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『レ・ミゼラブル』あらすじ【あなたはまだ本当のレミゼを知らない】

『レ・ミゼラブル』ユゴー【あらすじ紹介!あなたはまだ本当のレミゼを知らない】

【原作だけ】映画や舞台では描かれなかった物語

ここからは完訳版の小説でしか読めない内容になるのでネタバレ注意。

バルジャンを善に振り切らせた「プチ・ジェルヴェ事件」

ディーニュの司教に救われたバルジャンは、生まれてはじめて受けた善、そして神の愛に衝撃を受けて改心する…と、映画や舞台では描かれている。

ところが、小説のバルジャンの精神は、今まで自分の中心を占めていた人間不信と怒りに、善と愛が取って代わろうとせめぎ合いをしていた。

深い葛藤に周りが見えなくなっていた彼の足元に、通りかかったプチ・ジェルヴェ少年の落とした銀貨が転がってきたのだが、バルジャンはそれに気づかずに少年を追い払ってしまう。

やっと事実に気づいた彼は少年を探すも見つけられず、後々まで禍根を残すことになる。

私はこの事件こそが物語のいちばん大事なエピソードだと思う。

善悪を示すバロメーターの針は、19年間の獄中生活で蓄積された強い負の感情により、錆び付いて固定されていた。

司教がその錆を落とし再び動くようにしてくれた。

でもまだ混乱していて、このままでは元に戻ってしまう可能性だってあった。

その針を大きく善の方向に振り切らせたのが、このプチ・ジェルヴェ事件だったと思う。

作者ユゴーの思想が伝わる「永久礼拝修道院」

コゼットを連れてジャベールから匿ってもらう修道院は、本来限られた者以外の男子禁制。

運良く匿ってもらえたのは、そこで庭師をしていたフォーシュルバン爺さんを、以前マドレーヌだった時のバルジャンが命を救ったという恩があったから。

フォーシュルバン爺さんが絡むエピソードはちょっとした冒険があって楽しい。

さて、永久礼拝修道院であるプチ・ピクピュス女子修道院では、修道女たちが禁欲と節制のほかに、交代で休みなく神に祈りを捧げる。

囚人と同じように過酷な生活を見て、バルジャンは思った。

一方は犯罪があり、有期であり、暗黒があり、憎悪が生まれ、一方は純潔であり、終身であり、光があり、祝福と愛が生まれる。

かつて自分がいた劣悪な場所と、自ら望んで祈りを捧げる修道女たちとの違いに気づいていく描写は、とても力強く、バルジャンを通してユゴーの思想が伝わってくるようだ。

ガヴローシュの秘密

有名なドラクロワの絵画「民衆を導く自由の女神」。

あれは1830年の7月革命をモチーフに描かれた。ユゴーはそれを観て、女神の右側のピストルを持った少年をモデルにガヴローシュを書いたと言われている。

今までただのストリートチルドレンだと思っていたら、小説では少年の意外な出生が語られていて驚いた。

なんとなんと、彼はテナルディエ夫妻の長男で、エポニーヌとは姉弟だったのである。

この夫妻には他にもガヴローシュの下に2人の男の子までいる。

テナルディエ妻は女児以外には全く愛情を注がず、両親はいるのに3人ともほとんど孤児と同じように生きてきた。

兄弟と知らず一夜の雨宿りを共にする幼い3人の場面に、なんとも言えない切ない気持ちになった。

過酷な毎日を、それでも明るく溌剌と生きるガヴローシュの健気さを見ていると、読んでる私も勇気付けられるような気がする。

ユゴーの見たフランス

完訳版『レ・ミゼラブル』には、物語とは別にフランスで起こった革命や戦争、宗教的・政治的観念、パリの下水道事情などがかなりのボリュームで書かれている。

もしかしたら、今まで完訳版に挑戦したものの、この部分で挫折してしまった人もいるかもしれない。

私も完全には理解できない。

だけど、それで遠ざけてしまっては大変もったいない素晴らしい小説だった。

ここを読むことで、現代の日本に居ながら、フランス革命以降の時代に生きた人たちの気持ちに寄り添うことができるのだから。

アンジョルラスが恋人を「祖国」だと呟いた気持ちに少しでも寄り添うことができれば、小説も映画も舞台もより楽しむことができそうだ。

【代表曲】民衆の歌(動画あり)

原作小説に主題歌をつけるなら、『レ・ミゼラブル』のミュージカルは曲揃いなのでどれも捨てがたいが、やっぱり「民衆の歌」がベストだと思う。この物語の土台を支えているのは民衆なのだから。

映画では「エピローグ」にも使われているが、戦いに敗れた若者たちが、屋根を超えるほどうず高く積み上げられたバリケードの上で歌うラストは壮観だった。

まとめ

バルジャンがコゼットを育て始めてから、ずっと大事にしてきた鞄がある。

コゼットにさえ中を見せない良い香りがする鞄。

コゼットがいよいよ巣立ち、ひとり残された部屋で彼は、そっとその鞄を開く。

彼がずっと大事に仕舞ってきたものが何だったのかは、是非自分の目で確かめてほしい。

親だったら、娘だったら、それ以外でも、きっと深い感動に包まれるだろう。

小説の序文で、このような出来事はいつの時代にもどこにでも起こりうる、というような事をユゴーは書いていた。

現代の日本でも、それこそ私の住む街にも、ファンチーヌやコゼットやガヴローシュはいるかもしれない。

決して遠い昔の遠い国のお伽話ではないのだ。

 

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4 Comments

Reiko

コメントありがとうございます。
これは本当に時間をかけて読んで良かったと思う作品です。

返信する
mk

レミゼ大好きです。
ジャンバルジャンがマドレーヌとして市長になった経緯は何だかわかりますか?子どもの頃児童書で読んだのですが、忘れてしまって。。

返信する
Reiko

コメントありがとうございます。
児童書ではそのへんの事情は詳しく書かれてないでしょうね。
そこに至るまでの心の動きは是非とも完全版で読んでいただきたいところですが、
一つの大きな要素として、ジャン・バルジャンは意外と商才があったということです😅
そして何より、善き人であろうと律し続ける姿が、周囲の人々からの評価を、ひいては彼の人生を変える力になったのだと思います。
レミゼは人生哲学のような物語ですね。

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