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『映画刀剣乱舞』原作小説あらすじと感想【サブカルチャーが生んだ、新たな形の歴史エンタメ!】

『映画刀剣乱舞』あらすじと感想【サブカルチャーが生んだ、新たな形の歴史エンタメ!】

著者紹介

ノベライズ版をお書きになった作家様は、『時海結以(ときうみゆい)』さん。

今回の作品以外にも『心が叫びたがってるんだ(実写版)』や『響-HIBIKI-』などの映画ノベライズもお書きになっている作家様でございます。

元考古学研究者という事もあり、歴史といったものにもお強い模様。

その経験と知識を活かしてか、ノベルス版本編では文章でしかできない素敵な魅力が書き込まれております(こちらは下の感想欄にて改めて)。

そして、原作である脚本を担当なさったのは、『小林靖子(こばやしやすこ)』さん。

主な仕事は、脚本と漫画原作。

脚本の分野では特撮やアニメ作品を主に手掛けておられます。

代表作には、『仮面ライダー電王』や『ジョジョの奇妙な冒険』など。

作風の魅力としては、正統派で人間臭く熱いヒーロー像を描く点があげられています。

今映画では、三日月宗近が主役として取り上げられた作品となっています。

が、彼はゲーム内では一番計りがつかぬ飄々としたキャラクターとなっており、『人間臭い』『熱い』とはかけ離れた存在であったりします。

一体、この三日月宗近が、小林さんの作風をもってどのような主人公になったのか。

それらのネタバレも含めた感想を語りたいと思います。

注意
以下、ネタバレ注意です。

感想(ネタバレ)

ストーリーへの感想~緻密な情報で紡がれるストーリー!~

この作品の驚きの点は、その緻密な情報の量。

今作は『織田信長』がメインのストーリー。

その為、彼にまつわる歴史の人物達が出てきます。

一人は明智光秀。

本能寺の変を起こしたとされる武将。

もう一人は豊臣秀吉。

織田信長の家臣であり、天下人を目指した武将。

そして森蘭丸。

織田信長お抱えの小姓であり、不動行光の元主。

少なくない? と思われるかもしれませんが、これは適した数だと思います。

なぜなら、これはあくまでもゲームを元に作られた映画。

つまり観客の大半は、そのゲームのプレーヤーである可能性が高い。

いくら歴史系のゲームとは言え、歴史に詳しい人間ばかりがプレーヤーというわけではありません。

しかし、この三名は歴史に疎い人でもわかる人物達です。

その上、三人という少数人数にまとめてくれた為、歴史が苦手、名前が覚えられない、と言った方でも簡単に登場人物を覚える事ができるのです。

随所にて刀剣男士達による台詞での武将達の話もして貰えるので、その歴史事情もスムーズに理解できます。

上映時間は二時間未満と短めですが、これらの点のおかげで短時間でも多量の情報がこんがらがる事無く理解できる作品になっているのです。

そしてなにより重要な点。

この映画が『刀剣乱舞』というゲームからできているということ。

この作品は、あくまでゲームから生まれた『エンターテイメント』作品であり、刀剣男士達の物語、つまり歴史ばかり描いていてはダメなのです。

人間同様の心を持つ刀剣男士達。

当然ながら人間関係のような複雑な関係性もそこにはあり、ということはそれが生みだす物語もある筈。

けど、当事者ばかりで、審神者の存在もおざなりにしてはいけない。

主達と刀剣男士達の絆もまた、人間とそこに仕える物故に生まれる物語を生むものの筈。

この作品は、その両面を描き切っている。

エンタメと歴史、この二種が均等に描かれ、刀剣乱舞ファンとしても、歴史好きとしても、とても楽しめる展開がそこにはありました。
その凝縮度具合と言ったら、何度も言いますが、本当にこれは二時間未満の映画だったのか!? と疑う程。

と同時に、歴史とはなにか、とも考えさせられました。

三日月宗近と織田信長が応酬をするシーンが何度かあるのですが、その中で一番私の心に残ったのはこの台詞でした。

「歴史とは人。私はその人を守りたい」

三日月宗近は前述したように、胸の内を語らないキャラです。

どんな作品の中でも変わらぬ飄々さを保っていた彼が、こんなにも熱い気持ちを胸に抱いていたなんて――。

思いもよらぬ三日月宗近の心情にグッとくるものがあると同時に、歴史とはなんだ、という気持ちにもかられます。

この映画の中では、何度も何度も『正しい歴史』という言葉が使われます。

「正しい歴史を守ること」「では正しい歴史とは」「もし死ぬ筈だったが人間が生き抜いていても、それはそこから新しい『正しい歴史』が始まる事にはならないのか」――そのような疑問が、何度も飛び交います。

その中で、三日月宗近は答えるのです。

『歴史は人』だと。

そしてその『人』を守りたいと。

『歴史』というものについて、深く考えざる得ない作品でした。

と、同時に三日月宗近というキャラの深掘りのおかげで、また一段と刀剣乱舞という世界に惚れ直したストーリーでした。

ノベライス版感想~ここが面白い!文章でしか味わえない楽しみ~

まず、なによりも語りたいのは、このノベライズ版が児童書から出版されている点!

驚く事にこの小説を出版しているのはなんと、児童文庫の『小学館ジュニア文庫』なのです!

と言いましても、こちらの文庫は他にも『名探偵コナン ゼロの執行人』や『カノジョは嘘を愛しすぎてる』など、様々な映画ノベルスを出版しており、映画ノベルスに特化した文庫であったりします。

でも、児童書って事は、児童が読めるような言葉で書かないといけないだろうし、全体の文字数だって一般の小説よりも格段に少ない文字数で書かなくてはいけない筈。

そんな条件の中で、どうやってあれを書きまとめるんだ!? と、期待半分不安半分な気持ちで読み始めたノベライズ版。

しかし、読み終わって思った事は、凄い! の一言でした。

少ない文字数の中、映画の展開が端的に率直に書かれている。

優美な装飾がされた文章ではない、けどだからこそ!歴史に関する情報がこれまたスッと頭の中に取り込まれる!

この『率直な文章』というのは、児童書という文だったからこそできた書き方だと思います。

小説は読む読者層に合わせて言葉が変わるものです。

特に児童書というジャンルはそれが明確に現れており、相手が子供であればある程、難しい言葉は使えず、柔らかく砕いて、長すぎない文章を書きだす率直性が求められます。

このノベライズも例にもれず。

けどこの率直さこそが、わかりやすく、情報が多く行き交う物語を、簡潔に読者の脳内に運んで来てくれているのです!

さらに、ノベライズ版は、映画内では語られなかった説明がいくつか付け足されています。

たとえば、

六振りは、花がささげられた小さな祠の前に立った。四体の狐の石像が見守る斎庭(ゆにわ)で、しきつめられた描く円陣にそってならぶ。
(本文一部引用)

こちらのシーンは、刀剣男士達が過去へ出陣する場面を描いているものです。

この設定、実は映画オリジナルだったり。

ゲームではこのような祠は存在せず、それは他形態の作品でも同様です。

しかも映画では、当然映像のみでシーンが流れてくる為、この場所が『出陣の祠』と呼ばれ、このような造りの庭を『斎庭』と呼ぶという事も知らないまま、ストーリーは進んでいきます。

知らなくたってストーリーは全然わかるのです。

けれどたとえば、『斎庭』という言葉は、実際に存在している言葉で、小説の中の注釈によれば『神さまをまつる為に清められた場所』という意味だそうで、それを一つ知っているだけで、なんだかとても物語に深みが増すような感じがしませんか?

さらに楽しいのが、小説版は登場人物達の心の声も書かれているという点!

たとえば、

まだ動ける。俺は血で汚れているくらいで、ちょうどいい
(本文一部引用)

山姥切国広が時間遡行軍との戦いの中で重傷になり、それでも戦おうと立ち上がるシーンで書かれた心の中の台詞です。

これは、映画本編にはない台詞です。

映画では、減る事無く数を増やし襲いかかってくる敵達に、疲弊していくさまだけが描かれています。

これは、小説だからこそ書き出せる、映像のみの映画では決してできない面です。

映画版で感じたキャラクターという点の深掘りが、さらに掘り進められ、厚みを増しているように感じられます。

しかもこの台詞、原作のゲームにおいて、山姥切国広が重傷を負った際に口にする台詞だったりします。

本編内にもいくつかゲームで出てくる台詞が使用はされていますが、それでもその全てが使用されているわけではありません。

このように、映画版本編では使用できていなかった台詞も心の内の描写等で追加で書かれたり(状況に合わせ少々言い方の変化がある場合もございますが)しています。

おかげで、映画を一度見た刀剣乱舞ファンでも、新たなる楽しみを覚える事ができる一冊となっております。

まとめ

『刀剣乱舞』という作品は、どんな形にもなれる作品だと、私は思っています。

それは、この『刀剣乱舞』の世界には決まった物語が存在していないからです。

アニメに舞台に映画にと、色んな形で物語が作られていますが、しかしそのどれもが、全く違う本丸の話であり、つまりどの話も世界観が同じだけの違う舞台なのです。

出てくる刀も違えば、ストーリーの展開も違ってきます。

原作のゲームでは、まずストーリーそのものがありません。

ゲームシステムの中には『回想』と呼ばれる刀同士の会話はありますが、ゲーム全体を揺るがすようなストーリー展開はありません。

刀はランダムで手に入るので、プレーヤーによって持ってる刀も違う。全男士のレベルを育ててる人もいれば、特定の男士のみを育てている人もいる。

同じ世界観であっても、プレーヤーの数だけ違う姿があり、決まった展開は存在していないのです。

だからこそ無限に可能性を生む事ができるのです。

エンタメ性だけではなく、歴史ものとしての側面も色濃く出せる、その秘訣はこの部分にあるのではないのかと、そう思っています。

新しい形で書かれる『歴史』を題材としたこの物語に、ぜひ一度触れてみてください。

主題歌:西川貴教(feat. 布袋寅泰)/UNBROKEN

歌うはT.M.Revolutionの名で有名な西川貴教(にしかわたかのり)。

そしてバックで激しいギターを奏でるは、ロックミュージシャンである布袋寅泰(ほていともやす)。

この二名がタッグを組んで作られたこの楽曲は、仮にも『歴史』という『和』の空気がある作品に対して作るには、耳を疑う程の激しいロックミュージック。

出だしからすでに荒々しくギターは奏でられ、暴走するかのようにハードなロック調で進んでいきます。

が、逆にそのさまが、まるで絶え間なく襲い来る敵に考える暇もなく身体を動かして戦闘をしているかのような、そんな止めどない戦いの勢いが溢れ返っているようにも見えてくるのです。

さらに注目すべきは、その歌詞。

最後の最後に最上のタマシイを見せろ
生きざま 死にざま
守るべきもの守るために果てるなら
何度だって何度だって咲き乱れてみろよ

(作詞:岩里祐穂)

戦国という時代の中で生き抜く猛者達の姿が浮かぶような、激情的な歌詞。

激しいギターメロもまた、その情を一層激しくしているようにも思えます。

しかしそこに込められているのはきっと、人のものだけではありません。

刀剣男士達の心も含まれていると思うのです。

打たれるほど強くなるなら
尚 打たれ続けてみましょうか
浮かぶ波紋は己の証
誰にも渡せはしない

(作詞:岩里祐穂)

刀というのは、何度も熱して叩いてを繰り返して生まれます。

つまり、『打たれ続ける事で、強い刀ができる』のです。

そして刀に浮かぶ波紋は、その刀を作った刀工が所属する『流派特有の模様』だったりします。

つまり、波紋は刀剣男士達にとって、この歌詞通り『己の証(歴史)』を示すものなのです。

様々な複雑な気持ちが胸にあれど、刀剣男士として顕現された今、彼らは誰にも渡せない己の証を手に、歴史を守る為、闘っているのです。

姿形は違えど、人間も刀剣男士も、己が信義を守る為に戦い抜く姿勢は似ているように私は思いました。

この曲は、そんなこの映画の特徴を大きく映し出した、この映画刀剣乱舞世界の本丸の為だけの曲――、いわば『本丸曲』なのです。

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