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『博士の愛した数式』原作小説あらすじと感想【数字が愛おしくなるハートフルストーリー】

『博士の愛した数式』原作小説あらすじと感想【数字が愛おしくなるハートフルストーリー】

「数学嫌い!!」

「数学って苦手!」

数学に対して苦手意識や嫌悪感を抱いている人は決して少なくないと思う。

かつて私は個別指導塾で講師アルバイトをしていたが、文章を読むことが好きな、いわゆる「文系人間」と自覚している人ほど、数字を見ることでさえ嫌がると感じた。

そんな数学嫌いでも、読書が苦にならないのなら本書を薦めたい。

読み進めるうちに数字が愛おしく見えるようになる、ハートフルストーリー。

こんな人におすすめ!

  • 心温まる小説を読みたい人
  • 過去の本屋大賞受賞作を読みたい人
  • 数学は苦手or嫌いだけど、読書は好きな人

あらすじ・内容紹介

1992年3月、「私」があけぼの家政婦紹介組合から派遣されたのは、元数学者の「博士」の家だった。

ただし、彼は普通の博士ではない。

記憶が80分しか持たず、1975年で記憶の蓄積が止まっており、忘れてはいけない事項は身体にメモを張り付けていた。

「博士」に会う時の「私」は、常に新しい家政婦であり、毎回靴のサイズや誕生日を聞かれ、数学的な意味を教えてもらっていた。

毎回聞かれることに慣れてきたころ、「博士」は「私」に10歳の息子がいて、「私」が働いている間、1人で留守番をしていることを知る。

「博士」は次回から息子を連れてくるよう言ったため、息子も学校帰りに博士宅へ来るようになった。

博士は、息子の頭のてっぺんがルート(√)のように平らなことから、息子を「ルート」と呼んだ。

この日を境に、「博士」、「私」と「ルート」のぎこちないながらも、3人で過ごす日々が始まった。

『博士の愛した数式』の感想・特徴(ネタバレなし)

身近な数字が愛おしくなる

日常生活を送る中で、数字を目にしない日はないと思う。

身近なところだと、誕生日や住所の番地、電話番号等あるが、日常生活を送る上で、気に留めていないのではないか。

本書の主人公「私」も「博士」の家に派遣されるまで、数字に特別な感情を持っていなかった。

友愛数(ゆうあいすう)の話をされるまでは。

友愛数とは、

異なる2つの自然数の組で、自分自身の約数を除いた和が、互いに他方と等しくなうような数

である。

例えば、「私」の誕生日220と「博士」の腕時計に刻まれた284は友愛数である。

220:1+2+4+5+10+11+20+22+44+55+110=284

220=142+71+4+2+1:284

(中略)見てご覧、この素晴らしい一続きの数字の連なりを。220の約数の輪は284。284の約数の和は220。友愛数だ。滅多に存在しない組合せだよ。フェルマーだってデカルトだって、一組ずつしか見つけられなかった。神の計らいを受けた絆で結ばれ合った数字なんだ。美しいと思わないかい?君の誕生日と僕の手首に刻まれた数字が、これほど見事なチェーンでつながり合っているなんて

これまで接点がなかった2人が、友愛数で結びつく。

この結びつきはドラマチックであり、数字がこれまでよりも特別に見えてくる。

220もしくは284が自分に関係ない数字でも、読んでいるだけで不思議と愛おしくなるのだ。

阪神タイガースと江夏豊と数字

本書では、なんと阪神タイガースの話題が出てくる。

なぜなら、息子「ルート」が阪神タイガースのファンであり、「博士」が江夏豊(えなつ ゆたか)投手のファンだからだ。

しかし、「私」が「博士」の家に派遣されていた1992年には、江夏投手は既に現役引退している。

しかも「博士」は、江夏投手が阪神タイガースから南海ホークスへトレードされ、広島カープでは抑えピッチャーとして活躍したことも記憶にない。

彼の記憶の中では、江夏投手は阪神タイガースのエースのままなのである。

ではなぜ、「博士」は野球が好きなのかというと、このスポーツは数字にあふれているからだ。

投手であれば、勝敗数、防御率、奪三振数、投げる球の球種の割合など、野手であれば、打率、ホームラン数、打点、盗塁数など、数字があふれている。

「博士」は実際に試合を見るのではなく、新聞のスポーツ欄から試合の流れを想像していたようだが、数字好きの「博士」には、惹かれる要素が野球にあったわけだ。

人気スポーツと数字の密接な関わりが、改めて数字が生活に密着していると示しているように思う。

ちなみに江夏投手の背番号は28。

28:1+2+4+7+14=28。

その数字自身を除く約数の和がその数字自身に等しい自然数

である完全数なのだ。

「博士」の「ルート」への慈愛

「私」に毎回、誕生日や靴のサイズを聞いて、すぐに数学と結びつけようとする「博士」であるが、数字のことばかり考えているわけではない。

それは年少者(ここでは「ルート」)に向ける優しさから垣間見える。

今振り返っても、博士が幼い者に向けた愛情の純粋さには、言葉を失う。

(中略)自分のおかずがルートよりも多いと、博士は顔を曇らせ、私に注意した。魚の切り身でもステーキでも西瓜でも、最上の部位は最年少の者へ、という信念を貫いた。懸賞問題の考察が佳境に入っている時でさえ、ルートのためにはいつでも無制限の時間が用意されていた。何であれ彼から質問されるのを喜んだ。

まるで、祖父が孫を可愛がるように慈愛に満ちている。

頭の中は数学で占められている「博士」の人間らしい面を見ているようである。

まとめ

タイトルから、数学中心の物語だと思っていたが、高尚な話ばかりが述べられているのではなく、数字は身の周りにあふれているものだと改めて分かる内容となっている。

友愛数や阪神タイガースの話は、数字と日常生活は密接に関わっていることを暗に示していたのかもしれない。

本書を読むと分かるが、物語は柔らかい文体で流れるように綴られている。

数学は苦手という人でも、「博士」と「私」や「ルート」が優しく数学を語っているので、最後まで読み通すことができると思う。

(映画が好きなら、寺尾聰さん主演で映画化もされているので、こちらでも良いだろう。)

読後は、これまでよりも数字が愛おしく感じるかもしれない。

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