書店ガール特集を書かせていただいて、5回目の記事になりました。
今度の主人公は前巻の主人公彩加と、今回初めて主人公となる伸光。
さて、まずはここで軽く物語と登場人物のおさらいをしたいと思います。
目次
書店ガール~前巻までのあらすじと登場人物~
吉祥寺の書店・ペガサス書房で閉店の危機に立ち向かう、西岡理子店長と書店員・小幡亜紀…そんな2人のタッグから始まったこの『書店ガール』という物語。
一巻~三巻までは理子と亜紀、2人の主人公が中心になって書店員として待ち受ける困難と奮闘します。
そして四巻では世代交代、亜紀の後輩である高梨愛奈と書店員仲間の宮崎彩加が主人公となりました。
愛奈は就活、彩加は正社員登用で吉祥寺から取手へと異動、それぞれに悩みを抱えながらも未来へ向けて一歩を踏み出します。
今回の主人公は取手の駅ナカ書店を舞台に奮闘する宮崎彩加、そして今回から初めて主人公になる、亜紀の夫でありライトノベル編集者の小幡伸光です。
書店ガール5 ラノベとブンガクの感想(ネタバレ)
駅ナカ書店とは?~宮崎彩加の戦い~
さて、駅ナカとは一体なんのことなのでしょう?
東京などの都会に住む人には馴染みが深いとは思いますが軽く説明をさせていただきます。
駅ナカ、とは日本の鉄道事業者が管轄下にある駅構内に展開する商業スペースの通称です。
つまり駅構内にあるお店のことですね。
そして今度の舞台は「駅ナカ書店」、坪数にしておよそ十坪にも満たない限られたスペースで彩加はどのように本を展開すれば売れるのだろう、と悩みます。
自分なりにこだわりの文芸の棚を作りPOPなども作成して気合いを入れていても、アルバイトは非協力的で、どこか冷めた職場環境。
そんなとき本部の統括部長が来店して、もっと売上を意識してくれ、とお叱りを受ける。
「いい本と売れる本は違う。我々書店員はまず売り上げを立ててなんぼ、だ。
いい棚っていうのは売れる棚だ。
売れるってことはお客に支持されてるってことだよ。
自分でいい棚を作ったと思っても、売れないならそれは自己満足にすぎないだろう」
そう言われて彩加は売れる棚を作るために、土地柄を考えてライト文芸とライトノベルに目を向けるのだった。
そこで最近雇った、ニートから社会復帰したばかりの田中がそっちの分野に詳しいと言うことを思い出し――?
余談になりますが2013年に「エキナカ書店大賞」と言う文学賞が創立され、駅ナカ書店は最近注目され始めてきています。
ライトノベルとは?~小幡伸光の戦い~
ライトノベルについては定義が曖昧で様々な説があるが、アニメ風の表紙と挿絵が入っていることが特徴の1つでもある。
文体は軽めでとっつきやすいものが多く、表紙のイラストが目当てで買う人もいるほどイラストレーターは重要らしい。
今回の主人公小幡伸光は駆け出しのライトノベルの編集者で編集長である。
初めての新人賞の選考で大賞と佳作が出て、いい作品が揃った事に喜んでいるが、そこで編集部内の優秀な人材でもある松江がとある問題を起こし――?
著者の碧野圭さんは元々はライトノベルの編集者としてのキャリアがあったそうで、編集部の仕事ぶりはかなり緻密に描かれている。これはこの作者ならではのものだろう。
私自身ライトノベルについてはあまり馴染みがないのですが、「涼宮ハルヒの憂鬱」など私でも読んだことのあるシリーズ名も出てきたり、読んでみたいな、と思うライトノベルのタイトルも出てきて、興味のそそられるテーマでした。
まとめ
今回の五巻で、彩加の店に訪れる客に生粋の純文学好きがいる。
そこで交わされる会話が現代のライトノベルと文芸の関係性を物語っていると思います。
男はほおっと溜息をついた。
「たぶん、自分には一生こういうものの価値がわからないと思いますけど」
「それでいいんですよ。だけど、それを大事に思う人もいる、ということを理解していただければ。熊谷達也や奥泉光を好きという感覚の方に、ライトノベルを好きになってくれ、というのは難しいことです。だけど、いろんな考えや感覚の人がいるから世の中面白いと思いませんか?」
「ああ、そうですね。人それぞれ、大事に思うものがある。それは尊重しなければいけませんね」
今回の『書店ガール』五巻を読んで私はライトノベルと言うものに興味が湧きました。
作中にもいくつかタイトルが出てきたので私も買って読んでみようと思います。
どんなタイトルが出てくるかは『書店ガール』五巻を読んでのお楽しみです。
主題歌:SEKAI NO OWARI/RPG
今回の五巻に曲をつけるならこの曲だと思います。
SEKAI NO OWARI『RPG』
ファンタジー風の曲調もライトノベルを彷彿とさせ、出てくる歌詞も、純文学を読む人にもライトノベルを読む人にも響く歌詞なのではないかな、と思います。
「世間」という悪魔に惑わされないで
自分だけが決めた「答」を思い出して
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