書店ガールの記事を書かせていただいて、今回が三回目になります。
第三巻は、東日本大震災から三年後を舞台にした物語です。
正直な話かなり悩みました。
しかし拙いながらも私なりに記事を書かせていただきます。
最後までお付き合いいただけると幸いです。
目次
あらすじ・内容紹介
物語は朝礼で書店員たちが挨拶の練習をするシーンから始まる。
亜紀は、「またのお越しを心よりお待ちしています」この挨拶が苦手だった。
しかし、彼女はこの三巻を通して少しずつ変わって行く。
そこも見所の一つだと思う。
この一言が、特別だと思える、そんな瞬間を亜紀は迎えることができるのだろうか。
書店ガール3 託された一冊の感想(ネタバレ)
東北の書店「櫂文堂書店」にて震災の爪痕に戸惑う理子
理子と亜紀の働く「新興堂書店」チェーンに、新しく宮城県の老舗書店「櫂文堂書店」が傘下に加わることとなった。
理子は東日本エリアのエリア・マネージャーに昇格し、櫂文堂書店の一店舗でリニューアルオープンに向けて作業をしている。
そこで理子はふとした時に、ずれている什器の裏の壁に大きな亀裂が入っていることを目撃してしまう。
生々しい震災の爪痕に戸惑う理子。
理子はそこで正直な思いを吐露する。
震災当時彼女はニュースを見るのを避けていたと言う。
「どんなにすごい映像を見せられたとしても、当事者でない自分は傍観者でしかない。うちの親戚はみんな東京から西に住んでいるし、友だちもみんなそっち。だから、どうしたって高みの見物なのよ。それで、自分はともすれば野次馬的にもっと酷い場面を観ることを望んでいるんじゃないか、観ることで安全なところにいる自分を確かめたいんじゃないか。それは被災者の人に失礼じゃないか――そんな気がしたのよ」
彼女は、でもそれは自分は目を逸らしていただけなのではないか、と自分自身を責める。
この記事を書いている私自身の話をさせていただくと、私も北海道在住なので揺れたとはいえ、大きな震災と言える被害は自分の身の周りには起きませんでした。
だから理子の言いたいことも少しわかるのです。
どうしても東北の揺れや津波と比べてしまい、自分は何もわかっていない、身の周りに爪痕を感じられないから忘れてしまうときもある。そんな自分に後ろめたさを抱えていました。
でも、櫂文堂書店の新店長・沢村の一言によってはっとさせられました。
「忘れることは悪いことばかりじゃないですよ。忘れないと前に進めないこともある。仙台の人たちは決して震災を忘れることはないけれど、そこにばかり気持ちを向けても仕方ないことも理解している。だから、口には出さないんです」
悲しい出来事、と表現するにはあまりにも軽すぎるが、悲惨なあの出来事から前を向こうとしてる人達に対して自分達がくよくよしていてはいけないんだろう、そう思いました。
一方、母親であることと書店員であることの両立に苦しむ亜紀
亜紀は担当するジャンルが文芸から経済・ビジネス書に代わり、右も左もわからず、仕事に対して文芸の時ほどモチベーションも保てないでいる。
そんな時に息子が熱を出したり、麻疹にかかったり、亜紀は母親と書店員の間を行ったり来たりする。
中途半端な仕事ぶりを見抜かれたのか、常連客の広瀬から怒られ続ける毎日。
くじけそうになったその時に、夫・伸光の編集部の仕事の方もコミックからライトノベルへと変わり、彼は懸命に向き合っていた。
後ろ向きな亜紀に伸光は「亜紀らしくないなあ」と呟く。
「正直、安い給料なのにそこまで頑張らなくても、と俺はずっと思っていたんだ。だけど、亜紀が積極的に動いたことで、たくさんの人を巻き込んで店を立て直したり、本屋大賞に繋がるようなヒット作を生み出したりもしただろう?ただぼーっとしていても、楽しいことが向こうからやってくるわけじゃない。仕事を楽しくしようと思ったら、楽しくなるように自分で動かなきゃダメだ。それは亜紀が教えてくれたことなんだよ」
亜紀は伸光のこの一言でもう一度前を向くのだった。
まとめ
亜紀と理子は、それぞれ前を向いて歩み始める。
そして、本が、本屋が照らしだす光とは?著者の震災に対する想いが詰まった『書店ガール』三巻はぜひ少しでも多くの人に読んでもらいたい。
一冊の本が震災の傷跡を少し癒す、そんな事もあると信じたいのです。
主題歌:DREAMS COME TRUE/何度でも
多くは書きません。
私は震災から未来へ目を向けるためにこの曲を選びました。
DREAMS COME TRUE「何度でも」
ぜひ聴いてみてください。
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