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『明け方の若者たち』あらすじと感想【「特別になれない自分」のための小説】

「この小説は、まるで自分の話だ!」そのように思わせてくれる小説との出会いは、読書の醍醐味の1つだろう。

そして、これから紹介する『明け方の若者たち』という本もまた、「自分の話だ」と思わせてくれる小説だった。

映画監督・松本花奈による本書の解説を読んで思わず笑ってしまった。

「小説読んで、俺の話じゃんって思ったわ」「いや、私の話ですから」そんな会話を何度もした

他にも「自分のことだ!」と感じている読者がいたのだ。そのため、本書は「みんなの小説」と言い換えることもできる。

この記事では、そんな本書の魅力を紹介していきたい。

こんな人におすすめ!

  • 挫折した経験がある人
  • 強烈な恋をした経験がある人
  • 理想とは違った人生を送っている人

あらすじ・内容紹介

大学四年生の主人公「僕」は、同級生との退屈な飲み会で、ある女性と出会い恋をした。恋人になった2人は、池袋のボウリング場や吉祥寺のハモニカ横丁、江の島への小旅行とデートを重ね、愛情を深めていく。

しかし、大学卒業後、社会人として働き始めた「僕」を待ち受けていたのは「クリエイティブなことをしたい」という理想からはかけ離れた現実だった。

そのような現実に直面しながら、会社の同期であり親友の尚人(なおと)と仕事の愚痴や不満、自分の将来への不安をこぼしつつ、「僕」は理想と違う今の自分に納得しようとする。

だが、ある日を境に恋人からの連絡が途絶えてしまう。

そして、恋人からの連絡を待ち続ける「僕」は、ある残酷な「現実」を知ることになる。

『明け方の若者たち』の感想・特徴(ネタバレなし)

特別と平凡の間

「みんなの小説」としての本書の魅力を語る前に、思い返して欲しいことがある。それは、10代後半から20代前半だった頃の自分自身のことだ。

この時期は、人生のなかで特別な意味をもつイベントが多かったはずだ。ここでいう「イベント」には受験や就職活動、あるいは恋愛を含めてもいい。

そして、この時期に起きる特別な意味をもったイベントを通じて、自分という存在が「特別」ではないということを知ったり、認めたりした人も少なくないだろう。

本書の主人公「僕」も就職活動を通じ、自分自身が「特別」ではないことを認める1人だ。

物語の序盤、大学4年生の「僕」は就職活動を次のように振り返る。

「大手の印刷会社に内定が決まると、両親は見たことないほど喜んで、僕はその顔を見て、あっさりと将来を決めたのだった。妥協だらけだった人生に、もう一つ妥協を押し込んだ瞬間だった」

ところで、本書には「意識高い系」と呼ばれる人たちが登場する。「僕」と同じ大学の同級生・石田(いしだ)がそのタイプだ。

座右の銘に「面白きこともなき世を面白く」とか「死ぬこと以外かすり傷」とか挙げるタイプで、ほかにもSNSで見かけるような格言はだいたい好きな人間だった

この「意識高い系」といわれるような人を「僕」は冷めた目でみている。主人公は石田から誘われた「勝ち組飲み」という名前の飲み会を次のように評する。

ソリューション。モチベーション。イノベーション。「言いたいだけ」のカタカナが十畳ちょっとの座敷の半個室、二テーブルの間を飛び交っていく

「言いたいだけ」と皮肉っぽく思う一方で、「僕」は石田に対し「二人の価値観や人間性に、大した違いはなかったのかもしれない」と認めている。

平凡だと知っているからこそ、「特別」であろうとすることに魅力を感じる。魅力的だと心のどこかで感じているから白けてしまう。

様々な感情が複雑に絡まり合っていることを人間臭さと言うのであれば、そんな人間臭さが本書には満ちている。

だからこそ、読者の心に共鳴するところが多くあると思う。本書が「みんなの小説」としての魅力を感じる理由はこういった部分にある。

「こんなはずじゃなかった」人たちへの物語

自分という人間が「平凡」だというのは事実だとしよう。だが、それに納得できるのかといえば別問題だ。

納得できないから「特別」になろうとするのか、「平凡」であることを肯定するのか、という二択を迫られる。

社会人として働き始めた主人公「僕」が選んだのは後者だった。

「社会人になって丸一年。あのときの僕らは、何者にもなれない自分たちを必死に肯定しながら、この街で無責任な自由を貪るように、生きていた」

しかし「僕」は悩み続ける。「このままでいいのだ」と「このままでいいのか?」の間で心は揺れ続ける。

そんな「僕」の迷いに共感してくれるのが、同期で入社した尚人だった。

いきなり総務部になった僕と、望まずして営業になった尚人だけが、いまだに「このままでいいんだっけ?」を繰り返して、モヤモヤと自身のキャリアに不満を抱いているようだった

「僕」は、そのモヤモヤを抜け出すための「答え」を掴もうと足掻き続ける。

例えば、本書には「僕」と尚人が自分の人生を野球の打者に例えて話をするシーンがある。その話の後で、「僕」はこのようなことを思う。

「イチローや本田になれそうにもない僕らに足りないものは、三振続きでも諦めずに打席に立ち続ける覚悟と、それを支えるメンタルなのかもしれない。いつになく熱く語る尚人の意見は、酒が入っているわりに、的を射ているように思えた」

あなたにも、「このままでいいのだ」と「このままでいいのだろうか?」との間で心が揺れた経験はないだろうか?

あるいは今、人生の何かしらの選択で心が揺れていたりするのだろうか。

そのような思いを抱いている人や抱いていた過去がある人には本書を手に取ってもらいたい。「これは自分の話だ!」と感じることは間違いないだろう。

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「生産性」のない時間という「幸福」

これまでのことから本書を、若者の懊悩と苦悩を描いた物語だと思う人もいるだろう。その認識は大きく外れていない。恋人との関係でさえ、物語中盤で暗雲が立ち込めてしまうのだ。

例えば「僕」は恋人に次のような思いを抱くようになる。

「彼女は、社会の評価よりも、自分の評価で行動できる人だった。僕は時にその姿が、眩しすぎて憎く感じることすらあった」

その後の「僕」と彼女の関係については本書に譲らなければならない。

このように懊悩を描いている物語ではあるものの、私はこの物語がある種の幸福も描いているように思えた。

どういうことか。注目すべきは本書で多く登場する飲み会などの「気晴らし」の場面だ。

例えば「僕」と恋人、そして友人の尚人の3人で騒いでいる場面の会話などは、そんな「幸福」の象徴だろう。

尚人がボケて、僕がツッコみ、彼女が笑う。そのサイクルを繰り返していると、いつも夜はかんたんに深まり、更けていった。
「なんか、この時間しあわせ」
「わかる。ダラッダラしてるだけなのにね」
「そこがいいんですよ、きっと」

このシーン以外にも、会って話すだけの「気晴らし」の場面が本書には多く登場する。今風にいえば「生産性」のない時間だ。しかし、それこそが「幸福」なのだと私は思う。

モヤモヤを抱えても、それが解決できなくても、上記のような「気晴らし」の時間を一緒に過ごせる人たちとの日々は間違いなく「幸福」なのだ。

だが、このような一瞬の「気晴らし」が「幸福」の1つなのだという意見は、本書を最後まで読んだ人にとっては頷けるものではないかもしれない。

だからこそ、読んだ人の感想を聞いてみたくなる。その意味でも人に読ませたくなる本書は、やはり「みんなの小説」といっていいのだろう。

まとめ

本書のことを「みんなの小説」と語ってきたが、その「みんな」のなかでも本書の内容が特に響く世代がある。それは、主人公と同じ2012年頃に就職活動をし、翌年に大学を卒業した世代だ。

なぜ響くのか。それはこの物語に、その世代を象徴するようなバンドや曲が多く登場するからだ。

RADWIMPSやMr.Childrenだけではない。スピッツの『ロビンソン』、キリンジの『エイリアンズ』、BUMP OF CHICKEN『ロストマン』も登場する。

これらを知っている人はより楽しめるだろう。

知らない人にとっても新たな音楽と出会うことができる。

そのような面白さも本書の魅力の1つと言えよう。

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