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『難民探偵』あらすじと感想【ネカフェ住まい難民探偵が難事件に挑む!】

『難民探偵』あらすじと感想【ネカフェ住まい難民探偵が難事件に挑む!】

就職難の時代に、様々な過程を経て就職浪人となった〈窓居証子(まどい しょうこ)〉。

彼女は祖母からの勧めで、人気推理作家である叔父、〈窓居京樹(まどい きょうき)〉の雑用係をしながら、就職活動を再開する。

そんなある日、京樹に持たされた携帯に連絡してきたのは、なんと警察。

その内容は、京樹の友人である〈根深陽義(ねぶか ようぎ)〉を保護しているので、引き取って欲しいというものだった。

かつては警視として数々の難事件を解決に導きながら、その肩書を捨ててネットカフェで暮らす陽義と関わるうちに、証子はなぜか殺人事件の捜査に巻き込まれていくことになる…。

奇才・西尾維新が描く、〈ネカフェ住まい難民探偵〉の奔走と推理!

こんな人におすすめ!

  • ミステリが好きな人
  • 言葉遊びが好きな人
  • 西尾維新氏の小説が好きな人

あらすじ・内容紹介

就職難の時代。

自らの計画性の無さから、就職浪人となってしまった〈窓居証子〉。

内定を蹴った企業が須く倒産していることを踏まえれば、見る目はあるとも言える彼女だが、その自尊心は打ち砕かれ、生活は悪化の一途を辿っていた。

恥を忍び、祖母に土下座をしてまで助言を求めた彼女は、叔父である〈窓居京樹〉を紹介される。

不景気の最中で、〈際限なく仕事が増えている〉という彼の職業は、推理作家。

人気のあまり家事をする余裕もない彼の雑用係として収入を得ながら、就職活動を再開する。

金を持て余す京樹の生活ぶりに衝撃を受けながらも、日々雑用を熟す証子。

そんなある日、京樹から持たされた携帯に、なんと警察から電話がかかってくる。

その内容は、京樹の友人である〈根深陽義〉を保護しているので、引き取って欲しいというもの。

かつては警視として数々の難事件を解決しながら、現在ではその肩書を捨ててネットカフェで暮らしながら、頭脳を腐らせようとしている陽義。

そんな彼と関わってしまった証子は、陽義の頭脳を当てにする警察と、それを拒む陽義の板挟みのなかで、殺人事件に巻き込まれる羽目になる。

果たして、陽義の頭脳は今もまだ使い物になるのか。

そして、証子の就職活動は上手くいくのか。

『戯言シリーズ』や『物語シリーズ』など、数々の名作を生み出し続ける奇才・西尾維新氏が描く、新感覚推理小説!

『難民探偵』の感想・特徴(ネタバレなし)

クセの強い、登場キャラクターたち

あの辺にいたどれかの一人ですよね

これは西尾維新氏の小説全般に言えることだが、今作に登場するキャラクターたちも皆ご多分にもれず、良く言えば〈個性豊か〉、悪く言えば〈クセが強い〉。

作中で狂言回しの役割を引き受ける女性〈窓居証子〉は、就職浪人である。

日本国民の三大義務のうち2つを奪われてしまった彼女の、絶妙に鬱屈した目線で物語は進行していく。

その叔父である〈窓居京樹〉は、不景気の時代において際限なく仕事が増え続けているが、現在どうもスランプに陥っているらしい。

しかし、それでも売れっ子なだけあって〈親族一金を持っている男〉とまで言われる彼は、見事なまでにぶっ飛んでいる。

引越し費用に300万円、就職活動の合間の軽い雑用に日当1万を、特に気負いもなく支払おうとするそのぶっ飛び方は、窮地の証子ですら〈ここにいてはダメになる〉と、雑用係を後悔させるほどである。

そして、今作の探偵である〈根深陽義〉。

かつて警視として、様々な事件を解決に導いてきた彼は、なぜかその立場を捨て、推理の腕を鈍らせるために〈ネカフェ難民〉をしている。

とことんダメな生活を続けることで鈍らせた彼の推理で、果たして真相は明かされるのだろうか。

その他に出てくる登場人物が揃って(如何にも西尾維新的な)曲者揃いであり、ミステリでありがちな〈こいつ誰だったっけ?〉がないため、ミステリ慣れしていない読者にもお勧めできる作品だ。

軽妙な語り口で進む、殺人事件

刺殺体ですか。穏やかじゃないですね

今作はミステリであるため、当然ながら事件が発生する。

京都のネットカフェで起こった殺人事件。

この事件をめぐり、陽義と警視総監が賭けを行う。

陽義が謎を解ければ、彼は警察に戻る。

謎を解くことが出来なければ、陽義は正式に警察を辞められる。

結果、陽義は〈全力を出し切った上で、事件が解決できない〉という状況を目指さなければならなくなる。

ゴール設定が意味不明なこの捜査を、何故か事件に巻き込まれてしまった証子が少し斜に構えた視点で語っていく様子は、軽い皮肉が聞いた軽妙な語り口で進んでゆく。

肩肘張ることなく読み進められる、気軽に読める作品だ。

根深陽義の迷推理

やっぱり話さなきゃ駄目かなぁ

そして推理小説の締めと言えば、〈探偵が、一同集めて、さてと言い〉だろう。

その言葉の通り、今作の最後でも探偵による謎解きが披露される。

ただし、今作の探偵は極限まで〈推理の腕〉を鈍らせている。

それ故、謎解きの様子は〈グダグダ〉の一言に過ぎる。

詳細は伏せるが、スマートさの欠片も無い推理の様子が楽しめる作品は、他にあまり無いのではなかろうか。

是非とも、その〈グダグダ〉っぷりを、楽しんでもらいたい。

まとめ

『戯言シリーズ』や『物語シリーズ』など、様々な名作シリーズを生み続けた奇才・西尾維新氏が描く、独特なミステリ小説。

それが今作だ。

西尾維新氏のキャラクターにお馴染みの、独特なクセの強さや軽妙な語り口はそのままに、氏の描く世界の中ではかなり〈現実に即した〉ストーリーが楽しめる。

西尾維新氏の小説の中でも、かなり独特な作風であることは間違い無いので、是非とも西尾維新氏のファンは、一度目を通して見て欲しい作品だ。

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