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『初歩からのシャーロック・ホームズ』あらすじと感想【知ったかぶりシャーロック・ホームズを卒業しよう!】

『初歩からのシャーロック・ホームズ』あらすじと感想【知ったかぶりシャーロック・ホームズを卒業しよう!】

世界でいちばん有名な名探偵シャーロック・ホームズ。

彼の真の姿が今、ここに明かされる。

こんな人におすすめ!

  • シャーロック・ホームズを全く知らない人
  • 基礎からシャーロック・ホームズを学びたい人
  • シャーロック・ホームズの本篇をすべて読了してしまった人

あらすじ・内容紹介

シャーロック・ホームズ。

恐らく世界でいちばん有名な「キャラクター」ではないだろうか。

あなたはシャーロック・ホームズの何を知っていて、何を知らないのだろうか。

本書は正典(キャノンと読む)60篇(つまり原作のシャーロック・ホームズ)を1つずつすべて解説し、そこから経外典(アポクリファと読む)までに関心を広げ、シャーロック・ホームズが生きていたヴィクトリアロンドンの時代とその背景、地理、当時の身分制度などから、作者であるアーサー・コナン・ドイルの生涯、正典をすべて読了したあとに読むべき本、映画、ドラマ、コミック、ゲームなどのシャーロック・ホームズに関わることを細かく網羅。

日本のシャーロック・ホームズの研究者でもある著者が、その知識と資料をフルに使いお届けするシャーロック・ホームズ入門書。

シャーロック・ホームズ作品を1冊も読んだことがない人から、正典はすべて読んでしまった人まで。

かゆいところに手が届く初歩の初歩からのシャーロック・ホームズ。

これであなたもきっとシャーロック・ホームズの基礎知識が身に着く!

『初歩からのシャーロック・ホームズ』の感想・特徴(ネタバレなし)

シャーロック・ホームズを知るために

あなたはシャーロック・ホームズについてどのくらいの知識があるだろうか。

助手(正確には「相棒」らしい)は、ワトソン(「ワトスン」の場合もあり)博士。

ベーカー街221Bに下宿しており(この住所は世界一有名な住所らしい)、世界初の諮問探偵(依頼を受けて仕事をする探偵のこと)。

そして作者は、シャーロック・ホームズで一世を風靡したアーサー・コナン・ドイル。

単純にコナン・ドイルと表記されることもあるけれど、「コナン」と言えば日本ではもしかしたら「名探偵コナン」の方が有名かもしれない。

ここまで書いていて思うのは、ある意味「名前だけは」有名なシャーロック・ホームズのいわゆる正典(つまり、コナン・ドイルが書いた原点のシャーロック・ホームズ)をすべて読了している人はどのくらいいるのだろうか。

かく言う私も、読書は大好きだけれど、読んだことのある正典は「緋色の研究」「バスカヴィル家の犬」「恐怖の谷」(これは途中で挫折)のみなので、シャーロキアンを名乗ることも、ホームズが大好き!と胸を張ることもできない。

けれど、「シャーロック・ホームズ」という名前を聞くだけで胸がときめき、ぐわっと血が騒ぐ。

元来の「ミステリ好き」「探偵という職業フェチ」というのもあるけれど、世界中のミステリ好きが一度は「読んでみようかな」と思う本ではないだろうか。

 

どんな物語なのだろう?

古臭くないだろうか?(いちばん最初の事件「緋色の研究」が起きたのが1881年だから、なんと今から139年前のこと!)。

読んでみたいけど、どこから手をつければ……?

そんな疑問にすべて答えてくれるのが、この「初歩からのシャーロック・ホームズ」なのである。

ホームズのキャラクターとしての人物像(驚いたことに、ホームズを実在の人物だと思っている人がいるらしい)、正典、経外典の解説、メディアミックスなど、多岐に渡るホームズのやさしい解説書。

ホームズを読んでいても、読んでいなくても十分楽しめる。

7章からなる本書は、難しいことは1つも書いていない。

なんならさくさくと3時間ほどで読めてしまうかもしれない。

それほど読みやすく、ホームズの迷宮に惑う人には太陽の存在のような本になる、ということである。

道しるべ

私のように中途半端なホームズ読者には、やはり正典を真っ先に読むことを勧められるだろう。

が、しかし、この本は決して正典だけを勧めてくることはしない。

パスティーシュ、パロディ、アンソロジー、研究書。

パスティーシュとパロディは、現代で言う「2次創作」と呼ばれるものらしく、その名称で言われればアニメや漫画の好きな人は「それか!」と思うかもしれない。

ホームズにも多種多様な「2次創作」があることまで本書は教えてくれるので、正典だけでは足りず、いろんなホームズに会いたい人に対する道しるべにもなってくれるのだ。

 

私は正典を読破していないのに、本書の著者である北原尚彦さんのホームズパスティーシュ「シャーロック・ホームズの蒐集」の方を読んでしまったのだけれど、少しでも正典をかじったことがある人ならいかにこのパスティーシュが原点のシャーロック・ホームズを受け継いでいるのかが分かる。

しかも、パスティーシュはだいたいが正典内で名前だけしか登場しない「語られざる事件」をベースにしているので、まるで正典の続きを読んでいるかのような気分になれるとのこと。

パスティーシュとパロディには、一応の区別がある。

パスティーシュのホームズは、コナン・ドイルの筆致を真似して書いた真面目な「続篇」。

パロディは、少し変わったホームズもの、ホームズの名前を文字ったり、もしくはホームズの推理の仕方を真似したりする登場人物が事件を解いたり。

個人的な好みを言わせてもらうと、私はパスティーシュの方が好きだ。

なぜなら、ホームズの続篇と呼ばれるものがこの世にたくさんでてきてほしいと願うから。

シャーロキアンを名乗る人がこの世からいなくならない限り、「シャーロック・ホームズ」という伝統を書き継いでいってくれる人もいなくならないでほしい。

最高のバディでキャラクター

19世紀に生まれた古い作品が、どうしてこれほど人気を保ち続けているのでしょうか。
わたしなりの分析では──シャーロック・ホームズが史上もっとも成功したキャラクター小説であり、バディ物であるからだと思います。

ミステリ小説におけるバディ物で、語り手をワトソン役と呼んだりする。

それは、シャーロック・ホームズにおいて事件の記録係であり、語り手のワトソンがとてもいいキャラクターで、物語においてもそのポジションを確固たるものにしているからである。

「ワトソン役」と言われれば、その物語において登場人物のポジションが一発で分かるというのも珍しいのではないだろうか。

ホームズはキャラクター小説という面においても19世紀の古い作品ながらも濃いキャラクターで、ひときわ輝く個性を放つ(なんせホームズは、地球が自転していることを知らないのだから。それだけで驚くほど強烈な個性だ)。

世のバディ物のベースは恐らくホームズとワトソンだろうし、物語の書き手さん(つまり小説家)がバディ物を書こうと思うとき、やはり思い浮かぶのはかの有名な2人なのではないだろうか。

キャラクターの個性が際立つ、現代でも人気のジャンル「キャラクター小説」と、協力し合い事件を解決へと導く「バディ物」。

人によっては垂涎ものの組み合わせをここまで絶妙にブレンドした物語。

本書の解説をぜひ一読してみて、芳しいホームズの世界へと引き込まれてみてはどうだろう?

まとめ

中途半端なホームズ読者として手に取った本書により、私はより濃いホームズの世界を垣間見た気がする。

ミステリ好きの端くれとして、一読書人として、ホームズの正典を読破することを誓いつつ、これからもたくさんの人に「シャーロック・ホームズ」という個性的で、世界中から愛されてやまない名探偵が読み続けられることを願う。

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