに対し、単行本では次のように修正される。

君の最悪の過ちは無駄にしないと誓う

おそらく「君の」と名指しすることで、この殺戮は天災のような受動的なものではなく、少しでもエレン自身の意志で実行されたものであることを印象づけたかったのではないだろうか。

そして、「最悪の」と強調することで、この行為はどのような事情があろうと「悪」であり、「正義」の裏で何万もの人々の命や記憶、つつましくも温かい生活や未来が失われたのだという事実を、友人としてエレンに言い聞かせたかったのだと思う。

エレンの巨人を消失させた努力を友人として称え労い、同時に多くの人や動物らの生命を損なった罪も認識させた。

公正さを重視する、実にアルミンらしい言葉と言えるだろう。

「始祖ユミル」にミカサが話しかけるシーンで頭痛の原因が判明

エレンを殺めたあと、ミカサは目の前に現れた「始祖ユミル」に対し次のように声をかけた。

あなただったのね… ずっと私の頭の中を覗いていたのは…

これにより、折に触れて発生していたミカサの頭痛は「始祖ユミル」によるものだったと確定する。

それは、おそらく彼女の「好奇心」がもたらしたものだろうと筆者は考えている。

ユミルは気になっていたのだ、いずれ自分の「愛の呪い」を晴らすことになるであろう女性の感情や記憶、思想を。

「愛というしがらみを超えて自由を選ぶあなたという人は、一体どのような人間なの?」と。

ミカサは「奪われた命は帰ってこない」とユミルを責めつつも

あなたに生み出された命があるから私がいる

と、救済の言葉も投げかける。

ここで、ユミルがフリッツ王を襲う弓から庇わなかった「if世界」の描写がある。

これはきっと「愛の呪いから逃れられていたであろう自分」を想像できるようになった、ユミル自身の変化を表現したものと考えるのが妥当だろう。

ミカサとジャンが結婚し夫婦に?それでもエレンへの愛は永遠に

本誌では、エレンと思しき一羽の鳥に、ほどけかけたマフラーを直してもらったミカサが、

エレン…マフラーを巻いてくれてありがとう…

と感謝するシーンで終わったが、その後にセリフの一切無い4ページが加筆されたことで、本誌以上に衝撃的な終わりを迎えることになる。

エレンの墓にバラを手向けるミカサと男性に赤子の姿。男性の襟足から見るにおそらくジャンであることから、ミカサとジャンは結婚して子を授かったと考えることもできる。

…思い出したぞ… …律儀なクソ馬鹿野郎め

という巨人消失時のジャンのセリフから、エレンが「道」の中でジャンにミカサを託した可能性もある。

ちなみに、バラの花言葉は「あなたしかいない」。

歳を重ね老いたミカサが、大きくなった子どもや孫たちと墓に花を手向けたり、その後マフラーを巻いたまま棺に入る姿から、エレンへの愛は決して忘れなかった事実が伝わってくる。

繰り返される戦いの歴史

ミカサが長寿を全うした後、現代のようにも見える高層ビルが立ち並んだ「新生エルディア帝国」は、数多の航空機による爆撃に襲われていた。

エレンが大量の命を損なうことで残した「巨人のいない世界」では、アルミンら連合国大使やヒストリア女王の努力により、しばらく平和に続いたはずだ。

しかし、「当事者世代」である彼らが亡くなったあとで、人類は再び「人と人との戦い」という過ちを犯すことになってしまったようである。

「巨人が世界を脅かす時代」が再び訪れる予兆

戦後エルディアの文明は崩壊したが、エレンの亡骸が眠る丘の上の木だけは奇跡のように残り続けた。

長い時間をかけて成長し天まで届くかとも思われたその大木を、1匹の犬を連れた少年が発見する。

大樹の根はエレンの墓標部分で二股に分かれ、そこに大きな穴が空いている。まるで「始祖ユミル」が巨人化することになった「あの木」のように。

巨人は復活してしまうのだろうか?

調査兵団らが心臓を賭して手に入れた「巨人のいない世界」は、終わりを告げてしまうのだろうか?

悲しい歴史は繰り返されるのか?

私たちがいる現実世界においても看過できないメッセージを投げかけるようにして、物語は終わっている。

進撃の巨人強さランキングサムネイル『進撃の巨人』強さランキング巨人TOP9と人間TOP23!最強のキャラクターは誰だ?

最終回で回収された大きな伏線6つを考察!

ここでは全編を通して張られ、ついに最終回で回収された重要な伏線について考察する。

『進撃の巨人』のこれまでのストーリーを振り返りたい方はこちらから。

『進撃の巨人』最終回まで(1~138話)までのネタバレあらすじ解説【巨人を駆逐するまでの道のり】

エレンの「巨人を一匹残らず駆逐する」という目的が完遂

幼少期、目の前で母親を巨人に食い殺されたことにより、巨人への復讐を誓ったエレン。

「すべての巨人を一匹残らず駆逐する」という言葉は、怒りに任せて放っただけでなく、巨人の存在しない世界を作り上げることで、仲間たちを含めて世界を平和に導くという目的の伏線であった。

この伏線は、ミカサの選択が巨人の消失をもたらしたことにより回収される。

ミカサの頭痛は「始祖ユミル」によるもの

ミカサの頭痛の原因は「始祖ユミル」がミカサの頭の中を覗いていたことであると、単行本最終回で明らかになった。

「始祖ユミル」は、愛を超えて人々を救う決断をすることになる1人の女性に救いを求めていたのかもしれない。

人類を救うのはアルミン

「ウォール・マリア」奪還作戦時、瀕死のアルミンとエルヴィンのどちらに巨人化用注射を打って生き返らせるかという火急の難題が持ち上がった。

その際、エレンはリヴァイに向かって次のように叫んでいた。

人類を救うのはオレでも団長でもない!アルミンだ!

当初は親友を助けたい一心と、それまでのアルミンの功績を根拠としたセリフという印象だった。

しかし最終回で、アルミンがエルディア国と世界の国々をつなげる和平大使として、復讐に怯えるエルディア国の解放を目指すことから、「人類を救うのがアルミン」というエレンの発言は現実のものとなった。

ベルトルトを助け、エレンの母を死なせたのはエレン自身

『進撃の巨人』は第1話で、壁が破壊されエレンの母が巨人に食われるという衝撃のスタートを切った。

しかし、エレンの「道」の中での告白から、母の命を奪った犯人はエレン自身であったことがわかる。

「超大型巨人」から人間に戻った直後のベルトルトを襲おうとした巨人(ダイナ)を、ベルトルトでなくエレンの母カルラに向かわせたのは、エレンが持つ「始祖の巨人」の力によるものだったのだ!

これにより、エレンは巨人に復讐心を持ち数々の果敢な行動を起こすことで、今の「未来」を作った。

また、ベルトルトの死を防ぐことで、アルミンが「超大型巨人」を保有し「地ならし」を起こすエレンを倒す未来なども守った。

ライナーのヒストリアへの想いは本気

マーレの戦士とエルディアの兵士という全く異なる境遇に苦しみ、訓練兵時代には精神が乖離していたライナー。

彼の謎めいた発言や理解しがたい行動の中にはヒストリアへの恋慕の想いも含まれていた。

しかし、最終回で正気を取り戻しているはずのライナーが、ヒストリアの手紙を読むだけで興奮していることから、ライナーの想いは本物であったということが判明する。

こういった異常性もライナーの魅力の1つだ。

ミカサ「いってらっしゃい…エレン」

現実世界においてミカサがエレンの首をはねる直前のタイミングで発せられた言葉。

漫画における第1話、幼少期のエレンが夢で見た光景はこの時のものであったことが明らかになる。

「いってらっしゃい…エレン」は、これから死後の世界に旅立つミカサからエレンに向けた餞別の言葉だったのだ。

それほどまでに悲しく、愛に溢れた言葉だと想像していた読者はほぼいなかったのではないだろうか。

幼きエレンが見たのは、「始祖の巨人」の力で「道」を通じて見えたものではないかと予想できる。

夢の中のミカサが子どもの時のロングヘアーと異なり髪が短いのも、時空を超えているとなれば腑に落ちる。

ちなみに、このセリフはアニメでは割愛されているが、英語などに適切な表現がないことが理由であると筆者が考えている。

※138話の段階で回収済み

『進撃の巨人』のメッセージを考察。エレンはなぜ最悪の過ちを犯したのか?

1人の少年が史上最悪のテロリストに!必要なのは「想像力」と「ためらい」

『進撃の巨人』という物語が始まった当初、誰もが「人間が巨人を倒す壮大なバトル漫画」という目線で見ていた。しかし、蓋を開けてみれば、巨人は人間が作り出しており「人間対人間」の構図となる。最後は巨人を駆逐して物語は終わるが、「巨人」という存在そのものが人類の悲劇が産み落とした呪いととらえることができる以上、やはり「人間同士の戦い」あるいは「戦ってしまう人間という存在への自己反省的挑戦」と考えることができる。

純粋なバトル漫画の様相を呈していたとき、エレンは1人の少年であり、わかりやすい主人公だった。純粋で、チャレンジングで、弱いながらも仲間と協力して「悪しき巨人」と戦っていた。しかし、「敵は世界」であることがわかり、倒すべきは壁外人類となる。そして、いつからかエレン自身が過去の自分やグリシャなど様々な歴史の構成要素を操り、「地ならしで世界を滅ぼす未来」を作り上げるテロリスト(悪魔の子)になった。「単純な勧善懲悪」という読者のフレームワークは盛大に裏切られ、「正義は立場を変えれば悪」という現実世界に近い物語舞台が形成された。

では、応援すべき主人公の少年エレンがなぜ史上最悪のテロリストになってしまったのか。それは人々の「想像力の欠如」とそれによる「ためらいの欠如」が原因だ。全世界が「パラディ島の悪魔」という純然たる悪を作り出し、世界の不都合をその一点に押しつけることにより、パラディ島の中の最もカリスマ性があり反骨心を持つ者(エレン・イェーガー)が、加えられ続けた憎しみの反作用として復讐するに至ったのだ。

しかし、もしガビやファルコが気づいたように、「悪魔などいない。そこには私たちと同じ人間がいるだけ」と全世界の2割ぐらいの人でも思っていれば、ここまでの憎悪を生み出すことはなかったように思う。人々が抱える政治的、歴史的、あるいは個人的な問題まで1つの対象に集中させれば、いつか無理を来すに決まっている。たとえば、現実の私たちが住む世界で「あの国がすべての諸悪の根源なのだ」と決めつけたまま時が進めば何が起こるか想像してみよう。その国は長い間人々の憎しみの掃き溜めであり続けなければならず、簡単に倒れてしまってはならないため、抑止力として核兵器を持っている可能性が高い。そして世界中の悪を押しつけられ、少しずつ政治的、軍事的、経済的に過度なストレスを加え続けられる。そうなったらいずれ抑止力を最悪な形で行使しないとは限らない。あるいは特定の民族を悪と決めつけた場合、核でなくとも何らかのテロリズムが現実に遂行されることは、今の私たちなら想像に難くない。

この世界に「純然たる悪魔」などおらず、彼ら彼女らも「同じ形同じ体温を持つ人間」と想像し、正義を無反省に遂行することに何らかの「ためらい」があれば、問題はわかりやすく解決することはなくとも、最悪の悲劇を防止することはできる。想像せよ。ためらえ。

退屈だったエレンは戦争が起きて「幸せ」だった?かけっこ好きのアルミンと比較

エレンというテロリストが生まれた原因について外的要因から考察したが、今度はエレンの内面からなぜ「地ならし」をするに至ったかを考えたい。もちろん、2000年前からユミルによって待ち望まれた存在であり、彼女に操作されたからという「神あり」での説明が有効だが、「神なし」で考えてみてもエレンは同じような行動を起こしたのではないかと想像できる理由がある。

それは、「退屈との向き合い方」で説明できる。エレンは壁の向こう側でライナーやベルトルト、アニたちが人権を取り戻すため「戦士」になって必死に訓練をしていたとき、空を見上げながら「何か起こんねえかなあ」と退屈そうにつぶやいていた(スピンオフストーリー『進撃のスクールカースト』でも、普通の高校生エレンは最も覇気のない人物として描かれる)。彼はミカサを救うために殺人を行い、調査兵団に憧れを抱いてはいたが、基本的には「何か面白えこと起こんねえかなあ」と嘆く若者なのだ。

では、彼が変わったのはいつからか。母が巨人に食われ、「巨人を一匹残らず駆逐する」という生涯を通じた使命を得たときである。最終回でエレン自身が母を食わせるよう巨人を操った事実が明らかになったが、これはエレンが退屈な日常を終わらせる最良の方法をとったとも捉えられる。母が殺されれば、巨人を憎み闘いに身を投じ続ける生き様を強いられ、退屈などしている暇が無くなるからである。「巨人を駆逐する」という目標を得て、まずは自分自身の退屈を駆逐したのだ。エレンもまた、自身をテロリズムに走らせる原因となった「1つの敵をつくることで悩みを解決する」というスタイルをとっていたのである。

この「退屈の紛らわし方」がなぜ過ちを犯す内面的要因となるのか。それはアルミンとの比較によって浮き彫りになる。アルミンは「道」でジークと命についての議論を交わしたとき、「生きる目的は”増える”ことに過ぎない」という悲観的なジークの主張に対し、次のように話していた。

僕たちは、ここで三人でかけっこをするために生まれてきたんじゃないか、って……(中略)これは増えるために必要でもなんでもないけど、すごく大切なものなんですよ

エレンとミカサと3人で丘でかけっこするという何でもない瞬間に「生の意味」を見出したアルミン。他にも、雨の日の読書をしているときや森でリスに餌をあげるときなどの例に出し、「人間の生きる意味はそういう何でもない瞬間にこそあるのだ」という考えを伝える。アルミンは決して「使命を果たすために生きているのだ」と思っていなかったのだ。

彼は彼で100年間壁に囲まれた狭い世界で退屈だったはずなのだ。その中でアルミンは2つの方法で退屈を癒やした。

①外の世界への夢を見ること(炎の水、氷の大地、砂の雪原)
②日常の些細な出来事に感動を覚え、楽しむこと(アルミンならかけっこ、ジークならキャッチボール)

①は憎しみを媒介しないポジティブな使命であり、②はすでにある「美しいもの」への認識である。エレンは憎しみを媒介としたネガティブな①を持ち、②に目を向けることはなかった。使命にとらわれすぎて、アルミンと共に夢見たはずの「炎の水、氷の大地、砂の雪原」への希望を壁外世界が明らかになる以前ですでに忘れていた節もあった。

しかし、エレンはある意味「幸せ」だったのだろう。自分の退屈を「悲劇」とそれへの挑戦で紛らわすことができたからだ。悲劇の極地として「地ならし」を実行し、「これが自由だ」と感じたときの少年エレンの虚ろな表情は、彼の壮大な「暇つぶし」が終息に向かおうとしていることを予感させたものとも読み取れる。

「幸せ」の形は、人それぞれの退屈のしのぎ方にかかっている。悲劇を生み出さないためには、エレンのようにネガティブな感情による使命のみで退屈を癒そうとしないことだ。アルミンのように日常の些細な喜びを感じ取ることも大切にし、あるいはミカサのように愛する人との時間や思い出を慈しむことにも命を注ぐべきだ。

運命を変える方法は2つ。「自分の物語」を受け入れること、他者との関係で救済されること

ここまで「テロリストとしてのエレン」について掘り下げてきたが、筆者のスタンスとしてはエレンが「最悪の過ち」を犯してしまったことには、ある種「しょうがない理由があった」ということで想像力を働かせてみたものだ。外的要因としては2000年前からユミルに待ち望まれていたことに加え、世界中の人々からためらいのない憎悪を向けられていたこと、内的要因としては退屈を紛らわすために「憎しみを媒介とする使命」を求めてしまったことである。

だが、エレンはやはりこの物語の主人公である。なぜなら彼が『進撃の巨人』の世界で最も運命を「自分の物語」として深く受け入れていた人物だからだ。私たちは自分の人生で辛いことがあった時、感覚を麻痺させ、人生をその境遇や支配者に売り渡してしまう選択をとりがちである。しかし、エレンは不屈の意志で戦い、「自由」の旗を掲げて進み続けた。その姿勢に学ぶところは多く、彼の戦いに鼓舞された読者も大勢いることだろう。まずは今起きていることを「自分の物語」であると受け入れなければ、運命は変えられないのだ。

一方、もう1つ運命が大きく変わった瞬間といえば、やはりミカサがエレンの首を切り落として巨人が消滅し、アルミンがエレンの思いを引き継いで世界に平和をもたらしたときだろう(もちろんそこにはジャン、ミカサ、コニー、サシャ、ヒストリア、リヴァイ、ハンジ、エルヴィン、ライナー、ベルトルト、アニ、ピーク、ガビ、ファルコなど多くの人物が関わっている)。エレンが1人で戦うだけでは巨人がはびこり続ける運命を変えられず、仲間たちとの協力によって目的を達成したという点で、『進撃の巨人』はやはり一周回って「王道の少年漫画」とも言える。

「これは自分の物語だ」と自分の人生に責任を負うことと同じぐらい重要なのは、他者との関わりだ。それは頼ることであり、ためらいを零すことであり、鼓舞することであり、笑ったり泣きあったりすることである。その先に、自分の人生に風穴を開ける化学反応が起こり、世界すら変えてしまうことがありうるのである。エレンたちは運命の変え方を私たちに教えてくれた。

最終回までの死亡/生存者リスト【ネタバレ注意!】

ここでは、『進撃の巨人』最終回における主なキャラクターの生死状況について表にまとめた。

どのような理由で死んでしまったのか、生きているキャラクターに関してはその後どのような人生を送ったのかを簡単に記載した。

104期生(エルディア陣営)

人物 生死 死因/その後
エレン 死亡
34巻138話
地ならしを止めるためミカサに首を切られる
アルミン 生存 連合国平和大使リーダーとして世界平和に寄与。アニと結ばれる?
ミカサ 生存 エレンの首を丘に埋葬後、生涯エレンを愛し続けた
ジャン 生存 連合国平和大使として活躍。ミカサを傍で支えていた?
コニー 生存 連合国平和大使として活躍。巨人から戻った母と再会
クリスタ(ヒストリア) 生存 エルディア国女王として内政、外交のトップを担う。一児の母
サシャ 死亡
26巻105話
マーレ襲撃の帰り、飛行船に乗り込んできたガビの凶弾に倒れる
マルコ 死亡
4巻18話
ライナー、ベルトルトの会話を盗み聞きしてしまい殺される
ユミル 死亡
23巻93話
エレン奪還に失敗したライナーとベルトルトを救出後、顎の巨人継承のため犠牲に
マルロ 死亡 ウォール・マリア奪還作戦で獣の巨人の投石を受ける
フロック 死亡 調査兵団らの出航を妨害する際ガビに射撃される

調査兵団

人物 生死 死因/その後
リヴァイ 生存 片脚を失いガビ、ファルコ、オニャンコポンらと共にどこかの国で民間人として暮らす
ハンジ 死亡
33巻132話
飛行艇の出発の時間稼ぎのため地ならし巨人に対抗するも焼死
エルヴィン 死亡
21巻84話
ウォール・マリア奪還作戦で獣の巨人の投石を受け瀕死。唯一の巨人化注射がアルミンに撃たれ永眠
ハンネス 死亡 エレンの母を食べた巨人と戦闘の末敗北
キース 死亡 調査兵団らの出航時にイェーガー派の追手阻止のためマガトと共に船に乗り込み爆破
ペトラ 死亡 女型の巨人討伐に敗れる

マーレ陣営

人物 生死 死因/その後
ガビ 生存 どこかの国の市民として暮らす。ファルコと結ばれた?
ファルコ 生存 どこかの国の市民として暮らす。ガビと結ばれた?
アニ 生存 連合国平和大使として活躍。アルミンと結ばれた?
ベルトルト 死亡
21巻84話
ウォール・マリア奪還作戦にてアルミンの奇策にハマりエレンに討伐され、巨人化したアルミンにより捕食
ジーク 死亡
34巻137話
生きる意味と犯した過ちを悟り自らリヴァイに殺される
ライナー 生存 連合国平和大使として活躍。ヒストリアとは結ばれず
ポルコ 死亡 地ならし直前ジークの投石で重傷を負い、巨人化したファルコを助けるため自ら捕食される
ピーク 生存 連合国平和大使として活躍
マルセル 死亡 始祖奪還計画のエルディアへの道中、不意に現れた巨人化ユミルからライナーを守った身代わりとして捕食される

その他

人物 生死 死因/その後
ケニー 死亡 ロッド・レイス巨人化による地下空間の崩落に巻き込まれ瀕死。リヴァイに血縁の真実を話し力尽きる
ニック 死亡 中央第一憲兵のサネスにより王家の血筋に関する口封じのため拷問を受ける
ピクシス 死亡 ワインに混ぜられたジークの脊髄液を飲み巨人化
イェレナ 生存? その後の消息は不明。「英雄」にはなれず。
オニャンコポン 生存 どこかの国の市民として暮らす。ガビ、ファルコ、リヴァイらと共に行動。
ロッド・レイス 死亡 エルヴィンの口内爆破作戦により外に弾き飛ばされ娘ヒストリアにより討伐される
グリシャ・
イェーガー
死亡 始祖の巨人を託すため、息子エレンに巨人化の注射を打ち捕食される
カルラ・
イェーガー
死亡 ウォール・マリア陥落時、巨人化したダイナに捕食される

最終回を読んだ世間の反応は?

Twitterでは多くの進撃ファンが発売前日から考察や、ネタバレを禁止する設定などで盛り上がっていた!

発売初日には0時を過ぎ、最速で最終回を読んだ読者から大満足というツイートも多く、数多くの伏線・二転三転する物語を楽しんでいた進撃ファンを唸らせる最終話であったことに間違いはないだろう!

切り抜きで本編の考察を行うファンも多く、最終話を迎えた後でも『進撃の巨人』の熱はしばらくは冷める様子はなさそうだ!

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11 Comments

はじめ

ユミルが選んだのはミカサではなくエレン。
ユミルがフリッツ王が襲われたときに身を呈して救った姿はミカサそのものだった。
ジークや過去の王家の始祖継承者はユミルを思考のない奴隷としか見ていなかったがエレンだけは「人」として見てくれた。だからユミルはジークではなくエレンを選んだ。
そして自分と同じように命をかけて愛する人を守るミカサが、世界のために愛するエレンを殺すという決断をしたことが、カールフリッツとの決別を決断させた。ということだと思います。合ってる?

返信する
ひかる

合っていると思います!ユミルは「愛から自由になったミカサ」を目の前で見ることができたので踏ん切りがついたのだと思います。巨人も道も、ユミルの未練が生み出した壮大な呪いだったとも考えられます。

返信する
匿名

ネタバレありがとうございます。
自己犠牲によって世界に平和をもたらすのは、まどマギに通じるものがあるかもですね。
昔からあまり読む気にはなれず、ただストーリーは良いストーリーは良いと周囲が言っていたために、ちょくちょくネタバレを見てはいました。
あくまで個人的にではありますが、救いの無いストーリーで救いの無い結末になったなと思っています。
どこかで主人公が報われるようなハッピーな展開があると期待していたのですが……ネタバレだけ見ていてよかったー。

返信する
匿名

主人公が救われるとしたら、ミカサが天寿を全うした事ではないでしょうか?
ミカサの子供か、養子の可能性かなりあるけど。決して孤独ではないので、ミカサの幸せをエレンは、1番願った事だと思うんです。

返信する
ひかる

コメントありがとうございます。
ミカサが末永く生き、エレンを愛し続けたことに救いはあると僕も思います。
エレンの「自由になりたい」が原初的欲求だとすれば、「仲間や愛するミカサを救いたい」という気持ちは後天的な環境で得られた大切な願いで、いずれも本音なので。
子供は養子の可能性もありますね。ミカサなら処女を貫いても不思議ではないです。

返信する
匿名

エレンの目的は巨人をこの世から一匹残らず駆逐する事だから、その目的は遂行できているから救われていると思いますよ。

返信する
ひかる

目的は遂行されたため、その点では救われたと思います。ただ、使命を成し遂げることと、個人的な魂の救済はイコールでは結ばれません。
そのため、「駆逐に成功したから救われた」というよりは、「進み続けた先でミカサに愛を持って介錯され、未来が確定している不自由から自由になれたことで救済された」と、僕は考えています。

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匿名

考察を面白く拝見させていただきました。寄生虫の存在の解釈ですが、全ての巨人化能力は、寄生虫が担っており、ユミルが宿主だったということ。ミカサの選択で、フリッツ王への思いが消えた時に、寄生虫はユミルを宿主にできなくなり、すべての巨人化の能力が消えた。そう解釈すると、寄生虫に描かれた象徴は、なんだったんでしょいか?

返信する
ひかる

お読みいただきありがとうございます。「寄生虫が何を象徴しているか?」という点は非常に興味深い問いですね。僕自身の解釈としては、「人間の悪意を受け入れる器」のような存在だと考えています。それ自体では特に悪となりえませんが、人間の膨れ上がった悪意や不条理などと触れ合うとそれらを何十倍にも拡大する媒介的役割を果たすのではないでしょうか。
とすれば、それは「人間同士の相互作用(コミュニケーション)」の象徴とも言えます。人の憎悪を受け入れる組織(人のネットワーク)は現実にもあり、それがあるからこそ、個人がなし得る何倍もの被害が発生する事件・事故が起こりうる。
ただ、この「関係性」というものは実体がなく抽象的なものであるがゆえに、「寄生虫」というわかりやすい具体物に置き換えると、それが何の象徴か分かりづらくなっているかと思われます。
以上が僕の解釈です。

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