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『その扉をたたく音』あらすじと感想【夢はミュージシャン?無職青年と人生の一歩を踏み出す扉を叩こう】

『その扉をたたく音』書影画像

近年ミュージシャン・アイドルが主人公の作品が増えたように感じる。

アーティスト志望の登場人物が出てくる作品といえば、ひたむきに音楽と向き合い夢に向かって頑張る姿が描かれているというイメージを持つ人が多いだろう。

しかし、今作の主人公はミュージシャンになりたいと曖昧に思いつつ、5年以上曲づくりも資金づくりもしてこなかった無職のアラサー青年だ。

社会に出たことがない自称ミュージシャン志望の青年と聞くと、能天気でダメ人間かと思いきや、実は社会に出ている私たちも頭によぎったことがある悩みを持ち合わせていた。

無職青年と一緒に将来本当にやりたいことを考えてみよう。

こんな人におすすめ!

  • 音楽が好きな人
  • 青春小説が好きな人
  • 将来の目標が定まっていない人

あらすじ・内容紹介

著者・瀨尾まいこさんの描く物語には複数の親を持つ女子高生や初対面の年上女性に突然「おにいさんだよ」と言い出す青年などちょっと変わった登場人物が多い。

今作の主人公はミュージシャンになりたいなと夢を抱きながら、29歳にして仕事を1度もしたことがない無職の青年・宮路。

彼はある日、ボランティアでギターの弾き語りを披露しに老人ホーム“そよかぜ荘”にやってきた。

そこで宮路や入居者の人たち皆を魅了させるサックスを奏でる神様(宮路が勝手に言ってる)こと渡部(わたべ)君と出会う。

渡部君はそよかぜ荘で働く25歳の介護士だ。

彼の奏でるサックスに感動した宮路は、その演奏をまた聴くために何かと理由をつけてはそよかぜ荘に訪れるようになる。

すると、宮路が無職と見破り“ぼんくら”と呼んでは買い物のメモを渡してくる水木のばあさん、「ウクレレの弾き方を教えて欲しい」と宮路に頼む本庄のおじいさんとの出会いにより渡部君の演奏を聴きに行く以外にもいつの間にかそよかぜ荘に訪れる理由ができていた。

そして宮路と渡部君がそよかぜ荘で一緒に演奏して披露する機会ができ、2人は念入りに打ち合わせをしていく。

2人の演奏が終わったあと、宮路は渡部君の演奏に感動した理由や今やるべきことに気づきはじめるのだった。

『その扉をたたく音』の感想・特徴(ネタバレなし)

将来の不安は生活の安定だけでは消えない

親が裕福な宮路は、毎月20万円を振り込んでもらえているため、働かなくても暮らしていけている。

しかし、生活に困ってはいないものの、やりたいことがわからず無職のままの自分に引け目を感じることはあるようだ。

一緒にバンドを組んでいたやつらとたまに飲みに行っては、自分との違いを見せつけられる。
仕事の不条理さに家庭をもつことのたいへんさ。
出てくるのは苦労話ばかりなのに、聞けば聞くほど、自分が置いてきぼりになっていることに気づく。
「宮路はいいよな」とうらやましそうに言われながら、1人かけ離れた場所にいる自分にぞっとする。

まわりと同じ状況ではないとき、特に不安が大きくなるのが人間という生き物だ。

実は筆者も宮路と同じく29歳でもうすぐ30歳を迎える。

宮路と違って無職ではないし、学校卒業後、ずっと働いているけれど、将来の不安がないわけではない。

仕事と子育てに奮闘しながらも楽しんで両立している友達を見て、自分も将来彼らと同じく仕事と子育ての両立を笑顔で「楽しい」と言えるようになるのだろうかと不安に思うことがある。

また、仕事がうまくいって充実しているように見えていた友人も周囲に結婚している人が増えて「自分は置いてきぼりにされた気分だ」と不満そうにつぶやいていた。

このように、安定した生活をしていようがそうじゃなかろうが、誰にでも不安はつきものなのだ。

宮路は時折将来についての不安が度々頭によぎることがあるが、彼が感じた不安は無職の人以外にも当てはまるに違いない。

誰かのために動く達成感

誰かのために動いているとき、やりがいや達成感を感じるものだ。

宮路もそよかぜ荘の人たちのために何かやっているときは生き生きとしていた。

そもそも宮路がそよかぜ荘を訪れていた目的は、渡部君のサックスを聴くためだった。

しかし、水木のばあさんから毎週次々と買い物を頼まれるようになったりしていくうちに心境に変化が起きる。

宮路が嫌々ながらも買い物メモを見て相手が喜びそうなものを考えて買い物する姿はとても微笑ましかった。

例えばハンドタオルを買ってくるように頼まれたときのこと。

あまり派手なのは似合わないよなと水木のばあさんの姿を思い浮かべる。
この間の服装はグレーのブラウスと紺のパンツだった。
いや、待てよ。このタオルは自分で使うのだろうか。
ばあさんは通いじゃなくてそよかぜ荘で暮らしているから、外出する機会は少なそうだ。
持ち歩かないのならハンドタオルじゃなくてフェイスタオルのほうが使い勝手がいいだろう。
ということは、贈り物かもしれない。

宮路がハンドタオルを選んでいる様子が自分が何かを選ぶときと一緒だったので驚いた。

私も贈り物を選ぶとき、相手の服装や持ち物の色を見て好みを想像し、相手の生活環境を考えた上で選ぶ。

振り返ってみると、“相手のために”を最優先に考えて選んだ後にとても喜んでくれた反応が返ってきたときはいつも達成感が大きかったことに気がついた。

“自分のため”ではなく、“誰かのため”に動いているときの方が充実感があったのだ。

仕事もせず、しばらく人と関わりを持たなかった宮路も嫌々ながら久しぶりに“誰かのために”役に立っていることに充実感があったに違いない。

人の心を動かす音楽

今作では音楽の力についても教えてくれる。

音楽のすばらしさについて宮路が語ったこの言葉にとても共感した。

音楽は日常をよりドラマティックにして感動させてくれる。
だらしない失恋やくだらないいざこざも音楽がともにあれば、美しく切ないものになる。(中略)
心を震わせたり、勇気づけたり、励ましたり、涙あふれさせたり、それが音楽の力だと思っていた。
そして、何度もそんな音楽に助けられてきた。
でも、単純に愉快で楽しくなる音楽もあるんだ。

音楽は人の喜怒哀楽の感情を動かすことができる。

たとえば嫌なことがあったとき。

音楽を聴いて元気になったり、感動して涙を流し頑張る勇気をもらうことは少なくないだろう。

宮路が渡部君のサックスを聴いて感動したり、本庄さんと一緒にウクレレを楽しんでいる姿から音楽の持つ底知れない力を改めて感じた。

まとめ

何がやりたいかわからず、もがき苦しみ立ち止まっている時間も大切だ。

自称・ミュージシャン志望の宮路の生きる姿は“キラキラしていてカッコいい”とは正反対だった。

しかし、そのおかげでこの物語を自分事として捉え、没入して味わうことができた。

さぁ!宮路と一緒に輝かしい将来の一歩を踏み出すために扉を叩こう。

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