ある日突然、当たり前だと思っていた日常が一変したとき、あなたを救ってくれるものはあるだろうか?
すぐに思いつく人と、そうでない人がいるかもしれない。
もし思いつかなかった人がいたら、これから紹介する作品を読んでみてほしい。
それは、どん底の状態から食を通じて人生を見つめ直す1人の女性の物語だ。
食べること。
それは生きていくために必要なことである。
しかし、意外とないがしろにされがちなのもまた食べることなのではないだろうか。
食事を適当に済ましてしまったり、面倒臭さから1食抜いてしまったり……。
そんなことをしたことがない人は恐らくいないのではないかと思う。
主人公の彼女も、ほとんど自炊をしたことがなく、食に無頓着な女性だった。
そんな彼女が、ある出来事をきっかけに食を通じて自分の人生を見つめ直し、成長していくことになる。
目次
こんな人におすすめ!
- 最近失恋した人
- 料理を作ることが好きな人
- 前向きな気持ちになりたい人
- これからの生き方に迷っている人
あらすじ・内容紹介
結婚を目前にして、突然婚約者に別れを告げられてしまった明日羽(あすわ)。
落ち込む彼女のもとにやってきた叔母・ロッカさんは、やりたいことや楽しそうなこと、欲しいものを全部書き出す「ドリフターズ・リスト」を作ることを勧める。
しぶしぶリストを書き出す明日羽だったが、やがてリストを通じて今までの自分の生き方を見つめ直すようになる。
当たり前だと思っていたことは本当に当たり前だったのか?
今まで自分の人生をちゃんと生きていたのか?
自分にとって大切なものとは何なのか?
時折婚約者の記憶がよぎって悲しくなったり、何もない自分に自信を無くしたり、これからの人生に不安になったりしながらも、ロッカさんや職場の同僚とのやりとりを経て、明日羽は少しずつ成長していく。
最後に彼女が見つけた、自分なりの答えとは?
『太陽のパスタ、豆のスープ』の感想・特徴(ネタバレなし)
「食べること」は生きるための土台
婚約破棄された明日羽がまず取り掛かったのは、鍋を買いに行くことだった。
自炊をほとんどしたことがなかった彼女だが、ドリフターズ・リストに「毎日鍋を使う」と書き込み、購入したル・クルーゼで毎日何かしらの料理を作るようになる。
それが、彼女の人生を立て直すことに繋がっていく。
一人暮らしを開始した明日羽は、ある出来事をきっかけとして一時的に実家に戻り生活する。
悩む彼女に対し、母が言葉をかける場面がある。
「あすわ、毎日のごはんがあなたを助ける。それは間違いのないことよ」
毎日ごはんを作ること。
毎日きちんと食事をすること。
食べたものは体中を巡り、血や肉となり、私たちを作っていく。
食べることは、生きていくための土台となって私たちの人生を支えるのだ。
この頃しみじみ思うのは、いつも母のことだ。母は偉かった。毎日ごはんをつくってくれた。ただそれだけのこと、と今までは思っていたのだ。あたりまえのようにつくってもらって食べていたけど、ぜんぜんあたりまえなんかじゃなかった。「毎日」がいちばん偉い。
毎日何かを続けていくことは、簡単なように見えて、実はとても難しい。
仕事が忙しかったり、悲しいことがあったりした時には、思うように食事が摂れなかったり、食欲がわかなかったりすることがあるかもしれない。
けれど、そんな時こそ丁寧に料理をしてみたり、おいしいものを食べたりすることが、明日への活力の源になるのだと思う。
自分の人生を生きるということ
明日羽は、婚約破棄後に自分自身を見つめ直してみて初めて、自分のやりたいことさえもよくわからない状態だったということに気付く。
二十何年間もやりたいことをやらずにどうしてきたというのだろう。やりたいようにやってきたはずだった。それなのに、やりたいことをやったという自覚がない。そもそもやりたいことが何なのか、具体的に思いつくこともできない。なんともったいない人生だったろう。
婚約破棄までの自分を振り返った明日羽は、自分の人生をずっと婚約者や会社など人任せにしていたことを思い知る。
人任せにして寄りかかって生きていくのはとても楽だ。
けれどその生き方は、寄りかかるものが無くなった時に自分には何も残らないという結果を招く。
自分が何をしたいのか、どんな風に生きていきたいのか、どんなものが好きなのか。
普段から自分自身を知り、自分の力で選択して生きていくことで、前向きに生きていくことができるのだ。
「本当に大事にしたいもの」を見つけること
婚約破棄により、自分に何も残っていないことに気付いた明日羽は、ある出来事をきっかけに、自分が人生で大事にしていきたいものとの出会いについて考えるようになる。
言うなれば、ライフワークを探す感じに近いのかもしれない。
しかしそう簡単に望むものが見つかるわけもなく、明日羽は悩み続ける。
そもそも虫のいい話だったんじゃないか。何もなかった私に、詰めものをしてくれる何か。そんなもの、期待するほうが間違っている。
「ドリフターズ・リスト」の項目を消化すべく、映画を観たり料理教室に通ったりするものの、散々な結果に終わってしまい、虚しさを募らせる場面もある。
しかし、大事なものを見つけるためには、試行錯誤はなくてはならないものだと思うのだ。
楽して簡単に見つかるものでもないだろうし、様々なものにチャレンジして、失敗して、自分なりの答えを見つけ出していくことこそが人生の醍醐味なのではないだろうか。
明日羽は最終的にどんな答えに辿り着いたのか?
それは、ぜひ作品を読んで確かめてほしい。
まとめ
婚約破棄により、自分に何も残っていないことに気付いた明日羽は、ある出来事をきっかけに、自分が人生で大事にしていきたいものとの出会いについて考えるようになる。
言うなれば、ライフワークを探す感じに近いのかもしれない。
しかしそう簡単に望むものが見つかるわけもなく、明日羽は悩み続ける。
そもそも虫のいい話だったんじゃないか。何もなかった私に、詰めものをしてくれる何か。そんなもの、期待するほうが間違っている。
「ドリフターズ・リスト」の項目を消化すべく、映画を観たり料理教室に通ったりするものの、散々な結果に終わってしまい、虚しさを募らせる場面もある。
しかし、大事なものを見つけるためには、試行錯誤はなくてはならないものだと思うのだ。
楽して簡単に見つかるものでもないだろうし、様々なものにチャレンジして、失敗して、自分なりの答えを見つけ出していくことこそが人生の醍醐味なのではないだろうか。
明日羽は最終的にどんな答えに辿り着いたのか?
それは、ぜひ作品を読んで確かめてほしい。
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