額賀澪さんの『拝啓、本が売れません』を紹介させていただきます。
あらすじ・内容紹介
本好きの方なら、出版業界がどうなっているのか気になる・実際に本を出版してみたい!という方も多いのではないでしょうか。
今回はそんな方にオススメの1冊です。
こちらの本は、ゆとり世代の作家を自称されている、額賀澪さんが自身の本出版までの奮闘や流れ、「本を売りたい!」という気持ちから、出版業界で働く様々な方にインタビューされるお話です。
出版業界は他の業界にない仕組みがあったり、わかりにくかったりするのですが、この本は具体例が多く、すんなりと入っていくことができると思います。
また様々な業種の方からの意見が盛り込まれ、多面的な視点で理解を深めることができます。
拝啓、本が売れませんの感想(ネタバレ)
この本から学べること
こちらの本では1章ずつ額賀さんが本に関わる人に会いに行き、本を売るためにどうすればいいか試行錯誤していきます。
そこでは、「ソードアート・オンライン」の編集者さん、「文庫X」で話題になった、岩手のさわや書店の店長さん、「ReLIFE」のプロデューサーさんも出られています。
学べることは沢山ありますが、特に面白いと思ったのが、以下です。
- 編集者と作家が小説が出来るまで行っていること
- ライトノベルと文芸作品の違い
- 書店員さんの棚の作り方の工夫
- WEBで本を盛り上げる方法
- 映像化される時の基準
- イラストレーターによるブックカバー作成のポイント
編集者と作家はどうやって出会うのかというところから、小説が出来るまで詳細に書いてあります。
作家志望の方はもちろん、編集者志望の方も具体的にどんな仕事がなされるかわかりやすいと思います。
またここで出てくる、さわや書店さんは、手書きのPOPがとても多い書店です。
POPは出版社さんが作ってくださることが多いのですが、そうするとどこの書店でも同じになってしまう・なんとなく無機質に感じてしまうかもしれません。
さわや書店さんは、著者の顔写真を出したり、年間のベストを作成したりと、そこに行かないと味わえない沢山の工夫がされています。
このように、本に関する様々なことを知ることが出来ます!
読書、選書の楽しみが増える
本のために沢山の方が動いている、そして知らない話も多く、大好きな本のことを少しでも知れて良かったと感じました。
新しい視点を得たことで、これから本を読む時・選ぶ時の楽しみが増えると思います。
特に本の装丁の話は、これから本屋さんに行くときの新たに注目したいポイントです。
本のジャケ買いする方もいらっしゃると思うので、「どういう装丁は読みたいと思うのか」、「文字で表現された世界感をどう表紙にするのか」という見方もしてみると、より本を楽しむことが出来ると感じました。
出版業界は厳しいといわれていますが、皆、「良い本を作りたい」という気持ちは同じではないでしょうか。
私自身、出版業界で働いていて、苦しいと思うことは何度もあります。斜陽産業ということも身をもって感じました。
しかし本に関わる人、1人1人が「本が好き」、「本に救われてきた」という想いがあることが伝わってきました。
今回出てきた方々も立場もやっている仕事も異なりますが、みなさん「本を売りたい」という1つの熱い想いで仕事されているのはかっこいいと思いました。
またこの本の最後には額賀さんの小説、「風に恋う」の1章分を読むことが出来ます。
本を読んでいく中で、こんなに熱い文章を書かれる額賀さんはどんな小説を書かれるのだろうと気になってしまいます…!
ぜひ小説も含め、本の世界を知りたいという方がいらっしゃったら、読んでみてください!
主題歌:SHISHAMO/明日も
SHISHAMOの「明日も」です。
歌詞には、
報われるかなんて分からないけど とりあえずまだ僕は折れない
ヒーローに自分重ねて 明日も
とあります。
仕事をしていて苦しいことはあるけれども、明日も頑張ろうという歌詞が、厳しい出版業界で面白い本を作ろう、売ろうという想いと重なりました。
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