幼いころに家族を亡くし、天涯孤独の身になった桐山零(きりやま れい)。
父の将棋仲間で親友だったプロ棋士の男性・幸田(こうだ)の家庭に引き取られ、居場所を見出すために、生きるために将棋を指し続けることを選んだ桐山が、やがて将棋を通じて様々な出会いを経験し、受け入れられる場所を得てゆく成長の物語。
今回はそんな『3月のライオン』の名言を15個紹介する。
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目次
- 玉のようにつややかな素晴らしいおともだちね…(川本あかり/第1巻Chapter8)
- プロになるのがゴールなんじゃない(幸田/第1巻Chapter10)
- 『逃げなかった』って記憶が欲しかったんだと思います(桐山零/第2巻Chapter13)
- 『潔い』のと『投げやり』なのは似ているけど違うんだ!(二階堂晴信/第2巻Chapter14)
- 解ってるけどできねーとか言うんならやめろよ!!(桐山零/第2巻Chapter24)
- 自分のひとりぽっちに気をとられ 誰かのひとりぽっちに気付けないでいた(桐山零/第3巻Chapter22)
- 落ち込んでる時に冷たいもの喰ってるヤツがあるかっ(林田高志/第3巻Chapter29)
- 『でも』が100個揃えば開く扉があればいーが はっきり言って ねーよ そんなドア!!(林田高志/第3巻Chapter29)
- 仕事でかいた恥は 仕事で取り返すほかねーからな(川本相米二/第3巻Chapter31)
- 『縮まらないから』といって それが オレが進まない理由にはならん(島田開/第4巻Chapter39)
- 『必要とされたい』『だから強くなりたい』それのどこが不純なんだ?(林田高志/第6巻Chapter60)
- 信じて努力を続ければ夢は叶う(山崎順慶/第7巻Chapter64)
- 世界は結果だけで回ってるんじゃないんだよ(林田高志/第7巻Chapter72)
- はなから持って無い『運』や『ツキ』はこの先無くすこともない(藤本雷堂/第9巻Chapter94)
- あ いえ 付き合ってません――というかまだ伝えていないので(桐山零/第10巻Chapter104)
- まとめ
玉のようにつややかな素晴らしいおともだちね…(川本あかり/第1巻Chapter8)
桐山が、友人でありライバルの二階堂晴信(にかいどう はるのぶ)と連れ立って街を歩いているのに出会った時の川本あかり(かわもと あかり)の台詞。
あかりと桐山は、道端で悪酔いして蹲っていた桐山をあかりが家に連れ帰り介抱したことが縁で知り合った。
あかりは痩せた猫などを見捨てておけずに拾って帰りたくさん食べさせて、ふくふくふっくらとさせることが好きな女性で、人間を拾って帰ったのは桐山が初めて。
以来、桐山を夕食に招いているが、いつまでもふっくらしない桐山を案じている。
そんなあかりの前に現れたむっちり艶やかな体型の二階堂はあかりの心を鷲掴みにする。
桐山と二階堂を夕食に招いたあかりは二階堂に食の好みを質問。
薄味でたんぱく質控えめとの答えから、腎臓系の病気だろうかと察したあかりは特売で買って来た鶏肉で作れるから揚げやハンバーグでなくうす味でも楽しめるような、一品あたりの使用食品数の多い手の込んだ料理を提供する。
二階堂の前に4品料理を並べて、味付けは自由にしてみてね、とさらっと言えるあかり。
この細やかな気遣い、見習いたいものである。
プロになるのがゴールなんじゃない(幸田/第1巻Chapter10)
交通事故で急死した父の将棋仲間だった、プロ棋士の幸田の家に引き取られた桐山。
彼は自分の立ち位置が、将棋が好きかとの幸田からの問いに「はい」と答えたことで築かれたものだと幼いながらに知っていた。
必死に将棋を指し続ける桐山は幸田の実子であり桐山の義姉・香子(きょうこ)と義弟・歩(あゆむ)を凌ぐ実力を身に着けるに至る。
桐山に負けたショックで歩は学校で塞ぎがちになり成績も落としてしまい、その様子を案じた桐山は幸田に相談する。
しかし幸田は冒頭の台詞に続き、自分で自分を説得しながら続けられるようでないとダメだ、と語り、厳しいプロの現実を桐山に諭す。
進めば進むほど周りに人はいなくなる。
自分で自分を調整・修理できる人間しかどのみち先へは進めなくなるんだよ、との言葉はプロ棋士としては正論だが、まだ小学生のわが子に対する言葉としては酷である。
こういったことが積み重なり、桐山はカッコウの托卵を自分の現状と同じだと考え、自分がいると父や家族を食いつくしてしまうと思うに至る。
そして、桐山は高校へは進学せずに、プロ棋士として1日でも早く自立し家を出ることを決意するに至るのだった。
子どもたちは父に認められたいと願っていて、そのためには桐山を凌ぐか同等の努力をしないといけないと思い知らされ家庭内が生きづらい場所になり、桐山も生きるために将棋を指すのは辞められない。
この環境、子どもたちにはあまりに厳しい。
『逃げなかった』って記憶が欲しかったんだと思います(桐山零/第2巻Chapter13)
プロ野球選手を目指している中学生・高橋勇介(たかはし ゆうすけ)に、一年空けて高校に行きなおしたのは何故なのかと問われた桐山が語った答え。
将棋は生きるために選んだ手段であり、現状はプロになっているし自立したと捉えればもう目標は果たしたと言えるのではないかと思った桐山は勝つ理由を見失って連敗中だった。
そんな時に交わしたこの時の会話は、桐山が己を見直すきっかけになった。
高橋は、ピンチの時に自分を信じろと言われるが、その時にサボった記憶があると上手くいかないことを引き合いに出し、自分の言葉でまとめて桐山と会話を交わす。
己を信じるためには、自分を納得させられるまで努力をするしかないのだ。
『潔い』のと『投げやり』なのは似ているけど違うんだ!(二階堂晴信/第2巻Chapter14)
二階堂が将棋の解説番組で桐山に対して言った台詞。
「カッコつけんな桐山っっっ!!!」
「本当に勝ちたいんなら粘れっっっ」
「攻めるだけじゃなくちゃんと守れっっ」
「最近のお前ちょっと変だぞ!?」
の後に続く台詞である。
二階堂は重い持病を抱えており、あまり息の上がるようなことが出来ないにも関わらず、声を荒らげて親友を心配し収録の後には貧血を起こしてしまっている。
以降、桐山は窮地に立たされた時に二階堂の台詞を思い出し、難局を脱するのだ。
自分のことを良く理解してくれている友人の忠告ほどありがたいものはない。
解ってるけどできねーとか言うんならやめろよ!!(桐山零/第2巻Chapter24)
だれもいない公園で叫んだ桐山の台詞。
負けると酒を飲んで家族に当たる酒癖の悪さが災いし、離婚を控えた棋士・安井との対局で勝った桐山は忘れもののクリスマスプレゼントの包みを抱えて安井を追いかけたのだが、安井は気まずさから自分の荷物ではないと受け取ろうともしない。
桐山がそんなはずはないと重ねて言葉をかけると、安井は「あーあ最後のクリスマスだったのにな」と毒づいてプレゼントを引ったくって立ち去る。
桐山には将棋で生きるしか道はない。
酒に逃げる安井の考えのぬるさに苛立った桐山は一人叫ぶのだ。
負けたくないなら、人一倍の努力をしなければならない。
桐山はそれを実行しているに過ぎないのに、周囲はそれを妬む。
妬むくらいならこっちに来るな、と桐山は激しく憤りを叫ぶ。
自分のひとりぽっちに気をとられ 誰かのひとりぽっちに気付けないでいた(桐山零/第3巻Chapter22)
風邪をひいて寝込んだ桐山の一人暮らしの部屋に、川本3姉妹が突如現れる。
病院へと連行された後に川本家に連れて行かれた桐山は、おうちに電話しましょうとあかりが言うのを聞いて、独立したのだからそこまでしなくてもと言う。
ふうん、独立ねえとジト目で答えるあかりは充電切れになっていた携帯を桐山に差し出す。
そこには育ての親・幸田からの不在着信がびっしりと入っていた。
そんな経緯で川本家で静養することになった桐山は、あかり以外が寝入ってしまった大晦日の夜に、新年を迎える節目に家族以外の自分がいていいのだろうかと問いかけるが、あかりはいてくれてよかった、片づけをするときに一人だと多分泣いちゃってたと口にする。
桐山は、いつも明るく振る舞うあかりも母を亡くした寂しい身の上であることを思い出し、自分のことで手一杯で他人の孤独を想像できていなかった自分を恥じる。
いつも笑顔で明るいあかりも、人には見せないようにしているだけで寂しさを抱えていることに気付いた桐山は思わず涙を零し、それを見たあかりも結局もらい泣きしてしまったのだった。
落ち込んでる時に冷たいもの喰ってるヤツがあるかっ(林田高志/第3巻Chapter29)
桐山の通う高校の担任教師・林田高志(はやしだ たかし)の台詞。
いつも学校に馴染めずに一人、人気のない階段に腰かけて昼食を摂っている桐山に、自分の昼食のカップラーメンを差し出しながら強く言う。
気持ちが冷えている時に冷たく味気ない食事を選んではますます気分は下がってしまう。単純明快かつ生活に役立つ一言。
『でも』が100個揃えば開く扉があればいーが はっきり言って ねーよ そんなドア!!(林田高志/第3巻Chapter29)
林田の励ましの台詞。
自分を負かした棋士・島田開(しまだ かい)の研究会に入れば得られるものが多いだろうにと桐山に提案したものの、でも、でもと煮え切らない態度をとるのでこう断言し背中を押した。
こちらもシンプルで心に響く台詞である。
仕事でかいた恥は 仕事で取り返すほかねーからな(川本相米二/第3巻Chapter31)
必ず勝つと意気込んで臨んだ一戦に負けてしまい、川本家に顔を出しづらくなった桐山の事を案じるひなたに、三姉妹の祖父・川本相米二が語った台詞。
桐山が自分で「取り返した」と思えるまでは自分で頑張るしかないと菓子作の手を休めずに語る。
大人になれば、一線で活躍している人間で恥をかいた事ない人間なんていないと嫌でも気づくと言いながら。
仕事がうまくいかないのは辛いもの。
逃げたり代替のもので気持ちを慰めた経験は誰にでもある。
しかし、最終的には仕事で取り返すしかないのだ。
菓子職人として長く地元に愛され続ける相米二の言葉は、深い。
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