ハロウィンが終わると、あっという間にクリスマスですね。
この時期は恋人がいるかどうかに関係なく、色んな場所でツリーが飾られ、街もライトアップされてとても綺麗で好きです。
その反面、私は出身が北海道なので、雪のない東京のクリスマスがなんだか物足りません。
この季節になると、毎年雪降らないかな~?と思いながら過ごしています。
私の大好きな作家有川浩さんの中からクリスマスがテーマのお話を紹介したいと思います。
表紙のデザインがとっても素敵な作品です。
クリスマス・イブに子供の聖歌隊が家の前で、キリストの生誕を賛美歌を歌って告げ知らせること。
あらすじ・内容紹介
12月25日をもって廃業
併設の学童保育所も閉鎖
表紙デザインからは想像もつかないだろう。
大和俊介の勤める子供服メーカー「エンジェル・メーカー」が経営不振により倒産することとなった。
職場の仲間たちはみんな仕事の合間を縫って次の職を探し始めている。
同僚の柊子は実家がある新潟に帰ることにしたらしい。
2人は元恋人同士だった。
一度は結婚の話まで出ていたのに、ちょっとしたすれ違いから別れてしまった。
お互いに未練はタラタラだ。
本当にこのまま離れ離れになってしまって良いのだろうか。
そんな中、学童に通う航平から別居している両親の離婚を止めたいと相談を受けた大和と柊子は力を貸すことに。
航平の思いは両親に届くのだろうか。
それぞれどんなクリスマスを迎えるのだろうか。
大和の言葉
大和と柊子の関係、航平一家の行く末にも注目してもらいたいのですが、この作品の読みどころのひとつに大和の言葉が挙げられます。
大和の口は悪いです。
でも、その言葉の裏にはいつも優しさや重みがあり、憎めない存在です。
特に私の胸に突き刺さった言葉を紹介させてください。
「持っている辞書が違う」
全く違う環境で育った大和と柊子
彼の育った家庭環境は決していいとは言えず、両親とは疎遠状態。
親への挨拶も省略したいし、結婚式にも呼びたくないと考えている。
柊子は大和と違い、平穏な環境で両親に愛されて育った。
それ故両親が健在なのに挨拶もせず、結婚式にも呼ばないということが理解できなかった。
元々は自分にない辞書を持っている柊子のことを好きになったのに、「持っている辞書が違いすぎる」ことが別れの原因になってしまいます。
この言葉は別れた後の柊子にもいつまでも残り続けます。
キャロリングの感想(ネタバレ)
クリスマスと聞くと、どうしても楽しい・ワクワクした気持ちになりませんか?
私も綺麗なツリーを観ると幸せな気持ちになります。
あらすじを読んだとき、そんな特別な日に会社が倒産って、、、ちょっと残酷と思いました。
それだけではありません。
この物語は、大和がもう少しで殺されるというところから始まります。
出だし5ページを読んだところで、
え??
クリスマスの話なのになんて物騒なと。
ソワソワしてしまい気が気でなりませんでした。
大和の生い立ちや柊子との別れでは胸が痛みますが、最後には心が温まります。
さすが有川作品です。
主題歌:稲垣潤一/クリスマスキャロルの頃には
稲垣潤一「クリスマスキャロルの頃には」
クリスマスソングのド定番!
この曲の世代ではないですが、この曲の切ない感じが好きです。
クリスマスキャロルが流れる頃には
君と僕の答えもきっと出ているだろう
クリスマスキャロルが流れる頃、大和と柊子の関係。
クリスマスキャロルが流れる頃、航平の両親の夫婦関係。
それぞれ答えが出るのです。
この手を少し伸ばせば 届いていたのに
1ミリ何か足りない 愛のすれ違い
大和と柊子のすれ違いは2人の持っている「辞書が違う」ことだった。
持っている辞書は一人ひとり違って当然だ。
お互いを思いやる心があれば、あのとき別れなくてよかったのかもしれない。
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