【読むとドライブに行きたくなるアンソロジー】『あなたと、どこかへ。eight short stories』(🎵井上陽水『Make-up Shadow』× Suchmos『808』)

この本の評価
読みやすさ
(3.5)
面白さ
(3.0)
装丁の美しさ
(2.0)
ドライブに行きたくなる度
(5.0)
総合評価
(3.5)

みなさん、こんにちは。

今いる場所を飛び出して、どこか遠いところへ行ってみたいと思うこと、ありますよね。

そんな時におすすめの一冊が、この「あなたと、どこかへ。 eight short stories」です。

八人の豪華な作家さんが贈る素敵な「ドライブの旅へようこそ。

ぜひ、あなただけの素敵な旅をお楽しみくださいね。

豪華なラインナップで贈る、「ドライブ」がテーマのアンソロジー

収録されている8つの作品がこちらになります。短編の名手として名高い、中堅作家さんが中心です。

  • 乙女座の夫、蟹座の妻。吉田修一
  • 時速四十キロで未来へ向かう角田光代
  • 本を読む旅石田衣良
  • 慣れることと失うこと甘粕りり子
  • この山道を…… 林望
  • 娘の誕生日」 谷村志穂
  • 遠い雷、赤い靴」 片岡義男
  • 夜のドライブ」 川上弘美

その中でも、特におすすめの三篇を厳選してご紹介しましょう。

角田光代「時速四十キロで未来へ向かう」

主人公の(30歳)は、失恋がきっかけで引きこもりになってしまいます

二か月前までは、普通の働く女性だったのですが、ブレーカーが落ちたようにその場から動けなくなってしまったのですね。

何もかもが嫌になってしまったある日、彼女のもとへ、弟の紀丈(のりたけ)がやってきます。

彼は、青い車を見せながら、姉を「ドライブへ行こう」と誘うのです。

彼女が忘れてしまっていたこと。ふさぎ込んでしまった姉を労わる弟の優しさと、「大人」である自分をあらためて信じることができる一編となっています。

石田衣良「本を読む旅」

いつもと変わり映えしない毎日に、うんざりしてしまった石田さん。

ある日、三泊四日のおひとりさま積読本消化旅行観光抜き)を計画します。この作品だけ唯一「エッセイ」です。

その際語った持ち前の持論が、本好きあるある」のど真ん中を突いているので、少しご紹介しましょう。

  • 内容のない薄っぺらな本は嫌だ。
  • 実際に読書をしている最中よりも、本を選んでいるときの方がよほど心が弾むのではないか。
  • ぼくは作者の名前を、暇さえあれば気晴らしに読む作家のリストに加えた。これは無数にいるようで、なかなか長くならない貴重なリストだ。

読み終えた後、自分も10冊の本を抱えて、どこか旅行へ行ってみようかなと考えてしまうのが不思議です。

ここでは触れませんでしたが、きちんとドライブについて語っていますので、ご心配なく。

川上弘美「夜のドライブ」

こちらは、母と「わたし」のドライブの話です。

他のお話とは少し違い、どことなく読後にしんみりするような内容となっています。

母が亡くなった父親の下手な運転を回想するところや、母親が昔から愛用しているえんじ色の肩掛けが、くたくたになっている描写など、どこか胸がじんとつまるところがあります。

どことなく、自分の親と重ねてしまいました。

選曲 どちらの世代もドライブを楽しんで!

昭和世代、平成世代、どちらの世代も盛り上がれるようなイメージで選曲しました。

一曲目は井上陽水さんの「Make-up Shadow」です。
ドラマ「素晴らしきかな人生」の主題歌になったことによって、一躍人気を博したナンバーですね。

歌詞はシュールで、難解なのに、どことなく色気を感じさせます。※ニューミュージックと呼ばれるジャンルの名曲として名高いですね。

ニューミュージック
1970年代から1980年代にかけて流行した、日本のポピュラー音楽のジャンルの一つフォークソングにロックなどの要素を加え、それまでのフォークソングの特徴であった政治性や生活感を排した、新しい音楽である。(ただし文献により、定義などにずれがある。)@Wikipedia

(雰囲気は小沢健二さんの曲に近いです。)


二曲目は、Suchmos の「808」です。

2018年の白に出場することが決定したSuchmos(サチモス)。

STAY TUNE歌詞の衝撃をいまだに忘れられていない方も多いのではないのでしょうか。(私もその一人です)

デビュー曲も、今回の808も、車のCMに起用されているだけあって、ドライブに最適な一曲に仕上がっています。

流れるように歌いあげるYONCEさんの声に乗せて運転すれば、きっと素敵な一日を過ごすことができるでしょう。

それでは皆様、195ページに渡って失ったものを取り戻す極上のドライブの旅へ、お気をつけて行ってらっしゃいませ!

著者紹介

吉田修一(よしだ・しゅういち)
1968年、長崎県生まれ。法政大学経営学部卒。

97年、「最後の息子」で第84回文学界新人賞を受賞しデビュー。
2002年、「パレード」で第15回山本周五郎賞、「パークライフ」で第127回芥川賞を受賞。

著書に「太陽は動かない」「愛に乱暴」「熱帯魚」「悪人」「怒り近書に「犯罪小説集」「国宝」など。

角田光代(かくた・みつよ)
1967年神奈川県生まれ。早稲田大学大地文学部卒。

90年、「幸福な遊戯」で海燕新人文学賞、96年、「まどろむ夜のUFO」で野間文芸新人賞、2003年「空中庭園」で婦人公論文芸賞を受賞。

05年、「対岸の彼女」で第132回直木賞を受賞。06年、「ロック母」で川端康成文学賞、07年、「八日目の蝉」で中央公論文学賞を受賞。

他に「さがしもの」「空の拳」「紙の月」「笹の船で海をわたる」「拳の先」など。

石田衣良(いしだ・いら)
1960年東京都生まれ。成蹊大学経済学部卒。
広告制作会社勤務を経て、フリーランスのコピーライターに。

97年、「池袋ウエストゲートパーク」で第36回オール讀物推理小説新人賞を受賞。2003年、「4TEEN」で第129回直木賞を受賞

著書に「池袋ウエストゲートパーク」シリーズ、「うつくしい子ども」「娼年」「逝年 call boy2」「爽年」「余命一年のスタリオン」「ブルータワー」「眠れぬ真珠」「夜の桃」「水を抱く」。エッセイに「目覚めよと彼の呼ぶ声がする」などがある。

甘粕りり子(あまかす-)
1964年、神奈川県生まれ。多摩川大学文学部卒。

ファッション、クルマなど、都市の先端文化を掬い取るコラムニストとして注目を集め、現在は小説の執筆に力を入れている。

著書に「真空管」「肉体派」「みちたりた痛み」「ミ・キュイ」「産む、産まない、産めない」などがある。

林望(はやし・のぞむ)
1949年、東京都生まれ。かつては沢嶋優のペンネームを使用していた。

作家、書誌学者。慶応義塾大学大学院博士課程修了。ケンブリッジ大学客員教授、東京芸術大学助教授等を歴任。

イギリスはおいしい」で日本エッセイストクラブ賞、「ケンブリッジ大学所蔵和漢古語総合目録」で国際分流奨励賞を受賞

著書に「すらすら読める風姿花伝」「謹訳源氏物語」などがある。映画に「日本のいちばん長い夏」。

谷村志穂(たにむら・しほ)
1962年、北海道生まれ。北海道大学農学部卒。
出版社勤務を経てフリーライターに。

90年に発表した「結婚しないかもしれない症候群」が一躍話題を集め、翌年、処女小説「アクアリウムの鯨」を発表する。
2003年、「海猫」が、第10回島清恋愛文学賞を受賞。同書は森田芳光監督によって映画化され注目を浴びた。

他に「白の月」「Conversation!」「雪になる」「黒髪」「余命」「みにくいあひる」など。

片岡義男(かたおか・よしお)
1940年、東京都生まれ。74年、「白い波の荒野へ」でデビュー。

75年、「スローなブギにしてくれ」で野生時代新人賞を受賞。「メイン・テーマ」など、映画化された作品も多い

2003年、「文房具を買いに」を出版。

他に「吉永小百合の映画」「自分と自分以外」「日本語の外へ」「青春の完璧な幸福」などがある。

川上弘美(かわかみ・ひろみ)
1958年、東京都生まれ。お茶ノ水女子大学理学部卒。
94年「神様」で第一回パスカル短編文学新人賞を受賞。

99年、同書で紫式部文学賞Bunkamuraドゥマゴ文学賞を受賞。96年「蛇を踏む」で第115回芥川賞受賞。

2000年「溺レる」で伊藤整文学賞女流文学賞を受賞
01年「センセイの鞄」で第37回谷崎潤一郎賞を受賞。07年「真鶴」で芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。

著書に「おめでとう」「いとしい」「ニシノユキヒコの恋と冒険」「どこまで行っても遠い街
大きな鳥にさらわれないよう」「水声」「ぼくの死体をよろしくたのむ」などがある。

こちらもよろしくお願いいたします。

◯この他の『あなたと、どこかへ。』の主題歌はこちら

◯本の主題歌を決める読書会「BGMeeting」

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