『百鬼徒然袋 雨/風』あらすじと感想【世に蔓延る悪党に、榎木津礼二郎が神の鉄槌を下す!】

『百鬼徒然袋 雨/風』あらすじと感想【世に蔓延る悪党に、榎木津礼二郎が神の鉄槌を下す!】

他人の記憶を見ることができる探偵、〈榎木津礼二郎(えのきづ れいじろう)〉。

捜査もせず、推理もせず、果ては〈そんなことをするのは馬鹿と警察くらいのもんだ〉と言い放つ彼は、真実を見通す目を存分に活かして、事件を更なる混乱と混沌へと導いていく。

とある事件をきっかけに、その破天荒な探偵に関わってしまった図面引きの〈僕〉は、事件の度に彼の奔放な振舞いと奇天烈な言動に振り回されて続けることになってしまう…。

事件など気にかけることもせず、好き勝手に暴れ回る榎木津は、知ってか知らずか事件そのものを破壊して、解決も未解決も無くしていくのだった…。

「百鬼夜行シリーズ」において、最も自由に、最も勝手に振る舞い続ける探偵を主役に据えた、外伝小説。

〈神〉を自称する探偵・榎木津礼二郎が、世に蔓延る外道悪党に〈神の鉄槌〉を下していく!

こんな人におすすめ!

  • 笑える小説を読みたい人
  • ミステリー小説が好きな人
  • 「百鬼夜行シリーズ」が好きな人

あらすじ・内容紹介

姪の〈早苗(さなえ)〉が卑劣な事件の被害者となったことに憤る〈僕〉は、知人の勧めにより〈薔薇十字探偵事務所〉に足を踏み入れる。

そこにいたのは、暴虐無人にして支離滅裂、服装も言動も常人には理解できない天衣無縫の探偵、〈榎木津礼二郎〉であった。

捜査もしない、推理もしないと豪語する彼は、しかし〈他人の記憶を視ることができる〉という特殊な目によって、真実を見通す。

〈神〉を自称し、周囲の人間を〈下僕〉と呼んで憚らない、あまりに規格外な探偵の奇天烈な言動に困惑する〈僕〉だったが、勢いに流されるがまま、榎木津に事件の解決を依頼することとなる。

そんな〈僕〉が引き合わされたのは、榎木津の周辺のこれまた奇怪な人物、〈京極堂〉こと〈中禅寺秋彦(ちゅうぜんじ あきひこ)〉。

世界が終わったかのような仏頂面の京極堂を、榎木津は強引に事件に参加させる。

そして、何やら不可解な行動と不穏な企みを見せはじめる、榎木津と京極堂。

加害者を〈懲らしめる〉という彼らの企みは、あまりにも非現実的な方法に寄って成功を遂げ、更に〈とある事実〉によって被害者であった早苗の心も救われる。

そんな彼らに魅せられた〈僕〉は、徐々に彼らと行動を共にし始めるが…?

陰惨な事件が続く「百鬼夜行シリーズ」において、最も自由に、最も気ままに振る舞う探偵・榎木津礼二郎を主役に据えた、シリーズの外伝小説。

卑劣な外道悪党に、〈神の鉄槌〉が下される!!

『百鬼徒然袋 雨/風』の感想・特徴(ネタバレなし)

主役は探偵・榎木津礼二郎!

それじゃあ探偵を紹介しましょう

今作の主役は、探偵・榎木津礼二郎。

本編の「百鬼夜行シリーズ」において、あまりにも勝手気まま、自由奔放に振る舞っていた彼の活躍が、全編通して存分に楽しめる作品だ。

眉目秀麗で頭脳明晰、腕っ節も強いという完璧超人のような榎木津は、佇んでいるだけでも充分魅力的なキャラクターだ。

しかし、彼の真の魅力はやはりその〈自由奔放さ〉にあるだろう。

捜査も推理もしないが、〈他人の記憶を視る目〉と持ち前の聡明さで瞬時に見抜く彼は、しかしそのあまりに奇天烈な言動から、事件をひたすらに混乱させまくる。

更に自らを〈神〉と自認し、周囲の人間を須く〈下僕〉として扱う彼の行動は、次に何をするか予測ができないというスリルに満ちている。

そんな榎木津礼二郎が様々な事件に関わり、謎を解くどころか事件そのものを〈破壊〉していく様は、一種の爽快感を感じられるだろう。

是非とも、天衣無縫の探偵の暴れっぷりを楽しんでほしい。

何やら楽しそうな〈京極堂〉

あ……悪趣味なことを考えてしまった

「百鬼夜行シリーズ」において、最後に全ての謎を解く存在、〈京極堂〉こと〈中禅寺秋彦〉。

常に世界が滅んだかのような険しい表情を浮かべている彼の、なんとも楽しそうな様子が見られるのも、今作の大きな魅力だろう。

榎木津の暴走に辟易しながらも、なんやかんやと彼の企みを見抜く彼は、榎木津の破天荒さに引っ張られるかのように徐々に悪ノリを始め、悪趣味の極みのようなアイデアを次々に生み出しはじめる。

悪鬼のような仏頂面が変わることはないものの、何となく悪巧みを楽しんでいるような彼の様子は、「百鬼夜行シリーズ」本編では中々お目にかかれない貴重な描写だ。

京極堂の悪趣味な呪術が、卑劣漢たちに奇妙奇天烈な恐怖を味わせる様子からも、目が離せなくなる。

本編から、様々なキャラクターも登場!!

解っただろう。あの人達は友達じゃない。一味なんだよ

また、今作ではその他にも「百鬼夜行シリーズ」に登場した様々なキャラクターたちが、再登場を果たす。

どの作品の、どのキャラクターが再登場したかは、「百鬼夜行シリーズ」本編のネタバレにもなってしまうため、ここでは伏せる。

しかし、陰惨な事件の後も、しっかりと地に足をつけて歩もうとしている人々の存在が描かれることは、本編読了後の読者にとって、きっと救いとなるはずだ。

まとめ

「百鬼夜行シリーズ」に登場する天衣無縫の暴君、探偵・〈榎木津礼二郎〉を主役に据えた外伝小説である今作。

本編を超えた暴れっぷりを見せる榎木津や、彼に引っ張られて悪ノリをしはじめる京極堂など、本編では見られないキャラクターたちの様子を知ることができる、非常に魅力的な作品だ。

また、本編の後日談的な要素も含んでおり、事件を乗り越えたキャラクターたちのその後が描かれるのも、ファンにとっては嬉しい限り。

悲劇的な事件を描いた「百鬼夜行シリーズ」読了後のデザートとして楽しみたい作品だ。

この記事を読んだあなたにおすすめ!

『姑獲鳥の夏』あらすじと感想【京極夏彦、衝撃のデビュー作】『姑獲鳥の夏』あらすじと感想【京極夏彦、衝撃のデビュー作】 おすすめミステリー・推理小説まとめ!初心者必見【読書好き34人に聞いた!】【2021年版】読書好きおすすめミステリー小説34選! 『十角館の殺人』あらすじと感想【これを読まずして本格ミステリは語れない】『十角館の殺人』あらすじと感想【これを読まずして本格ミステリは語れない】

書き手にコメントを届ける

記事の感想や追加してもらいたい情報のリクエスト、修正点の報告などをお待ちしています。
あなたの言葉が次の記事執筆の力になります。