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『孫子』あらすじと感想【兵法の原点は今の世を勝ち残る術を教えてくれる】

『孫子』書影画像

彼を知り己を知れば百戦危うからず。

戦わずして勝つ。

風林火山。

どこかで必ず聞いたことのあるこれらのフレーズは、すべて「孫子」の言葉である。

「孫子」は古代中国、春秋戦国時代に孫武(そんぶ)とその子孫・孫濱(そんぴん)によって記された書物であり、現代人にも活きる術を伝えている。

こんな人におすすめ!

  • 兵法を生活に応用したい方
  • 古代中国の英知を知りたい方
  • 三国志、キングダムなどの軍師気分に浸りたい方

あらすじ・内容紹介

孫子曰・・・ではじまる「孫子」。

子曰くではじまるのは「論語」。

「論語」は孔子の教え「儒教」の経典であるが「孫子」は孫武の教えであり、こちらは兵法。

余談だが中国の「子」とは先生の意味。

「孫子曰」は「孫先生は語る」という意味になる。

さて「孫子」は、計篇、作戦篇、謀攻篇、形篇、勢篇、虚実篇、軍争篇、九変篇、行軍篇、地形篇、九地篇、火攻篇、用間篇の13編に分かれている。

これら13編では、戦争前に考えるべきこと、戦争計画について、戦わずに勝つ方法、攻めと守りの方法、戦いの勢いについて、戦争の主導権の重要性と握り方、敵の機先をいかに制するか、臨機応変に対応する方法、進軍の注意事項、地の利について、地の利においての戦術、火攻めの方法、スパイの利用法、と実に事細かに説明をしてくれている。

「孫子」が書かれた頃の中国は、多くの国が互いに争い、弱い国は油断していると、あっという間に滅ぼされる弱肉強食の時代であった。

そのような、生きるか死ぬかの時代に、兵法家・孫武及び孫濱が自身の経験を基に、戦争に勝ち生き残る術を、具体的かつ体系的にまとめあげたのが本書である。

また附録では著者「孫武」と「孫濱」の有名なエピソードも書かれている。

『孫氏』の感想・特徴(ネタバレなし)

孫子曰く…

どのように組織を運営し、どのように戦いに勝つか?

競争は人間社会で避けては通れない宿命であり、科学、文化、経済も競争によって進歩することが多い。

人間は協調する生き物である一方、世の中は基本的に競争の側面が非常に強い。

孫子の兵法は「古代の軍隊の運営方法」であるが、軍隊を会社、グループ、国などに置き換えてみれば、現代の組織運営と何ら変わりはなく、国際社会、企業、行政、スポーツチーム、学校の部活動、など様々なところで応用できるであろう。

 

では具体的にどのような用語があるのか?

百戦百勝は最善ではなく、最良は「戦わずして勝つ」

敵国を傷つけず降伏させるのが上策で、戦って降伏させるのはそれに劣る。

戦争となるとお金もかかるし、犠牲者も出る。

それならば、敵国よりはるかに優勢な兵力があれば、敵国は無謀を知り戦争そのものが起きない。

現代で言うならば、軍事大国アメリカによる平和・パックスアメリカーナを連想させる。

戦争とは詭道(正しいやり方の逆)なり

戦いとはいかに意表をつくかが大切である。

強くとも弱くみせ、勇敢でも臆病にみせることで相手を騙し勝利に導く。

経営でもスポーツでもライバルの意表をつき優位に立とうとするのは今の世も変わらない。

疾きこと風の如く、徐なること林の如く、侵掠すること火の如く、知り難きこと陰の如く、動かざること山の如く、動くこと雷の如く

武田信玄が用いた「風林火山」はここから引用されており、組織における臨機応変の大切さを語っている。

彼を知り己を知れば百戦危うからず

敵の実力と自分の実力の両方を理解していれば百回の戦いも危うくない(敵が強い場合、戦をしなければよい)。

敵が分からず、自分の実力だけを知っていれば勝ったり負けたりする。

敵の実力も自分の実力も、両方知らない場合、戦うたびに危険である。

物事に挑戦してるのに失敗ばかりの人は、ぜひこれを鑑みて、何が原因かを自省してみると良いかもしれない。

孫武とは?孫濱とは?

さて「孫子」の著者である「孫武」と「孫濱」はどんな人物だったのか?

孫武

春秋時代に呉の国で活躍した将軍・兵法家。

彼にはこんなエピソードがある。

呉の国に招かれた孫武は呉王・闔閭(こうりょ)に「兵法見せて欲しい」と問われる。

孫武は試しに闔閭の後宮(王のハーレムのこと)の女達180人を整列させた。

そこで孫武は闔閭のお気に入りの妾2人を隊長に任命し「太鼓の音の回数により、左右後ろと動け」と命令した。

孫武が太鼓を叩いたものの、女達は本気にせず笑うだけで全く言う事を聞かない。

孫武は「命令を下して動かないのは命令を正しく伝えなかった私の責任」と言うと、再度くどいほどに説明をした。

そして、太鼓を叩いたものの、今度も女達は笑うだけであった。

ここにきて孫武は激怒。

「一度目は命令を伝えることが出来なかった私の責任だが、二度目は隊長の責任である。隊長二人を死罪にせよ」と指示した。

闔閭があわてて止めに入るも「軍の責任は将軍にあり王の命令といえど聞けない事もある」と拒絶。

そのまま、2人の妾を斬り殺した。

孫武が再度、他の女2人を隊長に任命し太鼓を叩くと今度は誰一人笑わず号令通りに動いた。

現代では信じられない非情さだが「戦争とはそれくらい厳しい姿勢で取り組まなければならない」という孫武の思想がそのまま反映されているエピソードである。

 

孫濱

孫濱は斉の国の軍師であったが、親友であった龐涓(ほうけん)に騙され、両足を切断された上に、命を奪われる危機に陥った。

しかし何とか助かった孫濱は斉の軍師として復帰し、魏で将軍となった龐涓との決戦にそなえていた。

孫濱率いる斉と龐涓率いる魏の戦い。

だが斉の軍は弱兵であり魏の軍は強兵で、まともに戦えば斉が敗れるは必定であった。

そこで孫濱は策を練る。

ある時、斉軍と魏軍で戦闘になるが、孫濱はすぐさま退却を始めた。

追う龐涓に逃げる孫濱。

だが孫濱はただ逃げているのではなかった。

孫濱は退却しながら、宿営地の食事用の竃の数を半分に減らし、その次の日はさらに半分、その次の日はさらにその半分にと減らしていった。

追撃する龐涓は竃の数が減ったことに「斉軍に逃亡兵が発生している」と誤解し、今こそ決戦の時と精鋭少数で夜道を走り続けた。

しかしこれこそ孫濱の兵法であった。

暗闇の中、進撃する龐涓は、松明の火のもと、大木に刻まれた文字を読み驚愕する。

そこには「龐涓この樹の下で死す」と書かれていた。

急ぎ退却しようとした龐涓であったが、孫濱は松明の火めがけて大量の矢を発射。

翌日、大木の下には針鼠のようになった龐涓の死体が横たわっていたのである。

 

孫武、孫濱、2人の見事な兵法は今に伝わっている。

スパイ編

映画のような話に聞こえるかもしれないが、国際社会では、様々なスパイの暗躍があると言われている。

平和な日本では想像もつかないが、実は「スパイ法」が無い日本はスパイ天国と言われるほど、各国のスパイが暗躍しているとかいないとか。

それはさておき「孫子」はスパイ、つまり間諜のことも説明している。

古代中国においてもスパイは戦いの趨勢を決める重要な存在であった。

では孫子のいうスパイにはどのようなものがあるか?

これは、ゲームを考えれば分かりやすいかもしれない。

あなたは今、Z国の諜報機関の長であり、日本に対してスパイ行為を行う。

何としても日本の秘密情報を得たいあなたは孫子の兵法を使い、日本の秘密情報を得ようとする。

郷間

日本人および日本在住の人間をZ国のスパイし、彼らを通して日本の情報をZ国に伝える。

日本とZ国の間にある問題(領土、経済、軍事等)を、日本のテレビや有名人を使ってZ国に有益な内容を喧伝し世論を動かす。

内間

日本の国家公務員、地方公務員をお金で買収、弱みで脅迫、そうしてスパイにしたあと、Z国に様々な情報を報告させる。

反間

日本の公安を裏でZ国のスパイにする。

日本の内部情報を知っている人間から情報を得るため、日本は多大な情報をZ国に漏らすことになってしまう。

実際、過去に自衛官から外国に機密情報が漏れた事件があった。

最近なら日本ではないが元CIAスノーデン氏の事件が一例。

生間

Z国人が、日本に入国し表向き別の仕事をしながら情報収集を行う。

最もスタンダードなスパイと言える。

死間

Z国人のスパイ(あなたにとっては部下)を日本に潜入させ、あえて日本の公安に捕えさせる。

そこで吐かせた情報は実はウソで日本を攪乱させるためのもの。

部下さえも騙していたニセ情報であり、これが戦時だと部下は殺されることも多く、まさに捨て駒といった恐ろしい作戦である。

 

孫子は敵方のスパイで味方に付くもの、つまり反間のもたらす情報は価値が高いため、反間を厚遇しろと語っている。

かなり物騒な話になってしまったが、スパイというのはそれだけ国の趨勢を決める重要なものである。

平和に暮らしたいならあまり関わらない方が賢明かもしれない。

まとめ

「孫子」は、戦争についての本でありながら決して「好戦的」ではなく、戦争を起こさない事が最善であり、もし起きてしまった際にどうやって生き残るかを語っている。

平和は何より大切であるが、だからといって戦争に関する書物に蓋をするのではなく、冷静に内容を捉え理解していくことが大切なのではなかろうか。

現代は、古代中国ほど戦争は起きておらず、少なくとも先進国同士は平和であるが、受験、スポーツ、経営、経済、政治、選挙、ありとあらゆる場面において「戦い」は存在している。

我々が上手く生きていく処世術の書物としても「孫子」は第一級品といえよう。

ぜひ読んでもらいたい。

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