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『オレたちバブル入行組』半沢直樹原作小説あらすじと感想【やられたらやり返す。10倍返しだ!】

『オレたちバブル入行組』あらすじと感想【やられたらやり返す。10倍返しだ】

かつて日本企業が世界企業トップ10社を独占していた夢のような時代があった。

所謂、バブル時代である。

東京一都でアメリカ合衆国を買収できると言われていたこの時代、日本はカネと余裕に満ち溢れていた。

しかし、いずれ夢は醒めるもの。

その後、夢はバブル崩壊という悪夢に。

厳しい銀行経営の中、当たり前のように擦り付けをしてくる上司と真っ向から立ち向かっていく半沢直樹(はんざわ なおき)。

この物語は銀行という場を借りた、日本の新旧勢力の戦いとも言える。

こんな人におすすめ!

  • 業界モノの話が好きな方
  • ドラマ「半沢直樹」が好きな方と比較を楽しみたい方
  • 上司の理不尽に耐え兼ね、ぶっ飛ばしてやりたい程ストレスを抱えてる方

あらすじ・内容紹介

バブル期に東京中央銀行に入行した半沢直樹。

彼は現在、西大阪支店の融資課長として忙しく過ごしていた。

大手銀行業界はバブル時代まで大蔵省(現財務省)による護送船団方式で守られ、安泰と不倒の代名詞であった。

しかしバブル崩壊後、金融自由化による競争にさらされ銀行も厳しいノルマが課されることに。

半沢も持ち前の負けん気で頑張っていたが、ある時、西大阪支店の業績が悪化。

前任の支店長は解任され新たに浅野支店長が配属されてくる。

何とか業績を上げたい浅野は西大阪スチールへの5億円の融資を決定する。

半沢は「怪しい点も多くもっと詳しく調べるべき」と進言するものの、功をあせる浅野は聞く耳を持たない。

これがすべてのはじまりであった。

その後、西大阪スチールは倒産し、社長の東田は夜逃げした上、会社自体が粉飾決算をしていた詐欺企業であることが発覚。

西大阪スチールの粉飾に気付かなかったのは全てお前の責任だ。半沢

浅野支店長はこう告げ、すべての責任を半沢に押し付けようとする。

しかし半沢は「私だけの責任ではない」と断固認めない。

反論する部下など許せない浅野は、自らが歩んできたエリートコースの人脈を総動員し半沢を潰しにかかってくる。

しかし半沢は決して根をあげない。

やられたらやりかえす。10倍返しだ

半沢直樹の怒りに燃えた戦いがはじまろうとしていた。

『オレたちバブル入行組』の感想・特徴(ネタバレなし)

バブル時代の雰囲気や業界用語

この物語は、半沢が就職活動をしているバブル期からスタートする。

この時代、日本は景気が良く企業はあの手この手で優秀な学生を採用しようと躍起になっていた。

そのため、日本企業は内定を出した優秀な学生を他社へ逃さないため、様々な手段を用いていたという。

とある企業は内定後、学生達をまとめて海外旅行へ連れていき、他社との連絡を取れないようにし囲い込みをしていたとか。

旅行費用はすべて会社もちという、今なら考えられない殿様待遇である。

著者、池井戸潤氏が1988年に銀行に入行した経歴も大いに生かされているのであろう。

序章ではその頃の雰囲気を感じ取ることが出来る。

第1章以降の厳しい時代とは対照的で面白い。

 

また専門用語の解説も興味深い。

物語の途中、様々な専門用語や銀行業界のルールが出てくるのだが、その都度解説してくれるので、読者も「へえ」と感心しながら知識を深めることが出来る。

例えば「赤残(あかざん)」とは、企業の当座預金が不足し資金が焦げ付くこと。

その他にも「融資予約は禁止」「不渡りは2回まで」などの決まり事も物語に沿って出てくる。

素人でもわかる業界説明は作品の魅力の1つだ。

銀行業界の慣行も同様に面白い。

銀行業界は役人の世界に似ており「減点主義」とのこと。

一度失敗した人間が、再度、大きく挽回することは難しく、出世していくのは大きな成果を出す人間以上に失敗が無い人間であり、擦り付けや保身が上手い人間である。

そのような現実は、世の中にごまんと存在しており、だからこそ半沢の痛快さに読者はスカッとするのであろう。

同期入社の人生模様

物語ではあまり大きなウェイトを占めないが、半沢を含めた同期入社の仲間達の存在が物語に深みを与えてくれている。

半沢が内定をもらった時(バブル時代)、会社が予約した豪華なホテルで、同期達と会話をする場面がある。

彼ら同期の4人には名前に加えて細かい設定が存在している。

押木(おしき) 面接時、他のピリピリした学生達とは違い、東北弁がありどこかのんびりしており銀行に合わない雰囲気であったが、流ちょうな英語を披露し見事採用された
渡真利(とまり) 半沢と同じ慶応大学、経済学部で、大学の学生の半分は友達とわれる程の顔の広さと社交力がある
苅田(かりた) 神経質だが司法試験の短答問題に合格している秀才でいずれは人事エリートを歩むのではと目されている
安藤(あんどう) ガタイが良く大学のゼミの先輩が業務部長であり強いコネを持っている

そして主人公、半沢直樹

彼ら一流大学出の新卒エリート達が、将来を約束された大企業で夢を語り合うシーン。

しかも彼らの会話には、若さゆえの万能感も感じられ、読む人によっては「高学歴の世間知らずの若造が」と嫉妬すら感じてしまうであろう場面である。

しかし、その後、彼らの歩んだ銀行員人生を読んでいくと「そうだ。人生って色々あるんだよな」と感じ入ってしまうのである。

バブル・ピークの狂乱が始まる直前、五人の学生たちはそれぞれに夢を抱き、希望に胸を膨らませて銀行の門をくぐったのだった。これから何が起きるとも知らずに。

「現実はそんな都合よくはいかないし、人生は色々ある」という作者からの強いメッセージを読み取れた。

半沢vs浅野

物語の大きな軸は「銀行内での生き残りをかけ西大阪スチールの債権回収に奮闘する半沢とそれを阻止する浅野」である。

浅野は人事系エリートを歩んできた人間であるため大きな権力も持っており、様々な力を使い半沢を潰しにかかる。

東京本部からの調査に来るのもすべて浅野の息がかかった人物で、その代表例が小木曽(おぎそ)人事部次長。

彼は発言記録を半沢の不利な発言しか残さないというねちねちとした嫌がらせや、半沢の資料を隠すという嫌がらせでは済まされないイジメをしてくる。

その他にも雲隠れし、陰で贅沢三昧をする西大阪スチール元社長、東田(ひがしだ)。

銀行員を下に見て偉そうにしてくる国税調査員。

このように物語中盤まではありとあらゆる手で半沢が、浅野達上層部やその他の連中に卑劣な手で追い詰められていく。

しかしこれが第5章「黒花」からガラリと流れが変わる。

この章から浅野視点が加えられることにより、読者は「浅野側の事情」を知ることが出来、100回殺しても飽き足らないほど憎い上司である浅野が、普通の人間であるどころか、弱い哀れな人間であることが分かっていく。

しかし半沢の猛反撃は止まらず、逆に今度は浅野が追い詰められる側になっていく。

そして第6章「銀行回路」での半沢の名言がこれだ。

「オレは基本的に性善説だ。相手が善意であり、好意を見せるのであれば、誠心誠意それにこたえる。だがやられたらやり返す。泣き寝入りはしない。10倍返しだ。そして潰す。二度と這い上がれないように」

完全に弱者と強者が入れ替わり、ここに物語の面白さが詰められているといえよう。

まとめ

2013年にドラマ化して大人気となった半沢直樹。

原作もエンタメ要素たっぷりで復讐要素、探偵小説要素、企業内での人間模様と多くの視点から楽しむことが出来た。

一方で終身雇用を前提としたこの物語。

あれだけの嫌がらせをされた半沢に「退職し他の会社でのし上がっていく」という選択肢が一切出てこなかったことは非常に興味深かった。

物語でも、銀行は終身雇用であり、その中でどう生き残っていくかが人生を決めるという意味の説明が出てくる。

しかし、この終身雇用を前提とし、外から新しい人間を入れない古い体質(当然、良い面、悪い面あると思われるが)こそが、日本全体で新しいことが出来なくなっている弊害の1つなのではないかと思ってしまった。

ある日本のサラリーマンの部長が「私はA社の課長、部長にはなれるが、他の社では何も出来ない」という自虐ネタがあったとか。

日本がかつて持っていた強みである集団主義。

それをうまく活用出来ていた日本企業。

その強みが弱まっている現在、新たな企業戦略や国家戦略が求められているのかもしれない。

半沢の活躍を読みながらそんなことを考えていた。

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