不朽の名作『北斗の拳』。今回は定番である「強さランキング」にあえて挑むことにした。
真剣に考えれば考えるほど、このランキングは固定化する。そこで私的感情を選考基準の重要項目として取り入れた。「カッコ良さ」だ。
ぜひ最後までお付き合いいただきたい。
最強ランキングの選考基準
北斗の拳に登場するキャラの強さを単純に比較していくのなら、おおよそランキングは同じような見栄えになる。
だから、あえて今回のランキング基準は「最強」とした。
「最強」の基準は、皆それぞれの胸の中にある。私の「最強」の基準は、一対一で戦った時の強さと、ヒーローとしてのカッコ良さだ。
前者は、ストーリー上戦った場面を参考にするので、誰の目にも明らかだ。しかし後者は、完全に個人の主観と好みによる。
とくに私の場合、修羅の国編以降、キャラがカッコ良く描かれていることも大きく作用しているので、そのあたり寛容な目で見ていただきたい。
基準①一対一の戦い、それは「タイマン勝負の強さ」
「最強」の要素として外せないのが、一対一で戦ったときの強さ。格闘マンガなので当たり前だ。
もし戦っていたら・・・というのはなるべく無視する。
『北斗の拳』においては「もし~なら」という要素が多すぎる。「もしトキが健康なら~」や「もしファルコが脚を失っていなかったら~」など。このランキングに「もし~」は不要だ。
基準②最強キャラに求められるのは「カッコよさ」
格闘マンガであると同時に、「かく在りたい」の模範を示すのがヒーローマンガたる『北斗の拳』。
この作品には数多くの美学が散りばめられている。
- いかに圧倒的に強いか
- ひとりの女性を愛し続けているか
- 人のためになる強さを持っているか
- 家族・兄弟愛
- 背負うモノの大きさ
- 華麗でカッコいい技
- 決め台詞のかっこよさ
などなど。
それらを「ヒーロー的カッコ良さ」として、選考基準とした。
これも完全なる独断と偏見なので、温かく見守ってほしい。
10位:ハン
ダンディズムの結晶。いちいち仕草がカッコいい!
【タイマン勝負の強さ】★★★★★★★(7)
【ヒーロー的カッコ良さ】★★★★★★★(7)
北斗琉拳の使い手にして第三の羅将・ハンは、強い者しか生きる価値が無い修羅の国において、その生き方が手本になるような男だ。
戦いを生き抜いてきた修羅の男に、これ以上の野望が無いと分かると瞬殺する。頂点を目指さない男の存在意義を決して認めない。
ケンシロウが目の前に現れたときにハンが放った、「うれしくて肌が粟だつわ!」というセリフは紛れもなく名言だろう。待ちに待った強者が自分と対等だと分かった時の表現として秀逸だ。
ラオウを敗ったケンシロウとの戦いも、序盤はほぼ互角。しかし、ラオウの技・天将奔烈を出したケンシロウに圧倒される。
ヒーロー的なカッコ良さや優しさは皆無に等しいが、一つ一つの言葉がシビれるキャラだった。
一番カッコ良かった技:疾火煌陣(しっかこうじん)
ケンシロウとのファーストコンタクトで繰り出された技。あまりの速さにケンシロウですら見えなかった。この技でハンが真の実力者だと読者に伝わり、その後の死闘は言うまでもなく盛り上がった。
9位:カイオウ
強さは圧倒的!しかし極悪すぎて・・・
【タイマン勝負の強さ】★★★★★★★★★(9)
【ヒーロー的カッコ良さ】★★★★★(5)
『北斗の拳』最後のボスキャラにして、ラオウの実兄・カイオウは強さだけならシリーズ最強と言えるかもしれない。
究極奥義・無想転生を破り、一度はケンシロウを完膚なきまで叩きのめした。この点はかつてのシンやサウザーと似ているが、ラオウを倒した後のケンシロウだったことを考えると、群を抜いて強い。
最終的にケンシロウに敗れたという点で、ケンシロウと差をつけ、「タイマン勝負の強さ」を★9個とした。
ただ、カイオウのやってきたことは“悪”そのもので、下衆といっても過言ではない。自分の妹は殺すわ、味方である第二の羅将・ヒョウを散々裏切るわ、もうめちゃくちゃだ。
極めつけは、とにかく女性を手に掛けまくる場面。正直なところ、読み返していても嫌悪感しか残らない。男としてのカッコ良さは最下位だろう。
一番カッコ良かった技:凄妙弾烈(せいみょうだんれつ)
ケンシロウの無想転生を破った暗琉天破(あんりゅうてんは)からの、北斗宗家技・凄妙弾烈はカイオウ必殺にして最後の技だった。
確実に秘孔を突くも、北斗神拳には全く通用せず。カッコ良かった技というよりは、シリーズ最後の大技として紹介させていただいた。
8位:レイ
ケンシロウの強敵(とも)であり友
【タイマン勝負の強さ】★★★★★★(6)
【ヒーロー的カッコ良さ】★★★★★★★★★(9)
敵をバラバラに切り刻む南斗水鳥拳の使い手であるレイ。
南斗水鳥拳の原理は、鋭い手刀が大気中に真空を生み出し、鋼鉄をも切り裂くというモノ。筆者は幼少期に何度も練習したが、何も切れなかった(苦笑)。
登場当初、やや邪悪な表情をしていたレイだったが、ケンシロウと出会い柔和な顔つきになっていく。
さらにマミヤを愛したことからヒーロー的なカッコ良さが際立ってくるが、ラオウの圧倒的な強さの前に屈する。
また、アミバとの戦いではケンシロウを助ける場面もあり、ケンシロウの友と呼ぶにふさわしいキャラだった。
一番カッコ良かった技:飛翔白麗(ひしょうはくれい)
南斗水鳥拳の奥義・飛翔白麗は、水面に手をつき、そこから倒立・跳躍し回転の後、両手刀で相手を切り裂くという技。
究極的に美しい技だが、原理は誰にも説明できないだろう。
7位:フドウ
南斗五車星の一人!ラオウを初めて敗った心優しき男
【タイマン勝負の強さ】★★★★★★(6)
【ヒーロー的カッコ良さ】★★★★★★★★★(9)
かつてはラオウすら恐怖した“鬼のフドウ”。子供たちを世話するようになってからは“山のフドウ”として慕われるようになった。
ラオウが決めたルールで行われた二人の死闘はなんと、フドウが勝利。そう、ラオウに初めて勝ったのはケンシロウではなく、フドウだったのだ。
一番カッコ良かった技
パワーで相手をねじ伏せるタイプのフドウは、特にこれといった技は使わなかったが、子供たちを背にラオウに立ち向かったシーンは読者全員の喝采が聞こえてくるような超カッコ良い名場面だった。
6位:ジュウザ
雲のように気ままに生きる、しかし強さは本物
【タイマン勝負の強さ】★★★★★★★(7)
【ヒーロー的カッコ良さ】★★★★★★★★★(9)
幼少期、ラオウやトキに勝るとも劣らない才能の持ち主だった南斗五車星の一人・雲のジュウザ。成人した後も彼は、我流の拳を磨き続け、ラオウに手傷を負わせるまでになっていた。
また、ラオウの愛馬・コクオウ号を乗りこなした貴重なキャラでもある(他はケンシロウのみ)。
日常のジュウザは色男で女好きでワガママ、その日暮らしという感じ。しかしその原因は、ただ一人愛する女・ユリアの異母兄妹で、その愛は叶うことが無いと知った絶望からだった。1人の女性を愛しぬくという『北斗の拳』流のヒーロー像はクリアしていたわけだ。
一番カッコ良かった技:撃壁背水掌(げきへきはいすいしょう)
撃壁背水掌は、敵ギリギリまで接近し、全エネルギーを両掌に集中させ叩き込む秘奥義。
ラオウをぐらつかせる大技だったが、寸前に肩の秘孔をつかれ両掌を破壊され敗北。ラオウの睨んだ通り、攻めには強いが守りに弱いジュウザだった。
5位:ファルコ
ラオウ以降でダントツにかっこいいキャラ!
【タイマン勝負の強さ】★★★★★★★★(8)
【ヒーロー的カッコ良さ】★★★★★★★★★(9)
細胞を死滅させる光を放つ元斗皇拳・ファルコ。これまた原理は全く説明不可能だが、当時私はなんとなく電子レンジを連想していた。(なぜ?)
その強さは圧倒的で、全盛期のラオウと互角だったようだ。妻がおり、一途なところもヒーローと言える。
さらに自分の集落を守るために、ラオウに脚一本を差し出したところなど主役並みの好感度。
唯一の弱点は優しすぎるところ。ラオウに指摘されながら、シリーズ最悪の男・ジャコウを生かし続けてしまった。
一番カッコ良かった技:天衝舞(てんしょうぶ)
ケンシロウとのタイマン勝負は本当にシビれる戦いだった。
元斗皇拳奥義・衝の輪(しょうのりん)で圧倒されたケンシロウは、上空から襲い掛かるファルコに渾身の拳を放つ。
しかし、その拳の上に片足義足のファルコが悠然と立つ。まるで無重力状態かと見間違う光景だった。
さらに金色の炎を浴び、追い込まれるケンシロウは驚きの行動にでる。己の片足の秘孔を突き、ファルコと対等の条件を自らに課したのだ。
戦いの中に認め合った男同士の友情を描いた、『北斗の拳』真骨頂の名場面である。
4位:トキ
北斗神拳をより深いモノにしてくれたキャラ
【タイマン勝負の強さ】★★★★★★★★(8)
【ヒーロー的カッコ良さ】★★★★★★★★★★(10)
北斗の次兄・トキ。彼ほど「もし、~だったら」と思わせるキャラはいない。
作中、ケンシロウも「もしトキが病に侵されていなければ・・・」と口にしていたほど、北斗神拳の正統伝承者に近かったのだ。
他人に優しく、強く、優雅でカッコいい。ラオウとほぼ互角と称されているが、やはり剛の拳に進めなかった優しさが弱点か。
「柔の拳のままでも、病に侵されていなければ・・・」と、また同じフレーズが繰り返される、本当に惜しいキャラだ。
一番カッコ良かった技:天翔百裂拳(てんしょうひゃくれつけん)
敵に苦痛を与えない有情拳(うじょうけん)が彼らしくて好きだ。相手が極悪でも、慈悲の心をもって葬る。恐らく『鬼滅の刃』主人公の炭治郎が使った「干天の慈雨」(かんてんのじう)は、ここにヒントを得たのではないだろうか。
しかし最もカッコ良いとなると、ラオウとの戦いで見せた奥義・天翔百裂拳だ。トキらしく優雅に天を舞いながら、百裂拳をラオウに叩き込んだ。しかも、自らの命と引き換えに剛力を得る“刹活孔(せっかつこう)”を自分で突いた上での奥義だった。
病で弱っていく拳ではラオウを倒せない、と分かっていたトキの切なすぎる覚悟。
しかし、ラオウの体は砕けなかった。
ラオウ「きかぬ、きかぬのだ」
実の弟の哀れな宿命に涙する兄・ラオウ。私が一番好きな名場面だ。
3位:サウザー
北斗に立ちふさがった最強の男
【タイマン勝負の強さ】★★★★★★★★(8)
【ヒーロー的カッコ良さ】★★★★★★★★★★(10)
聖帝サウザーはラオウが戦いを避け続けた南斗最強の男。序盤のボスキャラとして大いに君臨し、物語を盛り上げてくれた。
大いにヒーロー的な一面を持つが、自らの聖帝十字陵を子供たちに造らせるなど、やはり悪者要素もたっぷりだ。
北斗三兄弟を前にしても一切怯まない、堂々とした雰囲気がすごくカッコ良かった。
一番カッコ良かった技:天翔十字鳳(てんしょうじゅうじほう)
最強であるサウザーの南斗鳳凰拳は構えを持たない。しかし万が一、対等の敵が現れた時に見せるのが、この天翔十字鳳だ。
帝王のプライドを賭けた最終奥義といったところだ。対するケンシロウも秘奥義・天破の構えで迎え撃つ。天乱れる時、天をも破るという北斗神拳究極の秘奥義だ。
この時、またもや全く説明不可能だが、天から大粒の雹が降ってくる。気象現象をも左右するこの戦いに心躍らされたのは言うまでもない。
2位:ラオウ
言わずと知れた最高のライバル
【タイマン勝負の強さ】★★★★★★★★★(9)
【ヒーロー的カッコ良さ】★★★★★★★★★★(10)
北斗の長兄・ラオウ。
「タイマン勝負の強さ」でケンシロウとの差をつけるかどうかでかなり迷った。戦いはほぼ互角だったからだ。
確かに勝負では、渾身の一撃を叩き込んだケンシロウが勝った。しかし、もしユリアに命を吹き込んでいなければ、勝負は分からなかった。
この「もし~」を封じた最大の理由はここにあって、そうしなければケンシロウとの差を付けられなかったのだ。
ラオウもまたユリアを一途に愛し続けた男。そのユリアを助けることでケンシロウに敗れたのだから、ヒーローとしてのカッコ良さはMAXだ。
蛇足ではあるが、カイオウが実の兄でトキを加えた三兄弟だったという設定は、微妙にモヤモヤしたことを覚えている。
一番カッコ良かった技:天将奔烈(てんしょうほんれつ)
実はラオウは、あまり北斗の大技を使っていない。(二指真空把などはあるが・・・)
順を追うと北斗剛掌波・天将奔烈、そして無想転生ぐらいだ。無想転生は北斗究極奥義、悲しみを知ったことで体得できた。
北斗二千年の歴史の中でケンシロウに次いで2人目。先の2つは圧倒的な闘気を相手に叩き込む力業で、いかにもラオウらしい技である。
天将奔烈を放ったラオウもカッコ良かったが、それを真っ向から受けたケンシロウもカッコ良かった。
1位:ケンシロウ
私はケンシロウになりたかった
【タイマン勝負の強さ】★★★★★★★★★★(10)
【ヒーロー的カッコ良さ】★★★★★★★★★★(10)
強さランキング第1位はやはり、北斗神拳伝承者のケンシロウだ。
シン・ラオウ・サウザー・カイオウなど、ケンシロウは何度か負けているが、その都度強くなって帰ってくる。
さらに戦ってきた強敵たちの技を身に付けながら強くなるのだから、正に最強。
深い愛と悲しみを背負うことで、北斗史上初めて無想転生も体得した。文句なしのナンバーワン!
一番カッコ良かった技:天破活殺(てんはかっさつ)
数々の大技を繰り出してきたケンシロウ。究極奥義の無想転生を選びたいところでもあるが、カッコ良さから選ぶなら“天破活殺”だ!
秘孔を直接指で突くことが北斗の技と思われていたのだが、この技は触れずして闘気で秘孔を突く。
この発想は当時週刊ジャンプで連載されていた『ドラゴンボール』で「かめはめ波」が登場したのと同時期で、とても斬新だった。
この必殺技がその後、多くの漫画やアニメに影響を及ばしたことは間違いないだろう。
そしてサウザーとの戦いがとにかくカッコ良かったこともあり、幕切れを飾るにふさわしい必殺技だったので選ばせてもらった。
まとめ
『北斗の拳』最強キャラクターランキングを紹介した。
正直なところ、1位と2位は入れ替わることがあっても、必ず名を連ねるだろう。
3位以下は賛否両論が大いにあるだろうが、大目に見ていただければ幸いである。
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私は確かにケンシロウは強いけれど、心優しきラオウには負ける(強さ10かっこよさ100!)(しかも押しのキャラクターだから)
トキが病になっていなければ120%最強キャラでしたね。カッコよさと強さどちらも最強でしたし。